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阿佐ヶ谷姉妹のように住まう。

実家は11階建てのマンション。築50年近くになる。

同じ階には、私が小さい頃から住んでいる「おひなさま」(私が小さいときにおひなさまに似ていることからつけた陰のあだ名)や、お子さんも大きく今は一人暮らしの看護師さん、ここ数年で住み始めた高齢女性など。
分譲マンションだからか、顔をあわせると「うちの旦那がね」みたいな近況を話すくらいの関係性を保っている。
母は高齢なので、娘として、それはとてもありがたいこと。

昨年父の介護で長期帰省をするようになって、「おひなさま」の旦那さんが亡くなり一人暮らしになったと聞き、そして梅干しやお菓子などいろいろといただいているので、中学生ぶり(え、もう20年以上ぶり!!)にご挨拶に伺った。
私の記憶のそのまま「おひなさま」であった……。
推定年齢は80代ではないかと母と話しているが、ビビッドカラーのタイトスカートにヒールをはいて、同じマンションだけれど内装はシャンデリアを飾って、旦那さんが亡くなった後もしっかりと生活をしている様子にたくましさを感じた。

ほどなくして母も一人暮らしになり、いっそうおひなさまとの交流が増えている。寂しい気持ちもお互い分かり合えるのだろう。

「この階はみんな独身や~!」と笑う母。
高齢化社会で、伴侶に先立たれ、子どもも遠方に住んでいたりいなかったり。一人暮らしの老人は増えているだろう。

このマンションでは、同じ階だけでなく、他の階の人も父のアルツハイマーによる転倒や、徘徊などでお世話になっている。その人も高齢ではあるのだけれど。
子どもを持つ家庭が減って、高齢化しているマンション。
だからこそ、皆手をとりあって、元気かな、どうかなと気を配っており、一体感を感じる。そういう意味では、まったく一人ではないので、遠方に住む娘としては安心だ。


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