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吉田達磨さんへ感謝を伝える

~「天皇杯優勝」と「新たな甲府の礎を築いた」功績に敬意を表して~

吉田達磨さんとの契約満了

 10月18日火曜日、天皇杯優勝から2日後。ヴァンフォーレ甲府は吉田達磨監督との契約満了による今季限りでの監督退任をお知らせしました。

 天皇杯優勝の余韻冷めやらぬ中でのプレスリリースには、甲府サポさんのみならず天皇杯で一緒に喜んで頂いた他チームのサポーターさんの中でも驚かれた方も多かったかもしれません。
 しかし、クラブはそういう判断をしました。これは特にリーグ戦の順位等の結果や内容に関して鑑みたものと思われます。そうなればクラブの判断は理解できるものでもあると考えます。今季のリーグ戦では本当に悔しい思いを重ねてきた、というのがサポーターの本音だと思います。
でも吉田達磨さんは本当にヴァンフォーレ甲府に非常に大きなものをもたらしてくれました。それは天皇杯の賜杯をもたらしたことはもちろん、守備一辺倒だった過去のスタイルから能動的なフットボールを表現するための礎を作り上げてくれたことです。こうした功績を振り返りながら、吉田達磨さんを笑顔で送り出してあげたいと思います。

天皇杯優勝から見る吉田達磨さんの手腕

 10月16日は甲府サポには伝説として受け継がれる日になったでしょう。それに加えて102回大会の天皇杯決勝戦は歴史の中でも強く印象に残るドラマチックな激闘でした。
 天皇杯は日本サッカーの3大タイトルの一つであります。それをヴァンフォーレ甲府が獲得しました。この事実は甲府サポ含めて、驚きと共に夢見心地になった人は多かったと思います。それも無理はないです。実際に、甲府はビッグクラブでなく小さな県の県民型クラブであり、今季はJ2で戦っていましたし、今季だけみれば順位も芳しくありませんでしたから。でも優勝できました。多くのサポーター・選手・スタッフ・スポンサー含めて一体となって、一生懸命努力を続けていればビッグクラブじゃなくても優勝出来る、と全国のサッカークラブに夢を与えることが出来たのではないかと思います。
そんなクラブを率いていたのが今季で通算2期目の就任となった吉田達磨監督でした。吉田達磨監督は初めての3大タイトルである天皇杯をもたらした人物として、甲府の歴史に語り継がれるでしょう。甲府は山梨という小さな県のクラブであり、資金面だって限りがある中で頑張っているクラブです。そのクラブを日本一に導くことは、並大抵の人物では出来ないとも思います。過密日程の中で多くの選手を成長させて上手く起用し、そしてチーム・選手のモチベーションをも上げなければならない。それが出来たからこそ、天皇杯優勝が出来たと思います。柏のアカデミーでも実績を築いた吉田達磨監督の実力を見せてもらった感じがしました。これまでの吉田監督のキャリアでもプロチームを率いてのタイトル獲得はありませんでした。プロの監督キャリアの中では苦しいことも多々あると思います。でも吉田監督は弱音を吐かずにいつも一生懸命で、何より選手を大事に考えてくれる監督だと思います。その中で多くの時間過ごした甲府の監督として、共に頑張ってきた証明として、一緒にタイトル獲れて本当に嬉しく思いました。

「新たな甲府の礎を築いた」吉田達磨さんの手腕

 「甲府のサッカーはどんなスタイルですか?」そう聞かれた時には皆さんはどう答えるでしょうか。前回J1に居た時に聞けば「引いて守ってからのカウンター」という答えが多くなるでしょう。そのスタイルでやっていた頃は自分たちでボールを持つのに恐れ、後ろから繋いでの攻撃は弱点でした。
そんな「もはや0からのスタート」の様なチームを率いることになった吉田達磨さんは通算2期の政権の中で「フットボールをするため」に重要なことをチームに植え付けてくれえました。立ち位置・ボールの動かし方・選手の動き方・後ろからのビルドアップの意義等々…甲府というクラブが成長するために数多くのことを教えてくれました。これは感謝してもしきれません。
吉田達磨さんがいなければ、昨年伊藤彰監督(現ベガルタ仙台監督)の下で3位になれなかったでしょうし、先日天皇杯で快進撃の上優勝出来る様な幅広い戦い方が出来るチームにはなれなかったはずです。
吉田達磨さんがいなければ今の甲府は語れません。ポジショナルな概念を体現出来る様なチームにはなれなかったはずです。
佐久間さんが打ち出し、目指し始めた新たな甲府スタイル実現への道。これは間違っていません。吉田達磨さんが礎を築いてくれたのです。これを活かして、新たな進化・成長をしていくことがこれからクラブが目指す道です。

吉田達磨さんに笑顔で「ありがとう」を伝えよう。

 クラブは多くをもたらした吉田達磨監督と契約満了という判断をしました。クラブの新たな礎を築いてくれたし、天皇杯を獲得したし「何で?」と思う人もいると思います。
しかし、これはクラブが「成長を止めない、常に進化し続けていくこと」を目指しているからこそ、こうした判断をしたと考えます。リーグ戦ではビルドアップからのチャンスクリエイト等の良い面を見せ、吉田監督の良さを表現出来ることも多かったです。しかし、最終局面で崩しきれず、また遠くからのクロスが多くなってしまった等の影響もあってか得点を奪うことが少なくなった課題も残りました。選手自身の課題もありますが、より戦術的にも進化していかなければならないという判断からクラブは新たなエッセンスを加えることを決めたと思います。しかし、吉田達磨さんにはクラブとしても「本当に、本当にありがとう!」という気持ちでいっぱいだとも思います。
サポーターとしても天皇杯優勝によって吉田達磨さんを漢にして、笑顔で「ありがとう」と言って有終の美で終わることが出来て嬉しいです。2回目は笑顔で送り出せるのですから。

本当は吉田達磨さんはクラブに残って欲しいです。監督でなくともGMや強化の担当として一緒にヴァンフォーレ甲府というクラブを強くして欲しいです!
ただこればっかりはどうなるか分かりません。これからどうなるにしろ、
吉田達磨さんには教え子の工藤壮人さんの分までサッカー界で活躍して欲しい」
そう考えてやみません。工藤さんを筆頭に多くの教え子がいる吉田達磨さん。これからも多くのサッカー選手を育てて欲しいですし、吉田達磨さんの様な良い指導者を育成して欲しいなとも思います。きっと工藤さんも天国から恩師の吉田達磨さんのことずっと応援してくれると思います。


10月23日日曜日、ワールドカップの影響で通常より早く終了する2022シーズンのJ2リーグ。この日戦う岩手戦でヴァンフォーレ甲府が吉田監督の下で戦う最後の試合となります。「天皇杯の優勝・ACL出場権という輝かしい置き土産」と「フットボールをする上で重要な大きな礎」をヴァンフォーレ甲府というクラブに残した吉田達磨監督。

最後は皆さんでこの言葉を送って、笑顔で有終の美を飾ろう。

「吉田達磨さん、ありがとう」



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