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【データが使える!】2019年IPO総集編

< 記事をご覧いただく前に >
本記事はCraftDataで今後提供を行っていく記事のβ版となります。
継続的にデータ利用可能な記事・コンテンツを発信していきますので、より詳細をご覧になりたい方はコチラをご確認ください。

2019年は86社のIPOがありました。

SansanやフリーといったSaaS企業に注目が集まる中で、IPO全体の動向を振り返っていきます。

CraftDataでは、2019年のIPOを証券取引所提出資料などを基に各数値をデータ化し、以下にまとめました。

このnoteでは記事上の数値やグラフを実際にダウンロードすることが可能です。

ダウンロードしたデータの注意点については、記事最下部に記載致しましたので、利用の際にはご参照ください。

1. 概況感

2019年のIPOした企業は86社となります。(テクニカル上場除く)
市場別の上場社数は以下の通りです。

< ① 市場ごとのIPO社数 >
マザース市場での上場がIPOの7割を占める、成熟企業は二部に11社上場

市場別上場社数

マザーズ市場が64社と新興市場の中では大多数を占める状況です。ローデータを見ると分かりますが、東証二部上場企業については、いずれも2001年以前の設立企業となり、成熟企業としての上場市場であることがうかがえます。

一方でJASDAQ市場については、市場再編などの影響もあり上場企業数が少ない状況です。


< ② 業種ごとのIPO社数 >
IPO企業の73%が「情報・通信業」「サービス業」に属する

【CD】20200123_IPO_業種別社数

東証分類33業種中、IPO該当があったのが11業種と新興産業に偏りが見られます。また、86社中の62社(72.9%)が「情報・通信業」「サービス業」となり、マザーズ上場企業においては大部分がこの業種に属しています。

代表的な企業では、Sansan(4443)、フリー(4478)、ランサーズ(4484)が「情報・通信業」、アンビスホールディングス(7071)などが「サービス業」となります。


< ③ 設立からのIPOまでの経過年数 >
設立から5年以内の上場社数は8社、平均年数は19年

【CD】20200123_IPO_上場までの期間レンジ

会社設立から上場までの平均期間は19年です。上場までの最長は設立から71年で東証二部に上場をした恵和(4251)、最短での上場は2年強で上場を果たした日本ホスピスホールディングス(7061)です。注目企業ではフリー(4478)は7年、Sansan(4443)は13年です。

マザーズ市場のみに限ると設立から13年での上場が平均でした。スタートアップ企業の一つの目安となるかと思います。


< ④時価総額別社数(公募ベース) >
300億円以上の時価総額は12社、平均時価総額は147億円

【CD】20200123_IPO_時価総額(公募)

IPO企業の公募ベース時価総額の平均値は147億円、中央値は70億円となっています。半数以上が時価総額100億円に満たないため、機関投資家の投資対象となりづらいことが伺えます。


2. 周辺機関


<① 主幹事証券>
主幹事証券は大和、SMBC日興がトップでそれぞれ20社を担当

【CD】20200123_IPO_主幹事証券

上位は担当20社で大和証券、SMBC日興証券。大手証券の中では担当社数が少ない三菱UFJモルガンスタンレーは日本国土開発(1887)やフリー(4478)など4社を担当。東海東京証券は愛知県の企業を中心に4社。
* フリーは共同主幹事のため、SMBC日興、三菱UFJMSに双方カウント


< ② 監査法人 / 1社あたり監査報酬平均額 >
EY新日本が22社を担当でトップ
1社あたりの監査報酬額平均はPWCあらたの2,200万

【CD】20200123_IPO_監査法人

四大監査法人(あずさ・新日本・トーマツ・PwCあらた)で全体の78%を担当し、上場企業の平均とほぼ同様の割合。1社あたりの監査報酬額平均ではブシロード(7803)の3,300万円などを担当したPwCあらたがトップ。
* 「監査証明業務に基づく報酬」が集計対象


< ③ 信託銀行 >
三井住友信託、三菱UFJ信託で8割弱のシェア

【CD】20200123_IPO_信託銀行

上場企業同様に大手二社のシェアが高い状況です。東京証券代行はSansan(4443)など3社を担当しています。


3. ランキング集計

< ① 時価総額(公募ベース)>
時価総額1位はSansan(4443)が唯一の1,000億円超え

【CD】20200123_IPO_時価総額ランキング

2019年はSansan(4443)、フリー(4478)のSaaS企業が時価総額1位、2位となっています。なお、2020/1/23時点においては、Sansan(4443)が1,900億円、フリー(4478)が1,500億円程度まで時価総額を伸ばしています。


< ② 初値 vs 公募価格 騰落率 >
ウィルズ(4482)が公募価格に対し初値が372%上昇

【CD】20200123_IPO_初値公募ランキング

IPO銘柄全体の騰落率は平均75%上昇、中央値で50%の上昇となりました。一方で初値が公募価格を下回った社数はChatwork(4448)の-8%など8社となっています。

< ③ 上場までの期間 >
日本ホスピスホールディングス(7061)が2年83日でのスピード上場

【CD】20200123_IPO_上場までの期間

上述の通り、会社設立から上場までの平均は19年となっていますが、マザーズ市場のみに絞ると13年、また、「情報・通信業」企業の平均期間も13年でした。

< ④ 従業員給与 >
東証一部に上場の日本国土開発(1887)が1位、マザーズはランディックス

【CD】20200123_IPO_平均給与

東京商工リサーチの調査によると、上場企業全体では629万円が平均である一方、2019年のIPO企業で従業員給与の平均は529万円となり、15%ほど低い水準となっています。マザーズで最も上位のランディックス(2981)は不動産という業種柄給与が高いことが伺えます。

4. その他集計

< オファリングレシオと初値 / 公募騰落率 相関 >
IPO企業のオファリングレシオ平均は25%

【CD】20200123_IPO_オファリングレシオ_騰落率散布図

IPO企業の中ではHPCシステムズ(6597)が78.2%のオファリングレシオとなり、初値は公募価格に対し6%下げています。穏やかではありますが、初値上昇率が高い企業はオファリングレシオが低く、公募割れの企業はオファリングレシオが高いことが伺えます。

以上です。

5. 今後のコンテンツについて

今後、上記内容以外にも新規上場時の有価証券報告書(Ⅰの部)中の数値を集計し、発信していくことを予定しています。(ストックオプションなど)

* 本コンテンツ内のデータに関する注意事項
本コンテンツの内容については、出所「CraftData集計」と明記の上、記事本文、グラフ、データなどを私的な範囲においてご利用いただくことが可能です。なお、エクセルデータの再配信は不可と致します。

本コンテンツ内のデータ・情報に関しては投資勧誘を一切推奨するものではございません。また、データについての正確性は可能な限り精度を高め作成を致しておりますが、その内容を担保するものではなく、利用者の責任にて使用ください。


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