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やっかいなものも含めて感情を大切にする

こんにちは、"_dawn_"です。
今回は『インサイド・ヘッド2』の感想を投稿します(ネタバレ有)。一作目も大満足で感想を投稿しましたが、二作目も負けず劣らずの名作です。

本作は、ライリーの脳内で繰り広げられる感情達のドタバタ冒険と、不安と戦うことを通して成長するライリーが、物語のメインです。そして、その物語を通して、人の感情に関する教訓を得られるところが本作の見どころなので、そこを語っていきます!

複雑な感情を抱くことで起きる変化

前作からライリーは成長して13歳。成績優秀でアイスホッケーの試合でも大活躍、センスもあって友達も多い彼女はどう見ても「良い人」。

ライリーの人生の中で生まれる大切な思い出は、前作に引き続き性格の島を作るだけでなく、ライリーの泉という心の奥底で「自分らしさ」なるものを形成していきます。価値観や信念、セルフイメージを表していますね。

そんな「良い人」ライリーも、思春期に突入し複雑な感情を抱くようになり、それに翻弄されていくのが本作の流れです。

計画的で行動力のある「シンパイ」、だけど…。

新たに登場する感情の中でも特に目立つのが「シンパイ」です。シンパイは計画的で行動力があります。作中も将来の不安を想像してはそれを回避しようと奮闘、「ちょっとやりすぎじゃない?」という位に動き回ります。

登場して早々あれこれ手をまわす「シンパイ」
(吹き替えの声優は多部未華子さん!)

でも、シンパイの行動はちょっと打算的。新しい集団に取り入ろうと、これまでの友達をちょっと蔑ろにしてみたり、もらったお菓子が不味くても取り繕ってみたり、どこか本来の自分ではないように振る舞います。

そんな調子で、徐々にシンパイがイニシアチブを取っていきます。前作で行動する原動力になっていたヨロコビに取って代わろうとする構図です。

心配に駆られて自分を見失う

そしてついに、シンパイは徐々にエスカレート。自分の計画を進める上で邪魔だと、元々の5つの感情を司令塔から追いやってしまいます。

心配に駆られて素直な感情を押し殺してしまう。大人の私たちも身に覚えのあることではないでしょうか。そんなとき、私たちの頭の中でもこんな出来事が起きているのかもしれません。

司令塔を占拠したシンパイは、さらに暴走していきます。イマジネーションランドに悪い想像をたくさん生み出させます。全ては不測の事態に対処するために。

さらには、コーチの自分への評価を確認するために、コーチのノートを盗み見てしまいます。このシーンにカナシミが関わっているのが印象的に残りました。よくないことをしたら、自分で自分を傷つけることになるんですね。罪悪感が生まれ、悲しい気持ちになるんですね。

翌日のアイスホッケーのテスト試合でも、ライリーはやはりいつもと様子が違います。心配な気持ちを押し殺すかのように、強引にプレーして虚勢を張ってしまいます。

このとき、頭の中では「私は全然ダメ」とネガティブなセルフイメージでいっぱい。もはや、心配な気持ちのせいで、それまでの価値観や自分らしさをすっかり見失っている状態です。大人でも、いや、大人こそ共感するところが大きいのではないでしょうか。ホント、心配な気持ちに駆られるって厄介ですね。

厄介な感情も含めて、大切な気持ち

シンパイの存在を受け入れることで得られる教訓

シンパイの暴走は、司令塔に戻ってきたヨロコビたちによって最終的に止められました。我に返ったシンパイはこう言います。

ごめんなさい。ライリーを守ろうとしただけなの。

そう、一見厄介に感じるネガティブ感情も、自分を守るために存在するんです。このシーンは、ヨロコビ達との対立構造がなくなり、心配というネガティブ感情の存在をようやく認めてあげられた瞬間であり、本作の中でも心を動かされる場面です。

カウンセリングでも、こういうネガティブ感情を悪いものと捉えているクライアントには、それも大切な自分の感情の一つなんだと受け入れてもらう工程があります。感情そのものを否定してはいけないのですね。

かといって、一つの感情で人格が決まる訳ではない。一つの感情に支配されてはいけない。どんな感情を抱くかとは切り離して、どう行動するかは理性によって制御されるものです。そのことをシンパイ自身も反省します。

やっかいな感情も受け入れることで人格がつくられる

その様子を受けて、ヨロコビもまた同じ気付きを得ます。これまで、ヨロコビは、都合の良い感情による思い出をなるべく残して、そうでないものは記憶の果てに放ってしまっていました。ライリー保護システムと称して。彼女もまたライリーを守るために動いていたんですね。

ですが、本来はどんな感情も人格形成において大切な要素で、それらが複雑に混ざりあうことで新しい価値観や信念が生まれていく。その結果、ライリーという一人の人が成長していきます。

そのことをヨロコビは、シンパイがライリーを守りたい一心で暴走してしまった一件を経て理解できました。良い悪いの区別なく、全ての感情を大切にするということを学んだのですね。

ありのままの感情を受け入れる

前作『インサイド・ヘッド』では、「悲しみ」という感情の大切さを理解し、それを受け入れる物語でした。続く、『インサイド・ヘッド2』は「心配」というネガティブ感情を受け入れる物語です。

悲しみと違って、心配という感情は自分自身を駆り立てるような情動であり、コントロールが難しいです。大人も不安な気持ちに向き合うのに苦労する位ですから、思春期のライリーにとっては大きな経験だったはず。

でも、そんな感情をも受け入れていくからこそ、複雑さを内包した人格形成ができていきます。私たちもネガティブな感情を受け入れて、しなやかに現実世界を生きていきたいものですね!

感想は以上となります。
読んで頂いた方に共感いただけたら幸いです。
ではまた!

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