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ウェブトゥーンは、いずれアニメになる?

はじめまして。コピンコミュニケーションズジャパンのハツミと申します!弊社コピンはスマホで読む、いわゆる縦読み漫画、ウェブトゥーンを制作している会社です!

そもそもウェブトゥーン(WEBTOON)とはなんぞや?という方向けに、弊社でいくつか記事を書いておりますので、よろしければご覧ください。


これ知ってますか?

先日Twitterでバズっていたこちらのツイート、ご覧になられましたか?

こちら、中国で2021年9月27日にリリースされた、ウェブトゥーンプラットフォームPODO漫画というアプリです。ツイートの動画のように、作品を選ぶタイトル画面で、キャラがぬるぬる動くというものです。面白いですね!

8月初旬に韓国でリリースされたカカオウェブトゥーンも同様のホーム画面でつくられています。なんでも、カカオが提唱している「IPX」という戦略の表れなんだとか。

IPXとは
IP(知的財産)を最高の価値とする自社哲学に基づき、「従来と次元の違うIP体験」を意味する新たなビジョン。(カカオの漫画アプリ、サービス開始2日で取引額10億ウォンを記録=韓国 より引用)

要は、いい作品(IP)にさらに、カカオ流の体験(experience)をくっつけて、新体験をつくりだしちゃおうぜ!というコンセプトらしいです。そのために、キャラクターを揺らしたり、アニメーションを付けたりしているわけですね。面白い試みです!!


ウェブトゥーンはいずれアニメになってしまうの?

上記のPODO漫画のツイートには、Twitter上で以下のようなコメントもございました。

・いずれコマ全体が動くようになるのかな?
・もうすでに制作体制がアニメっぽいから、アニメになるのでは?
・ここまでいくと漫画ではなく、アニメに近い気がする

上記のように思うのも、もっともです。私も思いました!!漫画業界、ウェブトゥーン業界にいる方々も、似たような意見を持たれた方も多かったです。

ウェブトゥーンを制作している弊社としても、もしも今後、「作品全体が動くのがウェブトゥーンのスタンダードだ!」と言われるようなことがあったら、制作体制を抜本的に変えなければならなくなるので、ウェブトゥーンがどのように進化していくのかという動向は死活問題でもあるわけです。

しかし、まだ現段階でどうなっていくのかという決定的な答えはないのです…。

というのも、ウェブトゥーンは、韓国発祥のカルチャーで、「梨泰院クラス」のnetflixドラマ化などもあり、いまでこそ世界的に認知されてきましたが、まだ"ウェブトゥーンならでは"の表現方法を模索している段階です。そのため、ツイートにあったような見せ方や、新しい表現方法が、ウェブトゥーン業界全体で日々試行錯誤されており、まだ正解がわかっておりません。

※ウェブトゥーンが現在の形式になるまでに、どんな進化をしてきたかについては、弊社の以下の記事をご覧ください。


動くウェブトゥーンのこれまで

まず、「ウェブトゥーンがアニメになってしまうのでは?」と、漫画業界、ウェブトゥーン業界で懸念されている理由として、これまでに何度か、動いたり、しゃべったりするウェブトゥーンが開発されてきたことが挙げられるでしょう。

先述したように、ウェブトゥーンは現在、表現確立の過渡期にありまして、ネイバーや、カカオを筆頭に、様々な見せ方・動かし方を模索してきました。そのため、そういった状況を随時追っている方々からすると、「ウェブトゥーンはアニメのようになっていくのでは?」と考えるのも至極当然だと思います。

では、いったんここで、これまでにウェブトゥーンで行われてきた表現の数々をいくつかご紹介いたします。

●「ゴンビュ」ウェブトゥーン
こちらは2014年にリリースされたウェブトゥーンプラットフォームです。キャラクターの音声が作中で聴ける「ダビングトゥーン」、マンガ内のキャラクターがチャットする様子を見れる「チャットトゥーン」、読者の意見を作品に反映してくれる「ソルトゥーン」などがありました。様々なアプローチで、ユーザーに、「読む」とは違った体験を与えようとしているのがわかります。

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画像を押すと、引用元に飛びます(※韓国サイト)

●ムービングトゥーン
こちらはもう、ウェブトゥーンの中にムービーが入ってます…!
一部のコマが揺れたり、作中の水がゴポゴポと動いたりする細かな動きがあるものも、ひとくくりに「ムービングトゥーン」と呼ぶらしいです。臨場感が作れることから、ホラー作品との親和性が高かったそうです。

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日本でも、アニメイトグループのロケットスタッフさんが、ウェブトゥーンの新プラットフォームを制作中のようですが、その中の機能にも、「モーショングラフィックス」と、「音声効果」を導入するそうですよ!やはり、ウェブトゥーンを動かす流れは来ているんですかねッ!?


比較的有名なものだけをご紹介しましたが、ご覧の通り、ウェブトゥーンは、ウェブトゥーンならではの表現方法を模索し、アニメすれすれの特殊効果を盛り込んできました。

そこにきて、カカオウェブトゥーンや、PODO漫画のような「動くタイトル画面」というわけですから、「ウェブトゥーン表現のアニメ化待ったなしか!」と、皆さんも思いませんか?!


動くと何が良いのか?

動くウェブトゥーンがあることはわかった。
でも、ウェブトゥーンが動くと何がいいの?

その質問をお待ちしておりました。
私もそう思います。

そこで以下では、ウェブトゥーンの特殊効果のメリットを、私なりに考察・推測させていただきました。個人的推測を含んだ内容ですので、参考程度にお読みいただければ幸いです。


●体験の付加価値
一つ目のメリットとして、カカオウェブトゥーンが掲げているIPX的な体験価値が考えられます。つまり、読者の体験的価値を増やすというメリットです。「読む」ではない、別の体験をウェブトゥーンでしてもらおうという感じです。

作中でコマが動いたり、音声が流れたりすることで、自分がスクロールしたタイミングで作品の中の世界が動いているような没入感や、臨場感を体感してもらうのが狙いなのではないでしょうか。


●作品/プラットフォームの滞在時間を増やす
二つ目のメリットとして、プラットフォーム、作品の滞在時間の増加が考えられます。ウェブトゥーン、マンガに限らず、現代のコンテンツ市場は、ユーザーの可処分時間の取り合いです。

ウェブトゥーンは、スキマ時間にも読める手軽さでユーザーに浸透しました。しかし、本音を言えば、一日中ユーザーにウェブトゥーンを読んでいて欲しいし、プラットフォーム上を回遊しまくってもらって、作品を買ってもらいたいのです!「通勤中はウェブトゥーン、家に帰ったらYoutube」ではなく、できればずーーーっとウェブトゥーンを見ててほしいのが、業界の本音です。

ウェブトゥーンの「動き」は、ユーザーの流し読みを制限するのではないかと推測しています。PODO漫画のホーム画面、ムービングトゥーンを初めて見たときに感じたことなのですが、アニメーションが終わりきる前に、ページをスクロールしてしまうことを、少しためらいませんか?

その結果、アニメーションを全部見てしまう…
これによって、作品・プラットフォームの滞在時間が増やせるという、メリットもあるのではないでしょうか。

●想像の補完
続いて、考えられる三つ目のメリットです。突然ですが、ライトノベルをご覧になったことはございますか?

ライトノベルは文字だけで想像しにくい余白部分を、イラストで提示しますよね。表紙でイラストが提示されていると、作中の文章で、ずっとそのキャラクターをイメージしながら、ストーリーを追うことができます。

冒頭で紹介した、動くウェブトゥーンタイトルも、似たような効果があるのではないかと考えております。例えば、タイトルのアニメーションで、キャラクターが魔法を出す描写をしていたとします。その魔法を出すときの手の動き、空気の揺れ、振動などの微細な情報はウェブトゥーンの一コマの中に収めようと思ってもなかなか表現しきれません。なので、はじめにライトノベルの表紙絵のように、動画で見せてしまうことで、ウェブトゥーンの中の想像の余白が、アニメーションによって補完されるのではないかと。動くタイトルにはそういう意図もあるのではないでしょうか。

実際に、韓国・中国内でも、「自分の好きだったキャラがこんな風に動くんだ!」と喜ぶ声もあったので、読者の想像を補完するのに一役買っているかもしれません。


ウェブトゥーンはアニメになっていくのか?

いままでの情報を踏まえたうえで、再度本題に戻ります。ウェブトゥーンはアニメのようになっていくのか?

結論から申し上げると、まだ決定的なことは言えません(ずるい)

ウェブトゥーンは現在、「見せ方」「ストーリー」の両面戦略で発展している段階かと思います。見せ方の戦略とは、今回のようなプラットフォームのデザイン、動く特殊効果、絵のクオリティなどの部分です。ストーリーの戦略は、売れた作品のストーリーを横展開するメディアミックスや、MARVELやDCコミックスとの共同開発、小説作品のウェブトゥーン化などです。

私見ですが、カカオウェブトゥーンは、既存のウェブトゥーンに体験的価値を付加することでウェブトゥーン自体の価値観を塗り替えようと「見せ方」の戦略で動いており、ネイバー側はDCコミックスなどと提携したり、個人の小説投稿サイトを買収していたりもすることから「ストーリー」的な攻め方をしているように感じます。

そのため、もし、カカオの提唱するIPX的な価値観が、ウェブトゥーンのスタンダードになった場合、ウェブトゥーンはアニメとも、漫画とも違った「読む」「見る」「聴く」を超えた新コンテンツに発展していくことも考えられます。

しかし、まだ決定的なことを現段階で言えないのは、ウェブトゥーンは「見せ方」においても「ストーリー」においても、まだまだ伸びしろがたくさんあるからです。まだ試していない表現、ストーリーの組み合わせがたくさんあるんですよ!わくわくしますね!?

以上、長くなってしまいましたが、私なりのまとめとさせていただきます。ウェブトゥーンの未来、皆さんはどうなると思いますか!?


弊社コピンでも、世界に届くウェブトゥーン制作に日々励んでおります。「我こそは、世界を轟かすウェブトゥーンメーカーになる!」という志の方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にご連絡くださいませ。

随時、作家様、編集者様のご応募お待ちしております。

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