働くということいわないこと④

私が勤めた靴屋さんは今でも営業していています。

久々に口コミを覗きに行くと、これはあの人だ！とすぐに分かってしまい、相変わらずなのかなと思わずニヤニヤしてしまいました。
なので、お店の場所やらなんやらは伏せたままにしたいと思います。

お店には色々な人がいました。
お客様ではなく、店員さんですね。
田舎から出てきた私にはびっくりするようなことが多かったんですが、きっと人が多いところでは普通のことなんでしょうね。

入って最初に色々と声をかけてくれた先輩がいました。
この人には私のファッションセンスが野暮ったく感じたのか、色々とお薦めを教えて貰いましたが、私には背伸びしすぎというか、露出が多すぎて、結局、身に纏うのは断念しました。
地元はあまり治安の良い地域ではなかったのもあります。

私は公共機関の乗り継ぎもありましたし、乗り間違えも怖いので、毎回、早めに職場に向かうんですが、この早めのタイミングを間違うとこの先輩に捕まって、近くのスーパーに連れて行かれたりします。

先輩は少し早めに出勤して、近くのスーパーで間食のための食材を買ったりするようでした。
たまに私にも勧めてくるんですが、私的にはあまり食指の動かないものだったり食べにくい物だったりするので、毎回必死にお断りをしていました。

一度断りきれずに食パン一枚を何もつけずに食べさせられたことがあったんですが、お腹も空いてないし、贅沢言ってるのかもしれませんが、スーパーの食パンは何かつけないと食べない派閥に所属していたもので、飲み込むのも大変でした。

それなのに後日、他の先輩に、「アイツ、ばるこさんが食パンをやったのにお返しせんち文句言いよったけん気をつけり。」と教えられましたっけね。
確かに何かを貰ってお返ししないのは失礼だったのかもしれませんね。

例え食べたくない時に無理やり押し付けられた食べたくない物だったとしても。

その先輩ですが、ある日行ったらいなくなっていて、てっきり休みかと思ったら退職されていたみたいでまた驚かされましたっけね。

こんな何の挨拶もなく人がいなくなることを知ったのはこの職場が初めてで、またこの職場で私が退職するまでに挨拶される方はいませんでした。
そして私も退職時に皆さんに挨拶をすることはありませんでした。

それから、まるちゃんと呼ばれてる先輩がいました。

愛称は多分、苗字の一部をとったんだと思います。
商品を運んできてくれる福山通運のドライバーさんが好きだったみたいで、その人が来た時はまるちゃんを通すようにと他の先輩方から言われました。

正直言って気まずいです。
あちらがどう思っていたのかは分かりませんが、サインして荷物を受け取るだけの作業で、わざわざ、少々お待ちください。と声をかけて、まるちゃん先輩を呼ぶのです。

まるちゃん先輩は頬っぺたを真っ赤にして現れて、サインをして荷物を受け取るわけです。
もうバレバレですよね？
「もしかしてあの子俺のこと？」の、「もしかして」が抜けちゃう事態です。
でも名前は知らないみたいで、福山さんって言っていました。
私もずっと福山さんって人だと思っていたら、福山さんの福山は福山通運の福山と聞いてびっくりしました。

ちなみにまるちゃん先輩は、元モーニング娘の市井紗耶香さんによく似た可愛らしい先輩でした。

その先輩は一人暮らしを始めるので、もう少しお給料がいいとこにと、洋服屋さんに転職して行かれました。

今日はこのあたりで。
一応まだ続きます。