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アロワナとピラルク


1.おおきな淡水魚たち

今日はアロワナとピラルクの違いを学んだ。どちらも巨大な淡水魚だ。

アロワナは下あごが出ている。口の骨が発達していて、上下の顎ではなく口と舌で獲物を捕らえる。「アロワナ」という名前もギリシア語で「骨の舌」という意味である。
ピラルクは頭が横にひらべったい。また、体の半分より後ろが赤いのも特徴だ。「ピラルク」はインディオの言葉で「紅魚」らしい。

アロワナは成長すると1メートルほど、ピラルクときたら3メートルほどになるという。

つまり、アロワナは「なんらかのボスが部屋で飼っている例の巨大な魚」であり、ピラルクは「3人がかりで捕まえた巨大魚がこちら!」である。

野性味が強いのがピラルクだと思えば、おそらく間違いはなさそうだ。

2.おおきな淡水魚たちとわたし

次兄が大の魚好きで、最盛期には家に4つか5つの水槽があり、グッピーやプラティやネオンテトラや金魚などがひしめきあって泳いでいた。

そのおかげで、我が家は毎週のようにペットショップに通っていた。主に餌やポンプやフィルターを買うためだったが、わたしは入店するやいなや巨大魚の水槽にべったりと張り付くのが常だった。グッピーや金魚と比べて、この大きさはどうだ。泰然自若、悠々自適、威風堂々。己につけられた値段を知っているかのようだ。

その当時の愛読書「いきもの大図鑑」の「アマゾン」の項には、犬を飲み込んだ大型の魚や、乾季がきて陸に打ち上げられても生きていける魚、土の中に卵を生む魚など熱帯雨林の生命力を感じさせる文が載っており、わたしのなかではそれらの全てがアロワナの姿で再生されていた。

だから、このアロワナは実は最強の魚で、いざとなったら水槽から抜け出し、店の脇の川まで這っていって、したたかに生きていくのだろうと考えていた。売れ残ってもこわくないね、と話しかけていたわたしは、心のどこかで生き物を売り買いすることの恐ろしさを感じていたに違いない。

その後兄が独り立ちするのに伴って水槽の数は一つまた一つと減り、我が家から観賞魚が消えた頃には通い詰めたペットショップも閉店することになった。閉店セールを覗きに行くと、あのアロワナはおらず、大きな空の水槽に「売約済」の札が貼られていた。

アロワナはきっと、多摩川を遡上して、奥多摩あたりで元気にやっているに違いない。

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