あとむ 1st mini album『MUM』セルフライナーノーツ

❁❁ 1st mini album『MUM』作品概要 ❁❁

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tip top nap Gt/Vo あとむのソロプロジェクトとして、楽曲アレンジからレコーディングまですべてを自身で手掛けた 1st mini album『MUM』をデジタルリリースした。

リリース前に先行公開したミュージックビデオ「ふたりだけの世界」、「優しい声で名前を呼んで」、「お日さま」を含めた全6曲が収録されている。

USインディーやドリームポップ、海外のシンガーソングライターから影響を受け、アコースティックサウンドに落とし込んだ楽曲に、あとむの持つささやくような透明感のある歌声と、独特の世界観を感じられる作品となっている。

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❁❁ プロフィール ❁❁

あとむアイコン

1996年 京都府出身 ボーカル/ギター

歌をうたうことは生活の一部であり、幼い頃から音楽はごく自然にこころに寄り添ってくれる存在であった。

中学生の頃から感情や出来事を忘れず留めておくため、詩を書き始めるようになる。

大学からギターを始め、同時にオリジナルの楽曲制作を開始。軽音サークルでの活動を通してライブ経験を重ね、2017年に tip top nap を結成。本格的に音楽活動をスタートする。

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❁❁ 1st mini album『MUM』解説 & レビュー掲載 ❁❁

解説、というと少し大袈裟な気がするけれど、ソロで初めての作品『MUM』への想いを、ちょっとだけ書いておきたいなと思ったんです。

鬱憤ばかりが募るこの状況下、爆発したい気持ちを一変させてくれる音が届いた。(京都GROWLY 店長 安齋智輝)

まず、なぜソロプロジェクトとして作品を出すことになったのか。それは「自分の持つ感覚的な部分を具現化したい」と思ったからです。

これまでバンドで楽曲制作はしてきたものの、弾き語りのデモをメンバーに投げてみんなでアレンジ、という流れがほとんどだったので、アレンジまですべてを自分でするということがありませんでした。

これまでに聴いてきた音楽から吸収された要素が自分のなかでどのように生きていて、改めて外に出されるときどんな形になるのか、やってみたいと思ったことがソロでの制作を始めるきっかけとなりました。

また、自分がどこまでできるか試してみたい気持ちもあり、「楽曲のアレンジからレコーディングまで、すべて自分でやる」という目標を掲げて制作をスタートしました。

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鬱憤ばかりが募るこの状況下、爆発したい気持ちを一変させてくれる音が届いた。tip top nap とは違うアプローチ、まさに爪弾き、ささやく、大きなうねり、小さな言葉。
先行MV「優しい声で名前を呼んで」、登頂記念、万歳、涙が出た。たまには母に電話でもしようか、そんな作品の誕生に感謝。

京都GROWLY 店長 安齋智輝
Twitter https://twitter.com/Kyoto_GROWLY
HP https://growly.net/

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家族や恋人、あらゆる私物や公共物、友達や嫌いな人、今手元にはない宝物との物語であり、全ての終わりある関係性への賛歌です。(Daiki Yamasaki/Easy Yoke)

まずは弾き語りの既存の曲を見つめなおし、その曲を書くきっかけとなった出来事や感情ともう一度向き合う、ということから始めました。

これは自分のなかで最も苦しい作業で、この期間はとても大変でした。曲を書くきっかけとなるのはいつでも、"こころが大きく動いたとき" や "過去を思い出すとき" で、ポジティブな感情もあればネガティヴな場合もあります。と言っても圧倒的に後者が多く、こころをすり減らしながら曲を作ることがほとんどです。

今回ミニアルバムに収録されている曲も、ほとんどがネガティヴな感情から生まれています。そんな感情に対して、客観的な立場から "それでも忘れないよ" と、優しく抱きしめるように制作をしていきました。

そのせいか、自分の感情として曲を聴き返すとき、何の疑いも迷いもなく、言葉を交わさずとも手をつなぐ、親と子どものような関係性が私とこの作品にはあります。

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初のソロアルバム『MUM』は、家族や恋人、あらゆる私物や公共物、友達や嫌いな人、今手元にはない宝物との物語であり、全ての終わりある関係性への賛歌です。あとむの身体から伸びた糸はこれら全てと繋がっていて、ごく小さな張力の変化から喪失を予感しては、まだ切れてないよねと強迫的に確認しています。
センシュアルな歌唱と対比的に素朴な伴奏やその音色は、「優しい声で名前を呼んで」が持つメッセージの潜在的な重さをはぐらかしたり、「お日さま」のノスタルジックなメランコリーを生んだりしています。「ふたりだけの世界」は多峰性のピークを持った『MUM』の一際高い山であり、最も具体的な歌詞とドラスティックなストリングスアレンジによって、大切なものとの関係が変わりゆくことへの気付きと、そうなることへの不安や恐怖を明らかにしています。
ポップソングの解像度では、あとむが立ち向かった不安や恐怖の跡に気が付かないでしょう。先の見えない日々の中で、「ずっと一緒にいてもいいのよ」と誰かが言ってくれたなら、どんなに心強いでしょう。

Daiki Yamasaki (Easy Yoke)
Twitter https://twitter.com/Easy_Yoke
Easy Yoke 1st EP "Soft Laws" https://linkco.re/BgRPEZAh

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朝日が草木を寝かしつけているみたいな時間がなんとなくあって、覚えている/覚えてないとかじゃなくて、身に纏ってしまっている記憶だけで遊歩道に居る。(paya/幽体コミュニケーションズ)

ミニアルバムのタイトル『MUM』は、"Mum's the word" の Mum からきています。

普段は話すことのない、秘密にしている一面を曲のなかに見つけてしまった "君" にむけて、「内緒にしていてね」と伝えています。

そしてもうひとつ、自分だけではなく他の誰かにとっても、"母のように" 優しく包み込んでくれるような作品になるようにと、このタイトルをつけることに決めました。

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完全な線とか円は無いもんな、眺めているうちに皮膚、もう全部書き変わってしまってあの頃とは違う、と思う。朝日が草木を寝かしつけているみたいな時間がなんとなくあって、覚えている/覚えてないとかじゃなくて、身に纏ってしまっている記憶だけで遊歩道に居る。『MUM』。離れれば離れるほど重力を持つ思い出のような作品だなと思います。

paya
https://twitter.com/recitativo222?s=21
幽体コミュニケーションズ
https://twitter.com/yu_komisan?s=21

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優しく肩を寄せてくれるような、そんな作品です。ー僕も映像で製作を共にできたことを今はとてもうれしく思っています。(Kaishu Yagi(415ssues))

最後に、先行で公開したミュージックビデオについて少しだけ。

今回リリースしたミニアルバムから、「ふたりだけの世界」、「優しい声で名前を呼んで」、「お日さま」の3曲のミュージックビデオを制作しました。

第一弾に公開した「ふたりだけの世界」、第三弾の「お日さま」は、いずれも知り合いのクリエイターに依頼をしました。

まず、「ふたりだけの世界」を制作してくれた Soni Takeura 。

彼は、"他者に向けられる暴力、それらを見ることの快楽" をテーマに、現在大学院で研究をしながら制作を行っている同世代の映像作家です。(高校時代の同級生でもあります。) これまでは、自主製作映画や hip hop のジャンルを中心としたミュージックビデオの制作など、広い分野で活動されていました。

主にインスタグラムで彼の活動を見させてもらっていて、独自の世界観と映像技術の高さにとても注目していました。"暴力" というテーマを扱っていながら、彼の表現にはどこか人間のあたたかみや優しさを感じる部分がありました。そういった人たちとも共鳴できるような作品ができたら面白いのでは、という思いで今回映像の依頼をする運びとなりました。

コンタクトを取るのは高校卒業以来で、普段扱っている音楽のジャンルも違っていたし、実はほんとに怖い人だったらどうしようという気持ちもあったので笑、恐る恐る連絡をしました。すると、これまでバンドの方の活動を見てくれていたそうで、二つ返事で快く了承してくれました。(そにくんほんとにありがとう....)

彼が秋田県在住ということもあり、電話だけでのやり取りでしたが、曲への想いやどんな映像にしたいかなど、イメージを擦り合わせる作業を何度も重ねて制作を進めていきました。

そして出来上がった映像は想像以上のもので、春の日差しのあたたかさや、髪を巻き上げる風を感じられる、とてもきれいで素晴らしい映像に仕上げてくれました。

Soni Takeura、この先より広い世界で活躍するアーティストになりうると思います。彼のこれからの活躍、とても楽しみにしています。

Soni Takeura
Twitter https://mobile.twitter.com/SoniTakeura
Instagram https://www.instagram.com/soni_takeura/
HP https://s-takeura6072.wixsite.com/parttimeworker


続いて、「お日さま」を制作してくれた Kaishu Yagi(415ssues) 。

彼とは音楽の趣味も近しく、普段から一緒に遊んだりライブに行くような仲で、グラフィックデザインや映像制作を中心に幅広く活躍している姿を近くで見ていたので、今回のMV制作は迷わず彼にお願いしました。

普段から音楽や自分たちの価値観を共有しているせいか、曲への想いや映像のイメージをすぐに理解してくれ、スムーズに撮影に取りかかることができました。

あいにく京都は少し早めの梅雨入りで、予定していた日がとことん雨もしくは曇り。撮影を始めた途端に曇が出てきたり、なかなか上手くいかず、予定より倍の時間がかかって毎週のようにカイシュウに会うことなりました(それはそれで楽しかった笑)が、なんとか撮り終えることができました。

二人にとって、いろんな意味で思い出深い作品になりました。彼の今後の活躍も、ぜひ気にしてあげてください。


そして、第二弾で公開した「優しい声で名前を呼んで」。

この映像は、実家の物置きから発掘した MiniDV のビデオテープをダビングし、自身で編集したものです。

きわめてパーソナルなミュージックビデオになりましたが、観る人にとって、"自分とその人だけが分かる、決して揺るがないもの" や、"手放しで受け入れてくれる存在" を思い出してもらえたなら本望です。

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あとむがソロで発表するはじめての作品、聴く人それぞれに丁寧に寄り添うような印象を受けました。
ドリームポップやシューゲイザーの影響下にありながらあくまでアコースティックな歌モノに徹した内容がそうさせているのか、はたまた8年くらいの付き合いになる彼女の性格や考え方を知っているからなのかは、もう僕には正確な判断はできませんが、とにかく優しく肩を寄せてくれるような、そんな作品です。
なにより、旧友である彼女がこうやって曲を書いて発表し、僕も映像で製作を共にできたことを今はとてもうれしく思っています。

Kaishu Yagi(415ssues)
https://salon.io/415issues/home

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❁❁ 最後に ❁❁

このボリュームの文章を普段書くことがほとんどないので、取り留めもなくなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

おそらく、今度また書くことがあるとすれば、新しい作品をリリースするときになると思います。それまではしばらくの間、『MUM』をお楽しみいただければ幸いです。


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▼ あとむ 1st mini album『MUM』

収録曲:
1.あえか
2.お日さま
3.優しい声で名前を呼んで
4.♯01
5.ふたりだけの世界
6.Melt(MUM ver.)

‐ Bandcamp
https://atom723.bandcamp.com/album/mum
- 各種サブスクリプション
https://linkco.re/a2P2RVMR

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追伸
今回作品のレビューを書いてくださった安齋さん、やまさきさん、payaちゃん、カイシュウ。皆さんのおかげで、とても素敵な文章になりました。心より感謝いたします。

あとむ
June 5th, 2021

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