研究留学Advent Calendar



クリスマスですね!

もう2019年も残りわずか!クリスマスのご予定は決まりましたか!? 友人、恋人、家族、その他 (非実在含む)、もしくは1人で過ごすクリスマスを心待ちにしていることと思います。日本ではAdventカレンダー (物理) 自体はそれほど一般的ではありませんが、近年ではコスメブランド(Diorみたいなブランドからも)のAdventカレンダーがやや注目されたりしていますね。

わたし家の近所のスーパーでも売っていたりしていました。犬用もあります。

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https://www.traderjoes.com/fearless-flyer/article/5158

このスーパーはTrader joseというアメリカ本土に展開しているスーパーで、ほとんどの商品がPBで占められ、保有する在庫が一般的なアメリカのスーパーマーケットよりも少ないことで有名です。

“…well, typically a grocery store, or a supermarket, might have 35,000 SKUs, right? A tremendous selection and variety. And you go to Trader Joe’s they only have, say, 3,000 stock-keeping units in the typical Trader Joe’s…” http://freakonomics.com/podcast/trader-joes/

Trader Joe’sのトートバッグはお土産の定番なのでご存知かもしれません。

University of Southern California

このTrader Joe’sの現CEOのDan Baneの出身校のUSCという大学が僕が現在留学している大学です。日本で大人気の安倍首相がご遊学のために語学留学されたり、Tinderの創業者のSean RadとJonathan Badeenを輩出したりしています。近年では、寄付金で自分の娘を入学させたことで女優のLori Loughlinが夫とともに逮捕されて日本でも話題になっていましたね。 娘さんはYoutuberとして、大学生活を配信していたのですが、事件のあと半年ほどYoutuber活動を休止。つい最近、新たにyoutubeに投稿していました。(有名なUSCの人にはニール・アームストロングとかジョージ・ルーカスとかビタビアルゴリズムのアンドリュー・ビタビとかがいる)。

研究留学Advent Calender

ということで留学Adventカレンダーに投稿したUSC 博士課程3年(Viterbi School of Engineering, Department of Computer Science)のMatsui Akiraです。この貴重な機会を設けてくださった、けいひぐさんに感謝いたします。まずは、けいひぐさんが設定してくださった以下の質問に答えることから始めたいと思います。


いつ行ったか
2017年8月 - 現在進行中

どこに行ったか (組織など)
University of Southern California, Viterbi School of Engineering, Computer Science, phd program

何をやったか
博士課程(日本で言う後期と前期)をやっています。計算社会科学分野の研究をしたいです。

どうやって行ったか (どのようなプログラムで行ったのかなど)
Phd programに入学しました

アドベントカレンダーに参加したモチベについて

実は留学に関しての僕の文章というのはすでに既刊で、人工知能学会誌に投稿しました。

リンク先の文章ではTAについて書かれています。ぶっちゃけ、研究留学Advent Calenderに期待されるような事柄はリンク先のエッセイにすべて書かれていると思いますし、読みやすいとおもうので読んでください。

人工知能学会誌のエッセイには色々な感想を頂いたのですが大半が、

暗い
楽しいことが書いていない
写真に人物が写っていない
全体的にネガティブ

みたいな感想でした。かなり意図的に明るいトーンで書いたつもりだったのに...

研究留学Advent Calendar 本編

さすがに、現所属であるプログラムのUSCの悪い印象を世間に流布させてしまってはまずいと思い。もうすこし、留学について追加的に書くことにしました。なので以下の文章は人工知能学会誌のエッセイを読んだあとに増補版として読んでください。

以下、ブログの文体で書きます。

USCに入った経緯は?

出願して受かったので入りました。

授業について

あまり、ほかの研究留学Advent Calenderでは授業について書いていなかったので書く。授業も研究に資するわけだし。

USCの博士課程ではアルゴリズムは必修だし、CS分野の色々な技術を学びたかったので、自分の研究に役立ちそうな授業を受けた。Milind Tambeの授業では機械学習の研究をどう実世界に実装していくのかというのを学べた。しかも、Milindはその後Harvardに移籍してしまったので、最後の彼のUSCでの授業を取れたのはラッキーだったかも。


Named-entity recognitionの授業ではSOTAを争うジュニアファカルティから多くを学べた 。そういえばこの授業で初めてNLPのDLモデルを実装して、学びが多かった気がする。

今期は心理学部・CS学部・脳科学研究所の3つに所属している教授の授業を取った。大体週5本くらいの論文や本をよんでディスカッションするクラスで、Reaction paragpahを毎回提出して先生がコメントするスタイル。

これらの3つの授業は課題以外にも研究プロジェクトを遂行しての論文を書くことになっていたので、それぞれに論文が成果として残った (無残にもRejectされて行き場所が無い論文もあるけど)。

なんやかんやで授業効用の1つは興味のない事柄を強制的に学ばせることだと思う。今期の授業を例に取ると、心理学系のペーパーとかそこまで興味なかったけど強制的に読むことで学べたこともあった。自分の興味あることだけを勉強するのもいいけど、多少はイヤイヤながら誰かの指導のもとで勉強するのも必要かなと思うようになった。

研究のやり方について

研究のススメ方みたいなブログとかツイートとかよく見るけど、自分にはどれもイマイチピンと来たことがなくて、もしかして自分はそういうことに疎いのかも。研究のノウハウ的な本とかは日本にいた時にかなりの数に目を通したので、一般化されたノウハウを現実世界に落とし込むセンスが自分には欠けているのだと思う。

ただ、アメリカで多くの研究者を観察して1つ確実に言えるのは、Facultyレベルになっている人はWritingの力がかなり強いということ。writing能力がなければperishしてしまうからだろう。

Writing力を意図的に一定上まで高める必要があるということなので、最近ではWriting力向上を目標にしている。Writingの能力は研究遂行能力と相関はすれど、どちらかを高めれば一方が (それと同程度以上に) 高まるものでも無いだろうし。

USCでの研究の進め方は、アサインされたプロジェクトの雰囲気と様子でぼやっと研究を進める感じ。最初は適当なテーマ用意されて研究のイロハが学べるのかなと期待したりもしてたけど、特にそういうことはなかった。とはいえ、Independentな研究遂行能力こそ博士課程で身につける必要があることなのでこの点に関しては不満はない。

ぼくたちはまず、彼の研究体制が気になっていたので、どのような基準で研究メンバー(大学院生やポスドク)を選定しているのかについて訊いてみた。バラバシを求めて世界中から人が集まってくるとすれば、優秀な人材を選び放題であるはずだ。すると彼は即答で、われわれの予想を裏切る答えを返してきた。「それは、自立していることと(Independent)、善き人であること(Be nice)のふたつだ」(ネットワーク科学のイノヴェイターがたどり着いた「成功の法則」:アルバート=ラズロ・バラバシに訊く)

あるとき、一週間で論文を書かなくてはいけない事があったけど、その時は先生一同に主にライティングで助けて貰いました。感謝。


英語について

なんやかんやでアメリカで学生すると英語力は向上するかもと期待していたんだけど、あまり向上してない。試しにに同期にUSCに来たときと比べて僕の英語力が向上したか聞いてみたら、

「最近は何を喋りたいか予測する私の能力が向上したからある程度理解できるようになった」

と返答されてしまった。つまり、やっぱり全然向上していないらしい。たしかに、論文を書けば大抵のコメントで”This is not English”とか返されるし、会話でもどうやら自分の言いたいことが伝わってる様子でもなさそう。

自分の英語がそれほど向上しない理由に相手の反応があまり気にならない性格があるのかもしれない。人によっては、自分の喋っていることが伝わらなくてショックを受けてしまう人がいるらしい。とはいえ流石に相手に負担をかけてしまうのは申し訳ないので英語の勉強を始めた。


インターン

今年の夏はインターンに行った。アメリカのCSのPhdの学生は夏に企業でインターンをすることが多いらしく、なら僕もしてみようかなと。あとは企業に就職するなら企業でのインターンが必要だからだ。前半は日本のサイバーエージェントのAI Labでインターンして、最近では1月に早稲田であるNetSci Xでポスター発表する予定。で、夏の後半はサンフランシスコのLyftというライドシェアリング会社のDepertment of Economicsで働いた。すごく刺激的だったけど、内容はNDAの関係で書けないのであしからず。


生活・健康について

アメリカに来てー番の変化は体重(+10~13kg)だと思う。運動不足とかストレスとか食事とか色々で結構太ってしまった。アメリカは肥満の人が多いので自分が太っていると気付き辛いということもある。これはマジでPeer effectとは本当に存在する。自分が健康かどうか聞かれたら、どう考えても不健康になってると自信を持って言えると思う。

おわりに

短期のインターンとか研究留学と違って、博士課程の留学とかになると何年も他国で暮らすことになるので生活というか、留学する土地で人生をするのだという視点が必要だと思う。留学体験記で色々なパターンを知ったり、ノウハウめいたものを身につけておくのはすごく役立つと思う。
 
だけど、結局人生なので良いときは良いし、悪いときは悪い。短期間なら気合をいれて定めた目標を達成することはできるかもしれないけど、4、5年のスパンで常に目標を追い続けることは難しい。「己の不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やす」心構えは大切だけど力尽きることもあるだろう。そういう時に、研究留学なので研究だけが評価指標という心構えだとすこし柔軟性にかけるかもしれない。

研究留学Advent Calenderを読む人は研究留学をしようとする人が多いと思うけど、どうかあなたのする留学は自分の人生の一部として過ごされる期間なのだということを覚えておいて欲しい。色々な人の体験記を読みまくって一般化していくにつれて、薄れてまうものなので。

「じゃあ、どうすればいいのさ?」って思うかもしれないけど、特に僕からはアドバイスめいたものはない。なぜなら、人生をどう生きればよいかという質問について僕は答えを持ち合わせていないからだ。とりあえず、僕に限っては人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んでいないとは自信をもって言える。

じゃ、僕から以上。それでは、あなたのクリスマスが素敵なクリスマスになりますように!

追伸

よければよろしくおねがいします。

被災した子ども達に絵本を届けよう!被災地サンタプロジェクト



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