Godspeed You! Black Emperor の『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』 を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は  Godspeed You! Black Emperor の『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』 を聴いてみた編をお届けします。

ほぼ20分越えの各曲に、繰り広げられる大胆でカオティックな破壊と構築。

ノイジーなギター、ストリングス、ドローンが一丸となり生み出す轟音に飲み込まれる一枚。

ぜひ読んでみて、聴いてみてください!

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1.Storm

朝日が登るようなストリングス、気持ちの良い1日が始まるぞ感。トランペットみたいな音が素敵。3:15〜第一盛り上がり。煌びやかな音の重なり。ドラムが生き生きとしている…というか全ての音がとてもリアル。確かにリアルだけどリアル。生命力が躍動してる。この時点であと17分以上あるけど、どうなるんだ…??6:17〜一度落ち着いた。弦楽器の音の響きがとても静かで心地良くて美しい。9:57〜なんだかノイジーになってきた。10:14〜ナイスミディアム爆発。11:14〜ここ凄い、好き。10分を超えたあたりから怒涛の展開。前の10分は贅沢すぎる準備運動だったのかもしれない。12:44〜なんか台風来そう。鳥…?あらゆる音に取り囲まれていてソワソワする。14:00〜突如押し寄せる民族感に動揺。興奮。テンポダウン民族…からの「無」。ここで終わらない意地を感じる。ノイズと道路に面した誰かの生活音とラジオ…?19:05〜寂しげなピアノの音で悲しみの底に突き落とされる。なかなかカオス。展開のネタ切れしないの凄い。自分なら凄く頑張って6分だと思う。
(↑一曲が20分以上あるので、このようなバカ長いレビューが下に4つ続きます。挫けないで…!)

2.Static

幻聴…?意識の世界。耳鳴りとか立ちくらみではなく、確かに奏でられたもの。鉄道の走る音みたいなのがうっすら聞こえる。3分経っても意識の世界(?)に閉じ込められてる。無重力。3:40〜何か発射されそうで怖い。またナレーションが聞こえる。どこからともなく飛び込んでくるバイオリンの美しい旋律。泣きのバイオリンを気にすることなくナレーションは続く。なんだかエモーショナルに聞こえてしまう。7:35〜気づいたら荘厳ゾーンに入ってた。日本みがある。張り詰めた緊張感。不穏な空気。9:46〜ホラー。いつの間に、どうしてこうなったんだ…。11:22〜凶暴な爆発。ずっしりとクる。ズキズキとノイジーに展開。暗い音の洪水に引きずり込まれる。救いは無い。こんな怖いテンポアップあるんだ。16:03〜っ………!?テンポアップの先にあるのは破壊だった。というか自爆に近い。自爆後も危険な音が鳴り響いている。どうして…一体誰が…(パニック)。最後の方、殺人鬼の厨房(解体中)みたいな音が終始鳴り響いていてずっと怖い。

3.Sleep

CD2枚目の最初の一曲。これまでもナレーションはあったけど、この冒頭のナレーションはこれまでと違ってこちらに語りかけてきている感じ。ひっそりと演奏が始まる。ずっとずっと深く悲しげ…元気出して…!と思っていたら6:50〜ドラムが入って強気な悲しげになる。7:52〜ガンガンオラオラな悲しげへ。盛り上がりをコントロールしている。元気出しては余計だった。ひたすら恨めしそうに揺れている音不思議。9:28〜何が起こったんだ…!?疾走疾走。ドラムがエネルギーに満ちてる。ギターもギャンギャン。展開がいつも唐突。そんなところも好き。ギターがただ一人暴走し続け、不穏なギターフレーズが繰り返される。 ギターに合わせて荒い鼻息が聞こえるのは気のせい…?ドラムも入り徐々に興奮状態になっていくの格好いい。18:00〜冷静さが取り戻されてからの展開も格好いい…!21:00〜ウォ〜気持ち良ぇ〜!!!な轟音の壁。本当に23分もあった…?

4.Like Antennas to Heaven...

今度はまた何があったんだ…。陽気で気温高そうな音楽が聞こえる…と思ったらおどろおどろしい黒い塊みたいなヤバイ音に飲み込まれていく。不協和音が段々と宇宙空間に変わり、可愛らしくなる。この数分の間で色々起こりすぎて面白い。子供の声…?ヤバイ世界観。3:30〜子供がなんか突然歌い出した。4:00〜子供が消失した…なんなんだ一体。心が掻き乱されている。美しい旋律が鳴り響いている。天国。5:37〜!?!何!めっちゃびっくりした。突然ポジティブなロックサウンドになる。情緒がジェットコースター。7:00〜と思ったら、廃墟。10:39〜メロディアスな廃墟。なんなんだ。なんなんだって何回言ってるんだ。静寂の時。嵐の過ぎた後みたいな不穏な静けさ。15:00〜様子がおかしい…いや、ずっとおかしかった…。鍾乳洞に閉じ込められてるみたいな気持ちになる。残すところあと2分で、ヤバめのトリップが始まる。蛍光色が蠢き混ざり合うみたいな幻覚見える。統合される……

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内ジャケットには、4曲の楽曲の構成を示した図が描かれている。裏ジャケットには、「彼女は自分がブルドーザーだとの夢を見た」、「筋張った拳を、天へのアンテナのように突き出せ」という謎文も。

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Godspeed You! Black Emperor は、1994年に結成されたカナダのポスト・ロックバンド。2003年に活動を休止するが、2010年より活動を再開。
バンド名の由来は、1976年に公開された日本の映画『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』から。「GY!BE」と略されることが多い。メンバーはギター×3、ドラム×2、ベース、チェロ、ヴァイオリン、テープ編集という変則的な大所帯。


2022年一発目のレビュー、2枚組かつ1曲が大体20分前後。合計1時間30分近くある大作…!

一曲のレビューのボリューム、過去最多なのではないでしょうか…?新年早々ヘヴィ級レビューでした。

曲の構成を説明した紙が封入されているのも、やけに親切で面白かったです。

というか!!!このCDに描かれた手をどうしても真似して持ちたかったのですが、めっちゃ難しかったです!!!!!ママ有難う!!!!

一人じゃ無理です。

途中笑いのツボに入って、写真撮れないかと思いましたがなんとか無事に撮れて良かったです。

GY!BEは非商業主義派らしく、CDジャケットにはタイトルもグループ名も表記せず、マスコミ等にも一切顔出しをしない、メンバーについての情報も一切非公開…となかなかの徹底ぶりでビックリしました。

そんなことされたら余計に気になってしまう…!

さて、次回からは緩やかにマスロックへとテーマを移行していきます。

次回は、Slint の『Spiderland』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!


最後まで読んでくださり、有難う御座いました。

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