Don Caballero の『American Don』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は、Don Caballero の『American Don』を聴いてみた編をお届けします。

意表を突く変拍子の数々、ダイナミックで強靭なドラミング、緻密で変幻自在なギター。

寸分の狂いなくしっかり”狂っている”、巧みな演奏技術がぶつかり合う一枚。

ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

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1. Fire Back About Your New Baby's Sex

カウントのシンバルかと思ったら、ずっと鳴っている。緻密に計算されたかのように、そこにギターがはまっていく。躍動感あるパズル。マスロック=数学ロック、なるほど。既に展開が目まぐるしい。繰り返されているのに複雑で不思議。1:39〜自分はギターのクリーントーンに弱い…とても良い…。ベース、ゴリッゴリでいかつくて格好良い。3:00〜小難しそうなアンサンブルなのにブチ上がっちゃう、どうなってるのこれ…!

2. The Peter Criss Jazz

透明感ある神々しいキュートメロディ。ミニマルミュージック的。2:22〜徐々に数学じみてくる。緻密に絡み合って欲しい…それにブチ上がる人(私)が居るので。ドリルみたいな音面白い。4:27〜甘さもあり、とろけるリズムが気持ちいいゾーン。止まないドリル。5:20〜雰囲気がガラッと変わる。即興でセッションしてるストリートミュージックみたい。即興ぽく聞こえるのも計算なんだろうな…一体、どこからどこまで計算されてるんだ…?7:37〜奇妙な世界。左耳と右耳で遊ばれる。…と思ったらバチっと切り替わって小気味良い演奏始まるから面白い。

3.Haven't Lived Aftro Pop

ベース地鳴りするくらいヘヴィで格好良い。三曲目にして、ドラムが一番めちゃくちゃなことしてることに気づいた(遅い)。1:16〜なんだこれは…。パズルめちゃくちゃに放り投げてるのに、全部空中ではまっているくらいの気持ち悪い気持ち良さがある。知性的な変態って一番危なそう。どうしてこんなリズムを巧みに演奏できるんだ…?4:25〜頭がふわふわしてきた。寸分の狂いなく狂ってる。ダイナミックなのに緻密。ただただ凄い!

4.You Drink A Lot Of Coffee For A Teenager

もう冒頭から素人はリズム掴めなくなってるのに、ドラムはなんなんだ…?何拍子とかの世界ではないのに、的確に捌いて展開を動かしてる。1:15〜ドラムが大変なことになってるので、一回休憩させてあげて欲しい。ギターがパズル。NHKで小さい頃見てたピタゴラ系の映像が頭の中に繰り広げられている。

5.Ones All Over The Place

ギター弾いてて訳わからなくならないのかな…。一つでも間違えたらバンドメンバーからめちゃくちゃ睨まれそう。1:40〜ベースの音が「ベンベン」とかじゃなくて「バン!バン!」で、凶暴すぎる。3:28〜情動の放流。ここからの展開めちゃくちゃ変態的で気持ちが良い。踊りたくなる。6:00〜体の内側がフツフツしてきた。聞き手としては高まって爆ぜそうになるけど、演奏してる側どんな気持ちなんだろう。演奏に精一杯でそれどころじゃないかも…

6.I Never Liked You

静かに音を積み重ねたり、時に力ずくだったり。生命力あふれるドラミングに耳が離せない。尊敬に近い。2:26〜ベースがやっぱりいかつくて良い。いつもギターメインにレビューしがちだけど、今回ばかりは口うるさくベース推しちゃう。ギターの噛み合い方も、鳥肌立つほど凄い。

7.Details On How To Get ICEMAN On Yoru License Plate

野生的なドラミング。本当にリズムどうなってるんだ…?0:50〜ギターが自由〜!と思いきや、息ぴったりなんだもん…。1:40〜ドラムのリーダーシップと、それに絡む極太ベースが最高。2:32〜小回りの効いたギターの音聞くと、頭の中で四角いハコが縦横無尽にコロコロ転がる。3:52〜軽やかでありながら、しっかり重さも出してくるから凄い。楽譜とか見ないでこの複雑な世界を構築してると思うとゾッとする。

8.A Lot Of People Tell Me I Have A Fake British Accent

時々トライバルな雰囲気漂わせてくるドラム。幾何学的。緻密なアンサンブル。ベースもはや武器…?1:30〜加速していく感じ堪らなく気持ちが良い。この後のドラムソロみたいな時間、実力でボコボコに殴ってくる。2:50〜ドラッギーで全てふにゃふにゃにさせる危なさがある。3:40〜もうめちゃくちゃに格好良い…複雑なことをあたかも複雑じゃない感じでやってるのがクールでセクシー…セクシー(?)セクシーです。

9. Let's Face It Pal, You Didn't Need That Eye Surgery

ドラムによる銃撃をくらう。最後まで一切手を抜かずにクールに複雑。この余裕な感じがほんと…敵わない。ギターのテクニカルな指さばき。2:50〜8人くらいが一斉に話しかけてきたくらい何が起こっているのかわからない。音の密度がギッチギチ。ライブとかみんなどう揺れるの…どこのリズムを取るの…ライブ行って複雑なリズムに強引にでも揺れたすぎる。最後の爽快感、良い…

↓お客さん一人一人のノリ方が興味深い…音細か過ぎてほぼ高速頷きみたいになっていて面白い。

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Don Caballeroは、1991年にアメリカ合衆国で結成されたロックバンド。バンドのメンバーは「マス・ロック」のジャンルに定義されること嫌っているという。バンド名は、アメリカのコメディアンであるジョー・フラハーティによるキャラクター、「ガイ・キャバレロ」に由来している。「ドン・キャブ」や、「ザ・ドン」と省略されて呼ばれている。


● マスロック:直訳すると「数学的ロック」と言うように、計算し尽くされた緻密な音の配置、変拍子やポリリズムを圧倒的テクニックで演奏することを特徴とする。

生まれてこの方数学はずっと大嫌いでしたが(関係ない)、「マスロック」はマジガチに好きなジャンルだと気づいてしまいました。

しなやかで知的な変態性…気がおかしくなりそうでした。

本作が自分の生まれた2000年にリリースされていることすら嬉しい。

バリエーションも豊かで、切れ味も鋭く、ハードコアな感じも堪らなく良かったです。

Don Caballeroの皆様におかれましては、「マスロック」って定義される嫌らしいのに、先ほどからマスロックマスロック言っちゃって申し訳ないです…

てか!そもそも!マスロックを演奏する人たち凄すぎないですか…?あんなに複雑なことをサラッとやってのけちゃうなんて…頭が上がらないです。

日々のスケジュールとかも計算され尽くしているのだろうか…旅行とか、そもそもどんな家に住んでいるのかも気になる…日常ではゆっくりできてるのでしょうか。

ゆっくりして欲しい(無駄な心配)。

早速、“マスロックへの目覚め”を体感してしまったので、こんな状態になってからマスロック掘っていけるの楽しみです。


次回は Battles の『Mirrored (WARPCD156)』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!


最後まで読んでくださり、有難う御座いました。

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