21.お月さまの話

 僕は未治療なので当然ホル注をしていないから、毎月、月のものがある。ちょっと不順というか、間が空きがちなので正確には毎月ではなく、タイミングによってはない月もあるが、概ね決まった周期である。

 三年くらい前か。不正出血が一ヶ月か二ヶ月続いた。元々、二十四歳くらいからほぼ出血がなく、期間も五日程度と過少月経気味だったが、生理痛もなく楽でいいと思っているくらいで、病院には行っていなかった。気合いホルモンというやつかもしれない、とか思っていた。だが、僅かにナプキンに付着する程度とはいえ、月単位で不正出血が続けば、流石に行かざるを得ない。

 市立病院の婦人科にかかった。検査で膣に機械を突っ込まれるのだが、微妙に痛苦しくてかなり不愉快だった。結果は病変なし。

 医師がいうには、一度薬で生理を強引に起こし、子宮内の血液を出し切れば止まるだろうという話だった。そのためホルモン剤を飲む必要があり、FTMなので抵抗あるんですが……というも、それしかないよ、みたいな話で、仕方なく処方を受けた。まあホル注してないから体的には飲んでも問題ないしな……と自分に言い聞かせた。

 機械を突っ込まれたのが痛すぎて、自転車のサドルに座れないくらいだったので歩いて近くの飲食店へ行き、母に奢ってもらった。

 薬は普段利用している調剤薬局に処方箋を出すも、市立病院から少し距離があり普段そこの患者が来ないからか、薬の在庫がなくて取り寄せになった。病院ではお前の調剤薬局の名前がリストにあったぞ!という気持ち。

 数日後薬が届き飲み始め、多分、五日くらい飲んでいたと思う。薬の名前は忘れたが、飲み終わって数日して生理が始まる、という薬だった。

 出血量が久しぶりに多く、めまいがする思いだった。生理痛も珍しくあった。普段はちょっと腹に違和感があったり、腰が重かったり、やたらめったら眠かったりする程度なのだが、明らかに腹痛がありしんどかった。世の女性の大半はもっとしんどい思いをしている……と思って乗り切った。

 その後、またいつものサイクルに戻って、今のところ不正出血などはない。また機械を突っ込まれるのは嫌なので、二度と起きないで欲しい。いっそ早く閉経しろ!

 ちなみに過少月経は相変わらずなので、また不正出血するのではないかと戦々恐々として過ごしている。

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