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【ほぼ毎日エッセイ3】叔父のチケットの行方

「ほのちゃん、エメ興味ない?エメ!」

Bluetoothイヤホンをうまく使いこなせず
電源オフにするつもりが
なぜか繋がってしまった電話口で
叔父は突然そう言った

事故とはいえ突然電話してしまった私も私だが
電話口でいきなりそう告げる叔父も叔父だ
電話は用件がある人がかけるものではなかろうか

なんせ普段聴かないジャンルなこともあり

「Aimer……?うーん、今回はやめとくわ」

と告げると

「そっかぁ……いや娘と行こうと思ったんやけどねぇ断られちゃって。」

ライブがあるのは1月4日
従姉妹は東大か京大か浪人か、という私とは違い超エリート高校の受験前真っ只中。
そら断るだろう。普通親が制止するもののような気もするがそこは突っ込まないでおいた。

これが昨年10月のこと

そしてお正月に叔父に会うとデジャブのように突然言われた

「ほのちゃん、エメ行かない?!」

よくよく聞くと何故か3枚とり
2枚余っているらしい。
未だ2枚とも同行者が決まっていないという。

「Twitterでお譲りさがしてあげよか」

「ほのちゃんそんなことできるの!
なにそれ怖くない?」

「何回かやってるけど特にトラブルはないよ」

そうしてツイートするとすぐに欲しい方がいらっしゃり、無事同行者が決まった。

問題はここから先の連絡方法だ。
現地手渡しなのに私は行かない
そして叔父とお譲りする方を引き合わせなくてはならない。
あいにく、LINEもTwitterもしてないに等しい叔父と私のやりとりはショートメールと電話のみだ。

その日時に私が連絡を取れるように
仲介として入って伝言ゲームすることになった

待ち合わせ15分前
叔父から連絡が入った

入り口付近ローソンの椅子にいます

よし、まだわかりやすい。
そのままお伝えする。

5分後にもう1通

椅子は全部で8個あって
LAWSONの看板のLの下の椅子です。

笑ってしまったが的確な情報に
さすがと思いながら先方へ。

そして先方から

ショートカット、黒髪、スカートにリュックです。

そのまま叔父に伝えると
電話がかかってきた。

『えっ、女の子が来るの?!?!
こんなとこでお金のやりとりしてたら
援助交際みたいや…あかん!!!』

何故か男と思い込んでいた叔父が
取り乱した様子で私に小声で言ってきた。

私はけたけた笑いながら
大丈夫やからその人探してあげて、と
電話を切る。

そしてショートメールが届く

『多分あの人だと思う!どう思う?』

どう思うもなにもショートメール越しに
何故見えていると思っているのか不思議で仕方ない。

そうしているうちに先方から
無事受け取れました、との連絡が来た。
と同時に叔父からも電話がかかってきた。

『うわぁ〜ほのちゃんびっくりしたよ
女の人だったあああ
すごいね、誰にも変に思われなかったかな……
二枚だったけどね1人で来てたの
席に着いたらカップルとかだったらどうしよう……知らんぷりするのも失礼だよねぇ……
いやーでもありがとう!!楽しんでくる!!』

とても高校生の父親とは思えないような叔父は
無事にAimerのライブを楽しんだらしい。
ちなみに同行者はお母様だったそう、
側から見たら家族やん。

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