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一輪の花


深呼吸をする。
冬の澄んだ空気が全身を駆け巡った。

君が見ている世界はどんなに綺麗で美しいのだろう
君が見ていた世界を最後に一度だけ見てみたいって、そんな歌詞があった気がするけど、なんだったっけ。

私たちが出逢って恋をして、同じ世界を見ると決めた
あの頃の君も感情も景色も、全てが愛おしくて全部抱えて抱きしめたくなるんだ


初めて会った日、雪が降っていた。
君の住む街へ、私が初めて降り立った日。時計の針がもうすぐ18時を指す頃、私の泊まっていたホテルの前に君が来た。

ちょっと緊張したけれど、心の中では暴れ回っていたけれど、不器用だから平気なフリをした。


私の人生というレースに、君がやってきて並走し始めた。
ひとりで走るよりも君がいると不思議と息が吸いやすくなった。


愛しているよの一言じゃ伝えきれないこの感情を、一生かけて伝え続けるよ、なんて、歌ならそんなくさいことも言えるから羨ましいよ


5月、住む場所を移した。一緒に暮らし始めた。


抱きしめてキスをして、だいすきって言葉にしても心の中のざわめきが止まらない。恋をすると世界が色づくとよく言うけれど、もし君がいなくなったら私の世界は本当に色を失うんだろうと思う。



今日は恋人の21歳最後の日。
誕生日のプレゼントは腕時計にした。


『腕時計は見るたびに贈ってくれた人のことを思い出すんです』


いいなぁ、素敵。
悲しいことがあっても、離れていても、ずっと味方だよってこの時計が言ってくれる気がする、そんなことを考えながら。



いつかその針が止まった時、新しいものを贈るのが私なら嬉しいな。

出逢ってから今日までしたたくさんの約束をこれからもまた、一つ一つ叶えていこうね。
君の手を取って歩く道はどこだって、冬のイルミネーションの中を歩いているみたいにわくわくするんだ。




愛しているよの一言じゃ伝えきれないこの想いを、一生かけて伝え続けるよ


だからこれからもずっと、隣で笑っていてね




お誕生日おめでとう。







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