【レビュー】HP Pavilion Gaming 15 cx-0000シリーズ パフォーマンスモデル

購入日からは一年以上経っています。

まずは,意匠の評価です。
筐体上外面にあるHP社のロゴは,大きく,目を引くデザインで良いと思います。光沢がありますが,金属製ではなく樹脂製です。
下外面は,意匠性は考えられていないように感じます。目につく部分ではないのでこれで良いでしょう。側周面は,各種接続用ポートや冷却用の排気口があります。
内面の意匠は,可も不可もなくと言ったところです。
ディスプレイは,他の製品と比べてベゼルが薄いのでインチサイズ以上に小さく感じます。
キーボードのデザインも悪くないと思います。黒色のキーに白のプリント印字で視認性は抜群です。
テンキー搭載ですので,文字キーが左寄りな部分は好みが分かれると思います。私は,以前使用していたノートPCがこれと同じくテンキー搭載モデルでしたので気になりませんでした。
スピーカーは内下面奥部に搭載されています。目の細かいホールメッシュタイプです。見た目は悪くありませんが,メッシュ部に細かいゴミやチリが挟まるのが難点です。

品質評価です。
筐体の剛性は低いです。特に,筐体上部(ディスプレイ部)はオール樹脂製でありながら薄く,内部にフレームもない簡素な構造なのでたわみが激しいです。開閉時のディスプレイ角度は,ブッシュのフリクションで支持するオーソドックスなタイプですが,筐体剛性とフリクションがマッチしておらず,開閉角度を決めるのが極めて困難です。ディスプレイの曲げ損傷リスクを軽減する為にも,筐体上部の剛性は大幅に向上させる必要があると思います。
筐体下部の剛性は,実用上問題になることは少ないでしょう。しかし,底面カバーは持ち運び時を考慮すると明らかに剛性不足です。
全体的に剛性不足であることは否めません。部分的で良いのでアルミを使用すると,重量,剛性,放熱性の面で現状以上の性能を満足すると思います。
組付け精度は非常に低いです。
あらゆる部分のパーツクリアランスが広く,清掃時に雑巾のパイルを噛み込んでしまいます。
トラックパッドやキーボード,スピーカー等のはめ込み部分の隙間に細かなチリやゴミが挟まってしまいます。組付け品質は,異物噛み込みによる動作不良に関係するので改善を望みたいところです。
筐体上内面上中央部にはウェブカメラが搭載されていますが,これも取り付け精度が低いです。
集光部とその周りのレンズベゼル部のクリアランスがバラバラです。品質に厳しいメーカーであれば,不良品となるレベルです。

インターフェースの評価です。
キーボードは浮石型で,キーピッチは広めです。以前も浮石型キー搭載のノートPCを使っていたのですが,それよりも打ちにくく感じます。打鍵感覚は安っぽいです。反力感が非線形で,初期の反力感は強めですが,押力が一定以上になると急激にキーが沈み始めます。キーレスポンスは至って普通です。まったくストレス無く入力が可能です。
トラックパッドは,表面のフリクションと操作時の直感性に関しては高評価です。しかし,クリックに関しては及第点はつけられません。押力の要求が過大であるが故に,クリックをするとポインタが目的の箇所からズレてしまいます。トラックパッド内部のクリックスイッチの押力反力を下げ,さらに,クリック動作中のみ一時的にポインタの操作感度を下げる制御を導入すれば解決すると思います。
ディスプレイの描画性能は高いと思います。色味を病的に気にしたり,リフレッシュレートを求める使い方はしないので,ハードユース時の評価はできかねます。
スピーカーの音質も評価は控えます。しかし,筐体の剛性が低いので音質を求めることは原理上不可能でしょう。

CPU及びGPUの処理性能は高いと思います。
メモリは16GBですので,今時のPCとしては必要十分な容量は備えられていると言えるでしょう。OSとソフトウェア用のCドライブは128GBのSSDですが,これは容量不足です。
OSアップデート時は,旧バージョンのバックアップで残容量が大幅に低下します。
HDDは1TBですので十分です。
音量は,2ボリューム単位でしかコントロールできません。繊細な音量調節の為にもこのような仕様はやめるべきです。

動作音は大きいです。
特にファンの音が大きいです。イヤホンを装着して音楽を聴いていても聞こえてくるレベルの大きさです。

機器接続性は低いです。
USBポートの数も少ないですし,何より光学ドライブが非搭載です。
Blu-ray対応のディスクドライブは,あったほうが確実に便利です。

全体としての評価は、カタログスペックから予想される現物のクオリティは,全く期待外れであると思います。
組付け精度を高め,パーツ一つ一つの面取り加工,高剛性素材及び高剛性構造の採用,清掃性を考慮した意匠設計をもっと真面目に考えるべきです。
カタログスペックは国内メーカーのものよりも優秀ですが,現物となると上記の点で劣ります。
以前使用していたPCがNECのLavieであったことからも,品質に対しては厳しい評価を下さざるを得ませんでした。

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