ジャブッ の表現力

父が、鳶職の見習いをしていた頃



高所から道具を落とすと、

すぐさま

大声で

「デッコーー」

と声を上げ、注意を促したという


ある日のこと

「デッコー!」

と掛け声

すぐさま

「ジャブッ」

と言う音


田んぼへ スパナが落ちたのだ



探せと言われたが わからなかった


この話
繰り返し 繰り返し聴かされた



「デッコー」と叫ぶ声が鳴り響き

 
スパナが

「ジャブッ」と 

泥水のしぶきがとんで
田んぼの土中深くのめりこむ様子が

つたわってくる



父の話す

リズム

腹に力の入った発声で

話されたからこそ。






聴くことが叶わなくなった今だからこそ、その表現力を思い知る。



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