新しいモノを作りたいなら言葉を超えて情動に身を任せてみるという話
こんばんは!
今日は新発明がしたいなら言葉を超えろ!ということについて書きたいと思います。
この記事は、
・これまでに無い新しいものを作りたい
・俺が新しいジャンルを作るぜ
・既存のものはどれも同じに感じてつまらない
・発明の為の閃きが欲しい
などなど、新しいものが作りたいと思っている人の参考になると思います。
実は、この記事を書こうと思ったのは、コチラ↓の動画を見て大きなヒントを得たからです。(下記動画はパート2の途中からです)
最初にこの動画について、少しだけ説明しておきたいと思います。
この動画はデジマートマガジンという楽器に関する情報を発信しているメディアなのですが、村田さんという方が連載している『DEEPER’S VIEW』の最新の記事(2018/05/26現在)になります。
内容をかいつまんで説明しますと、ギターのエフェクターにモジュレーション系という音を揺らす効果がある、ユニヴァイブ(Uni-Vibe)という伝説のエフェクターがあります。
伝説になった理由としては、ギターの神様と言われるジミ・ヘンドリックスが愛用していたことが挙げられます。また、現在では個体数が少ないことや、その後、ユニヴァイブを模して様々なエフェクターが出ていますが、あの音に近づけたエフェクターは数える程度しか無いこともあるでしょう。
そのジミヘンが使っていたユニヴァイブですが、実は日本のメーカーが作っていて、その開発者である三枝文夫さんがユニヴァイブの開発秘話を語っている動画になります。
では、なぜこの動画に新しいものを作るヒントがあるのかというと、上記の動画(17:45~)からの三枝さんの言葉がとても重要だと思ったからです。
ギターに関する知識が無いと難しいというか興味がわかない内容だと思いますので、かいつまんで説明します。
三枝さんがユニヴァイブというエフェクターを作ったのは1960年代です。
今からもう約60年も前になりますが、そこから様々なテクノロジーが進化して、エフェクターでも色々なエフェクターが登場しました。
しかし、新しいジャンルと呼べるものは少なく、既存のエフェクターを進化させたもの、組み合わせたもの、廃盤になったものを再現したものが増えていきました。
その理由について、先人がそれらの基礎を作ってきたという事実がありますが、三枝さんはもう一つの理由として『言葉』の存在を指摘します。
言葉が限界の枠を決めている
この『言葉』が何を指しているのかと言えば、一言で言えば『カテゴリー』の存在ということになります。
動画の中でも出てきますが、例えば「エフェクターでこういう音が出したい」と思った時に、開発出来る人に音のイメージを伝えるには「〇〇というエフェクターのような音」というように、共通認識できる言語を使って説明することになります。
しかし、「~のように」というものが、実は既に枠の中での話しであり、枠から飛び出すような新しいものが作りづらい状況を作っているんじゃないか?と三枝さんはおっしゃっています。
音というのは、頭の中でイメージ出来ていても、伝えられなければ望むものを開発してもらうことができません。
なぜなら、一度は言語化して説明しないことには、開発する人にとっては見当もつかないからです。
例えば、新しい料理のメニューを作ろうと思ったものの、「こういう味にしたい」と説明するには、「~のような感じ」と言わざるを得ません。
しかし「~のような」が抽象的で「海が広がるような味」と言われても、魚介類をたくさん使ったような味なのか、ブルーのような爽やかな味なのか、荒々しい波のような豪快な味なのか、などなど、情報が多くなってしまえば無限にイメージがわいてしまいます。
でも、それが「魚介のスープのようなイメージ」という言葉があれば、「なるほどスープを作ってほしかったんだ」という事が分かり、イメージが膨らんでいきます。
が、その瞬間に魚介のスープというジャンルの傘下に入った新しい料理を作ることになります。
言語が枠を作ってしまうと同時に、言語があるから協力者を募ることができる。
一見すれば、ジレンマのように思いますが、この事を理解しておけば、言語化すればジャンルを既定してしまうけど、同時にその既定の線の先があることもぼんやり浮き上がります。
そして、そのぼんやり浮き上がった先は、言葉を超えて映像や音、匂いや、質感(触覚)、後はなんとなくという第六感的な部分を頼りにすることが大事になると思います。
言語表現で行き詰ったら、他の感覚を導入してイメージしてみては如何でしょうか?
ちなみに、Leqtiqueというエフェクターブランドを手掛けるNokinaさんという方は、エフェクターのデザインに北一硝子や画家のモネの作品、カードゲームからもヒントをもらっていると話していました。
もし、新しい発想に行き詰った時は、全く別のジャンルからヒントを得てみることをおすすめします。
この別のジャンルからヒントをもらうことについては、別の機会に共感覚に関して解説しようと思います。
ぶっ飛び発想と知識と好奇心
この動画で、三枝さんはモスクワから届くラジオ放送を聞いていた時の揺れる音をイメージしてユニヴァイブを作ったと語っています。
個人的には、「そんな所から発想を得たのか!」と驚愕しました。
恐らく、ギター好きの人でもそのイメージが出来た人はいないんじゃないかなと思います(そういう意味であの動画は好きな人にはたまらないでしょう)。
三枝さんは、ユニヴァイブを作って以降も楽器の制作に取り組んでいますが、ここ最近の発明という点については、次世代の真空管であるNutubeの開発をされています。
現代で真空管が使われるものって中々無くて、ギターのアンプなんかが一番使われているんじゃないでしょうか?
真空管をより便利にしたトランジスタがありますし、現代ではICチップなんかもあります。
でも、ギターのアンプは真空管を使ったものが一番弾いている側も、聞いている側も聴き心地がよいと思います。
最近のアンプシミュレータでも、結局は真空管を使ったアンプのサウンドやニュアンスを再現しています。
しかし、真空管の欠点は耐久性や寿命、更には作る側のコストなどあり、白熱電球のようにいつかは無くなってしまうのではないかと思います。
そうした中で、次世代の真空管が作れないかということで三枝さんが日本発の蛍光表示管(VFD)を作っていたノリタケ電子に協力を依頼してNutubeを作りました。
三枝さん曰く、真空管の仕組みもVFDの仕組みも同じだからという理由なのですが、その発想にたどり着くまでに昔のラジオをヒントにしたという話しが出てきます。
この話を聞いた時に、ぶっ飛んだ発想というのは、先に『ゴールありき』です。
三枝さんの場合も、その時点では無かったラジオのゆらぎを音楽に使ったらどうなるか?というゴールや、次世代の真空管に頼らない真空管を作るというゴールがありきです。
このゴールも現状の延長線上では無く、現状には無い、現状の外にゴールを設定している点がポイントです。
その次に、従来の枠を超えた知識と知識を組み合わせることや、実験や検証による実装を行うことで、
その根底には、「楽しそう」「ワクワク」といった感情と共に「~したい」という動機が脈打っています。
まさにコーチングのゴール設定の見本とも言える三枝さんの開発秘話からは、学ぶことが多いと思います。
まとめ
既存の枠にとらわれずに新しい発明をしたいと考えているなら、
・現状にないゴールを設定する
・感覚としてワクワクや楽しそう、面白そうを基準にする
・発想する為には言語と一緒に五感をフル活用する
・言語を使う場合は言語の枠のその先を意識する
上記を意識してみては如何でしょうか?
ちなみに・・・
この記事もすべて言葉を使っています。
私が言葉で表現できていない感覚があります。
ボキャブラリーを駆使したり、相手の記憶を頼りに文字を構成したりと色々なテクニックはあると思いますが、やはりその人自身がこの記事を読んでイメージされたことが大切だと思います。
ですので、あえてすべてを表現しようとはしていません。
機会があればお会いした時にその”感覚”がお伝えできればと思っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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