演芸界の今に思う事 その7


私は数年前まで露の新治師匠を存じませんでした。
師匠を知ったのは、毎年お盆時期の上野鈴本演芸場特別公演の仲入り出番で必ず顔付けされていてその公演を聴きに行ったからです。
米朝師匠を思い出させる上品な上方言葉、指先にまで神経が行き届いた綺麗な所作にすっかり魅せられ、その特別公演以外にも関東での出番があれば追いかけていました。
この夏に定年退職を迎え生まれ育った関西に戻ってきて、新治師匠の高座を聞ける機会が増える事は本当に嬉しく思っています。
先に書いた通り、上方本寸法と言える噺は勿論の事、マクラでの視点やワードセンスが新しいのです。
この記事で紹介されている人権高座や関東の噺家にオンラインで稽古をつけていることなど、本当に幅広い活動をされている事を知り新治師匠のことを益々好きになりました。

これまで落語がずっと残り続けて欲しいとの想いでNOTEを書いてきました。
改めて今回新治師匠の記事を見て再認識したのは、残していくものと変えていくものをしっかり考えていく事の大切さです。
ブームや単純な客入りだけではなく、様々なエンターテイメントが溢れている中で末長くこの芸能が生き残る為には、この芸能の本質的な魅力は何かを理解し継承していく噺家さんと、その継承を見守る客の両輪こそが大事です。
もちろん贔屓の噺家さんを応援し続けることはその一つだと思います。
それだけではなく、新しく興味を持ってくれた客や久しぶりに戻ってきた客を同じ落語好きとして温かく迎える事も必要だと思っています。
記事の中で新治師匠が言われている落語を聴いて頭の中で映画以上の絵が浮かんだ事を知る愛好家がそれを広く知らしめる為に何か小さいことからでも出来ればと思います。
それに適っているかどうかは分かりませんが、こんな風に書き続けるているのもその一つかと勝手に思っています。

大きな話になってしまいますが、SDGs達成する為には一人一人が自分で考えコツコツと小さい事でも続けてやっていく事が大切なのと似ている気がします。

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