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【読書記録】2023年4月30日〜5月6日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 ゴールデンウイーク、みなさんはどんなふうに過ごしましたか?
 先週の記事でも書きましたが、私の仕事は土日祝祭日は関係ない仕事なので、愛も変わらず通常運転。いつも通り仕事をして、空いた時間は本を読む。
 変わり映えしない毎日ですが、このなんでもない毎日が、私にとってはとても大切なんです。

 ということで、早速ですが、今週出会った本たちを、いつものようにざっくり紹介します。

【2023年4月30日〜5月6日に出会った本たち】

●4TEEN

著者 石田衣良

【内容紹介】
 東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれないー。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。

裏表紙より

【収録作品】
びっくりプレゼント
月の草
飛ぶ少年
十四歳の情事
大華火の夜に
ぼくたちがセックスについて話すこと
空色の自転車
十五歳への旅

【感想】
 ナオト、ジュン、ダイ、そしてテツロー。彼らは14歳。
 14歳の男の子の頭の中なんてもう、あのことばっかり。
 そんな少年たちの日常が描かれる連作短編集は、とにかく眩しい。
 入院中のナオトにみんなが送ったプレゼント。
 プラトニックな不倫相手の夫のDVに立ち向かうジュン。
 父親に手をかけてしまったダイ。
 末期癌の患者やゲイであることを告白した同級生を、なんの偏見もなく受け入れ、教室で嘔吐してしまった女子を抜群のチームワークでフォローした彼ら。
 春休みには親に嘘をついて、ちょっと大人の世界を覗く秘密の旅。
 いい話だと涙腺を緩めると、次の瞬間に襲ってくるエロ話。
 なんだか懐かしい香りがして、胸が熱くなりました。

●6TEEN

著者 石田衣良

【内容紹介】
 あれから2年。テツロー、ナオト、ダイ、ジュンは高校生になった。はじめてのセックス、二股の恋愛と裏切り、同級生の死。なにが変わって、なにが変わらないのか。東京湾に浮かぶ月島で、ぼくらは笑い、怒り、悩みながら、永遠と未来の間をさまよい歩く。まだ少しだけ、憂鬱や退屈や不安よりも、早く走れると信じて──。『4TEEN』のその後、四人組が駆け抜ける16歳の青春。

裏表紙より

【収録作品】
おばけ長屋のおばあ
クラインの妖精
ユウナの憂鬱・
携帯小説家に出会ったら
メトロガール
ウォーク・イン・ザ・プール
秋の日のベンチ
黒髪の魔女
スイート・セクシー・シックスティーン
16歳の別れ

【感想】
 あれから2年。それぞれ別の高校に進学しながら相変わらずの4人。
 もちろん頭の中はやっぱりあのことばかり。
 クラインフェルター症候群の同級生をあっさり受け入れるテツローはまさに、今流行りのダイバーシティの体現者。
 2年前のオトナ旅行で出会ったユウナ親子と同棲生活を始めたダイの禁欲宣言。
 ナオトとジュンの気持ちを弄ぶ魔女の存在。
 そして最後は中学時代空を飛んだヒーローのその後。
 この4人は多分ずっといい友達のまま、これからも支え合っていくんだろう。
 大人になった彼らのドタバタもみてみたい。

●灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークⅥ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 池袋は安全で清潔なネバーランドってわけじゃない。盗撮画像を売りさばく小学5年生が、マコトにSOSを発してきた。“まだ人を殺してない人殺し”マッドドッグ相手にマコトの打つ手は?街のトラブルシューターの面目躍如たる表題作など4篇を収録したIWGPシリーズ第6弾。

裏表紙より

【収録作品】
灰色のピーターパン
野獣とリユニオン
駅前無認可ガーデン
池袋フェニックス計画

【感想】
 一番心に残ったのは第2話の「野獣とリユニオン」。
 この話は犯罪被害者と加害者の和解を描いていて、最後の握手のシーンにはグッときました。
 第3話は、夜の仕事をする人たちの子供を預かる無認可保育園で働くテツオの、小児性愛疑惑を晴らす話ですが、このテツオはなんらかの軽い障害を持っているようで、石田さんの物語の中には度々障害を持つ人が登場するのが興味深いです。
 今回マコトが築いた人脈は小学5年生から東京都副知事までと本当に幅広い。このままいったら総理大臣ともコネができるのでは?

●Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパークⅦ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 鉄の結束を誇るGボーイズに異変が生じた。ナンバー2・ヒロトの胸の内に渦巻く、キング・タカシに対するどす黒い疑念。Gボーイズが揺らげば、池袋のパワーバランスも破綻しかねない…。タカシの危機にマコトはどう動くか?史上空前の熱き闘いを描く表題作はじめ4篇を収録した、IWGP第7弾。

裏表紙より

【収録作品】
要町テレフォンマン
詐欺師のヴィーナス
バーン・ダウン・ザ・ハウス
Gボーイズ冬戦争

【感想】
 このシリーズはどの話もその時その時の社会問題をわかりやすく取り上げているし、心が揺さぶられる話ばかりなので飽きることがありません。
 一番心に残ったのは元放火犯の少年の再生の話「バーン・ダウン・ザ・ハウス」。まさかこのシリーズで涙を流すことになるとは…。
 表題作の「Gボーイズ冬戦争」は、サイボーグのようなキングの人間味を少しだけ感じることができました。しかし、タカシって一体何者なんだろう。
 それにしても、副知事の次はプロの暗殺者「カゲ」とのコネクション。実は池袋の真の実力者はマコトかも。

●非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークⅧ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。表題作他3編収録。大好評IWGPシリーズ第8弾。

裏表紙より

【収録作品】
千川フォールアウト・マザー
池袋クリンナップス
定年ブルドッグ
非正規レジスタンス

【感想】
 この巻の大きな柱はシングルマザーと非正規労働者の問題。
 第1話の「千川フォールアウト・マザー」は、シングルマザーの風当たりの強さと、ちょっとした心の隙間に忍び寄る悪意。そしてマコトと最終兵器かあちゃんの過去も覗ける良作。
 愛2話の「池袋クリンナップス」と第4話の「非正規レジスタンス」は、両方とも大企業の御曹司が最下層の現場を経験し、決意を新たに親の会社に帰っていくストーリー。
 それにしても、たしか働く側が働き方を自由に選べるとして始まった「非正規労働」という働き方は、なぜ企業側に都合のいい血も涙もないシステムに変わってしまったんだろうか。

●てのひらの迷路

著者 石田衣良

【内容紹介】
 二十代の頃の恋愛、作家デビュー、そして母との別れ…。川端康成の『掌の小説』に触発された著者が「ささやくように」書きつづった、美しく、ちいさな二十四の物語。私小説のような味わいを持つ掌篇のストーリーと切れを楽しみながら、人気作家の素顔を垣間見ることができる、あなたのための特別な一冊。

裏表紙より

【収録作品】
ナンバーズ
旅する本
完璧な砂時計
無職の空
銀紙の星
ひとりぼっちの世界
ウエイトレスの天才
0.03mm
書棚と旅する男
タクシー
終わりのない散歩
片 脚
左 手
レイン、レイン、レイン
ジェラシー
オリンピックの人
LOST IN 渋谷
地の精
イン・ザ・カラオケボックス
I氏の生活と意見
コンプレックス
短篇小説のレシピ
最期と、最期のひとつまえの嘘
さよなら さよなら さよなら

【感想】
「新刊展望」という雑誌に連載(1編だけ小説現代)されていた掌編小説をまとめた本書。
1編が原稿用紙10枚程度のいわゆる掌編なので、物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、それぞれのお話の前に石田さんの解説があって、執筆時の状況や心境などが明かされているので、とても新鮮でした。
 内容はといえばノンフィクションや私小説っぽいものから、SFやファンタジー、お得意のど直球な官能小説まで実に多彩です。
 特に興味を惹かれたのは、石田さんがどういうふうに小説を構想していくかについて書かれた「短編小説のレシピ」と、その構想から書き上げられた「最初と、最後のひとつまえの嘘」。
 読み終えて作家さんの観察眼の鋭さと想像力の逞しさを再認識することができました。
 やっぱり、作家さんってすごい!

●LAST

著者 石田衣良

【内容紹介】
 外国人窃盗団に雇われ、通帳から現金をおろす出し子の男が最後に打った手は(「ラストドロー」)。住宅ローンに押し潰されそうな主婦が選んだ最後の仕事とは(「ラストジョブ」)。リアルで凶暴な世界に、ぎりぎりまで追い詰められた者たちが、最後に反撃する一瞬の閃光を描く。明日への予感に震える新境地の連作集。

裏表紙より

【収録作品】
ラストライド
ラストジョブ
ラストコール
ラストホーム
ラストドロー
ラストシュート
ラストバトル

【感想】
 莫大な借金を背負った人々の最後の選択を描く短編集。
 テーマがテーマだけに、石田さんには珍しいブラックな短編集ではあるのですが、ほとんどの話が一応微かな光が見えそうではあります。
 7編の中で、住宅ローンを払うために妻が選んだ仕事を描く「ラストジョブ」は、タブー視されがちな障害者の性について描かれていて、他の話とは少し切り口が違う印象を受けます。これはぜひ長編で読みたい。
 最終話の「ラストバトル」は、ヤクザがロシアンルーレットの順番を「最初はグー」とか言ってジャンケンで決めていたのには笑ってしまいました。

●マタニティ・グレイ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 ちいさな出版社で働く千花子は、今の暮らしに満足していた。明るくおおらかなカメラマンの夫、お気に入りの住まい、やりがいのある仕事。しかし予定外の妊娠で人生の大きな変更を迫られる。戸惑いながらも出産を決意したが、ある日下腹部に痛みをおぼえ、切迫流産で入院することに…。母になる不安と期待、そして葛藤。仕事に燃えるキャリアウーマンの心の揺れをつぶさに描く、悩みも喜びも等身大の、新たなマタニティ小説!

裏表紙より

【感想】
 石田さんが贈る妊娠・出産応援小説です。
 中堅出版社で雑誌の編集に携わる千花子は、結婚はしているものの「子供はいらない」と公言して憚らないバリバリのキャリアウーマン。しかし予期せぬ妊娠を期に心境は変化し、古い体質の会社に産休と育休を認めさせ、妊娠や出産の体験をコラムとして雑誌で連載するというバイタリティの持ち主。
 一方男性陣はといえば、夫の一斗は能天気な根無草のフリーカメラマン。千花子の弟・真樹夫は、彼女はいるものの鳴かず飛ばずのフリーター。父親は「女性は家庭を守るべき」という古い考えの石頭。おまけに部下も上司もへなちょこ。自分は立派な夫でも父親でもなかったけれど、男性陣にはもう少し頑張ってほしかった。
 たくましい女性と情けない男性の物語。

●「ポスト宮崎駿」論 日本アニメの天才たち

著者 長山靖生

【内容紹介】
 新海誠監督『君の名は。』で一挙に“第四次ブーム”に突入した日本アニメ。市場は二兆円規模、海外展開も視野に映画公開がひきもきらない。『攻殻機動隊』の押井守、『バケモノの子』の細田守、『この世界の片隅に』の片渕須直、『アリエッティ』の米林宏昌、『エヴァ』の庵野秀明…多彩な才能を第一線の評論家が徹底分析。日本文化を代表するコンテンツ産業に躍り出た日本アニメの実態を俯瞰する最良のテキスト。

裏表紙より

【感想】
 本書の刊行は2017年。この頃アニメ界はといえば、宮崎駿さんが「風立ちぬ」を完成させて何度目かの引退宣言をした4年後。
 前年の2016年といえば「君の名は」や「聲の形」、そして「この世界の片隅に」が公開されています。
 いまだに宮崎駿さんは新作を製作中とのことですが、タイトルにもあるように「ポスト宮崎駿」の座に着くのは誰なのか、これはコアなアニメファンならずとも気になるところ。
 この本は日本のアニメ史を振り返りながら、今後活躍しそうなアニメ監督をピックアップしています。
 一番ページを割いているのが新海誠さん。そのほか押井守さん、庵野秀明さん、細田守さんなど錚々たるメンバー。
 さて次に天下を取るのはいったい誰なのか?
 日本アニメ戦国時代はまだまだ目が離せません。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週もほぼ石田衣良さんの1週間でした。
 特に心に残っているのは〝4TEEN〟と〝6TEEN〟。
 学生の頃はバービーボーイズの歌詞にドキドキしながら、あのことしか考えてなかったなぁ。なんて、恥ずかしくも懐かしく思ってみたり。
 〝マタニティ・グレイ〟では、もう20年以上前、出産に立ち会ったあの頃のことを思い出してみたりと、ノスタルジックな想いに浸る1週間となりました。
 石田さんが描く女性目線の物語、実際にお年頃の女性が読んだら共感できるのか、ぜひ感想を聞いてみたいところです。

最期に
 読書っていいよね。


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