『藪の中』 芥川龍之介 作 4 北原久仁香ひとり語り 2020年12月16日 15:59 藪に残された死骸…殺しと強姦の吟味。〈不確実性〉に隠された「欲」、邪悪と正直の共存にフォーカスする。「検非違使に問われたる木樵の物語」「検非違使に問われたる旅法師の物語」(3'25"~)「検非違使に問われたる放免の物語」(5’32“~)「検非違使に問われたる媼の物語」(7’12”~)「多襄丸の白状」(9'40"~)「清水寺に来れる女の懺悔」(21’10“~)「巫女の口を借りたる死霊の物語」(28’25”~)。検非違使に応えているのはー木こり、旅の僧、放免、真砂の母、多襄丸の5人であり、真砂・金沢武弘夫婦は其々一人語りである。聴き手がいるのか、判然としない。名高い盗人・多襄丸の白状する「宝」に欲を丸出しにした夫婦の姿。どちらかと言えば夫にその傾向が強い。しかし夫婦の語りは共に、多襄丸による強姦罪から始まる。何故ゆえ、藪の中に入り込んだかーその愚かしさは語らない。『藪の中』の発表は大正11(1922)年、「新潮」新年号。芥川は同年、4誌(新潮・改造・中央公論・新小説)の新年号に登場し、一つの絶頂期を迎える。又、この前年には新聞特派員として上海に渡っている。混沌とした大陸も又「確かなモノなどない現実」と「欲望と渇望」の渦であったろう。 #芥川龍之介 #ひとり語り #朗読配信 #藪の中 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート