これは、バスケットボールではなくBasketball なんだ〜Bリーグ第2節を観ながら〜
1.バスケはエンターテインメント
金、土と続けてBリーグを見た。TVでは金曜夜9時から、史上初、海外組だけで編成されたサッカー日本代表の試合が放映された。
海外組だけで日本代表を編成!日本サッカーは、Jリーグ発足から30年近くかけてここまで発展したのか。開幕戦を観に行った身としてはなんとも感慨深い。しかも、本田も香川も長友も岡崎もいないのに、何事もなかったかのようにスタメンを組める。しかも1番の注目久保建英くんはまだ19歳だ。
サッカー恐るべし。
この日本サッカーの黎明期を思い出させるのが、
バスケットボール Bリーグだ。
室内競技特有の、エンタメ感満載の演出と試合の臨場感。アメリカ仕込みの超徹底ホームアンドアウェー方式。
それは欧州生まれのサッカーとも違う独特の熱気、選手の息遣いがより荒々しく、生々しく伝わってくるスポーツだ。
金曜日の試合、ホームは広島ドラゴンフライズ。B1に昇格したばかりで初のホームゲーム、しかも相手は昨季勝率1位のアルバルク東京。
先日公式ガイドブックで覚えたばかりの田中大貴選手も所属している。
試合前のセレモニーは華やかだった。しかも、アルバルク東京完全無視の広島一色の演出。
まず控えの選手から。そしてスタメンの選手が登場。バスケでは
Starting 5
というアイドルグループ的な呼称が使われる。一人一人がスモークの中から現れる。アイドルやアーチストと何ら変わらない登場の仕方は、このプロスポーツが
エンターテイメント
であることを強く感じさせた。
この時、東京の選手はコートの片隅に固まり集まっていた。所在なげ、蚊帳の外、ここまで邪険にされるのも、いくら興行とはいえ選手はなかなかしんどくないか。タフにはなるけれど。
2.バスケは駆け引き勝負の頭脳ゲーム
試合が始まった。
私は高校卒業以来バスケはしていない。娘の授業参観で、バスケと言えるか甚だ怪しい『ボールの取り合いゲーム』を見た事はあるが、本気でバスケを見た事は全くなかった。
知らないうちにルールが増えていた。
エリアごとに滞在時間が決まっているらしい。その時間を上手に使って敵陣に進入していく。
流石にここは知っていたが、シュートを打つ場所で入る得点も違う。
犯した反則の総数でペナルティーも重くなっていく、とは初めて知った。しかも、あえて反則を取ってフリースローをさせる、だって外すかもしれないし、シュートで2点得点されるより有利、という終盤の荒技まである。
『スピーディーで最後までスリリングな試合展開』
プロバスケットの目指すエンタメ性がここに現れているのか。このように、詳細なルールがバスケットコートという狭い空間の中で定められると、当然のこととして、
駆け引き
の機会が多くなる。時間の使い方、シュートを打つ場所の決め方、幾つもの選択肢の中から即座に選んで仲間と連携する。口で言うのは簡単だが、身長2メートル超えも珍しくないバスケの世界、敵の『壁』をかいくぐって自らの作戦を遂行するのは容易ではない。
バスケは高度な頭のゲームだったのか。
もちろんディフェンス側も自分たちの次の攻撃に備えて防御も工夫するから、ここにも駆け引きがある。
3.バスケは常にハイライトシーン
バスケットボール専門のライターさんは、この山場の多いスポーツを、限られた誌面で講評するのだから大変だと思う。テレビ局も慣れていないと試合経過をハイライト編集できないだろう。
なにしろ、短い時間帯にいくつもの勝負を分けるキーポイントがある。しかも80点を超えることもある得点シーン、どこをハイライトとして切り取ればいいのか、素人の私には見当もつかない。
もっとも、90分戦って結局スコアレスドローだったサッカー日本代表の試合もまた、マスコミ関係者は逆の意味でご苦労されるだろう。とはいえ、
点が入らない、より、点が入りすぎる方が難しくないか⁈
と余計な心配をしてしまう。視聴者としては、試合中はうかつにトイレにも行けない、という悩みが生じた。
4.バスケは『一瞬』がドラマを生む
バスケほど1分、1秒を長く感じるスポーツはない。陸上短距離100メートルならあっという間に感じる時間も、バスケだと時にドラマが二転三転する。
それを痛感したのが、10月10日、千葉ジェッツ対サンロッカーズ渋谷の試合だった。
残り約15秒、3点差。
約、とわざわざ書いたのは、このスポーツは小数点第一位まで時間を数えるからだ。たしかにサッカーでも『ドーハの悲劇』みたいにセットプレーから一瞬で勝負がつくことはある。
ところが、バスケは普通に5秒もあれば余裕で得点可能だ。案の定、渋谷は土壇場で同点に。
残りは約5秒。
ここで、
Bリーグ初の一億円プレーヤー富樫選手
が、真骨頂をみせる。悠々とドリブルで時間をかけて一気にゴール下に飛び込み味方にパス、それをねじ込んでボールがゴールをくぐった時、時計は
0.0秒
だった。初めてみた私には神業としかいいようがないプレーだった。
5.バスケはガチでホームアンドアウェーだ
ラグビーファンから見ると、観客席が敵味方に分かれている所から新鮮だ。
驚いたのは、アウェー側のフリースローの時、 ホームのファンが一斉にハリセンやメガホンを叩き始めた。何をやってる?もしかして、
シュート入るの妨害してる?
と気がついた時は驚いた。ラグビーで、田村優さんがPGを蹴る時、ハリセンなんか鳴らしたら他のファンの方々に殺されてしまうだろう。
実況アナウンサーも
『今はブーイングができないので、ブースターの手拍子のおかげでシュート外れました』的な説明をされていた。
おお、バスケのホームアンドアウェー式は徹底している。
もちろん、サッカーも同じことをファンがすると思うが、広い屋外グラウンドと、狭い体育館では迫力が違う。
試合中も、DJの音頭と共にホーム側の応援手拍子が続く。さすがに、千葉対渋谷は、千葉が人気チームだけに4割弱は千葉ブースターだったが、それでもホーム側応援の盛り上がりは、拮抗した試合経過と共にヒートアップしていった。
熱心なファンがむしろアウェーの応援に馳せ参じるのもわかる気がする。
6.バスケは『Basketball 』になった
2日続けてみて感じたことがある。私が目にしたものは、かつて体育の時間に『バスケットボール』という名で習ったボールゲームではない。Bリーグは、私を含めほとんどの日本人が知らなかった、世界基準の『Basketball 』なのだ。
サッカーが、Jリーグ発足と共に発展し、私達に『個の力、個の主張』の大切さを気づかせてくれた様に、このBasketball もBリーグと共に私達のまだ知らない価値観を示してくれるに違いない。
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