草原広がる農園で、腹が騒がしく鳴っている狐が森を目指し歩いていた。 ふと、狐が向かいの丘へ首を振ると、ワインビネガー色の点が緑草に浮かんでいるのが目についた。 時間に余裕もあるし、なりより腹が減っていると思った狐はその一点を見つめながら早足で駆けていった。 歩みを進めていくと、それは非常によく熟して美味そうなブドウであるのがわかり、狐の歩みはどんどんと動きを早まった。 ようやく幹までたどり着いた狐だったが、追い求めた赤いブドウは、狐の遥か上空で狐を見下ろしていた。