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知らないと危ない! 海外進出におけるリスクと対策
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知らないと危ない! 海外進出におけるリスクと対策

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経済のグローバル化にともない、日本企業の海外進出が増えてきています。成功すれば市場の拡大が大いに期待できますが、メリットばかりではありません。海外では、国内とは全く異なるリスクに直面するケースが多く、成功を見ることなく撤退する企業もいます。
今回は、企業の海外進出で想定されるさまざまなリスクや、それらを回避するためのポイントを紹介していきます!

なぜ海外進出をするのか

飛行機 (1)

日本の企業が海外進出する場合、「国外に市場を求める」「国外に生産拠点を求める」の2つに分けられます。
かつて中国が”世界の工場”と呼ばれていた30年ほど前までは、豊富な労働力を安く確保し生産コストを抑えることができる「国外に生産拠点を求める」ケースが主流でした。しかし、いまは販売エリアの拡大を目指す「国外に市場を求める」海外進出が人気です。
理由は簡単。長引く景気の低迷、少子高齢化や人口減少などから、日本の市場は縮小傾向にあります。それに対し、世界の市場は旺盛です!特にアジア諸国は、生産年齢人口の増加や、高い経済成長に伴う雇用の拡大や給与のベースアップ、購買力の向上など、日本とは真逆の現象が起きています。こうした地域への販路拡大は日本企業にとって非常に魅力的といえるでしょう。

海外進出のメリット

日本のGDPは四半世紀にわたって横ばい状態が続き、価格競争力や技術力でアドバンテージを持つ外資系企業も多く参入しています。かたや世界の市場は規模が大きく、年率数パーセントずつ成長しています。
国内企業にとって海外進出とは、
・より大きな市場に挑戦することで、売上の拡大が期待できる
・海外での企業認知度を高めることで、国内外の利益の拡大が期待できる
チャンスといえます。
後者が意外と盲点なんですが、海外で企業や商品、ブランドの認知度を高めることで、国内の事業活動も活性化させることが可能です。
例えば、伝統工芸品の南部鉄瓶は、フランスでヒットし世界に拡大。その後、日本でもその良さが再認識され、国内での売上拡大に貢献しました。

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また、もっぱら下請けに従事していた製造業者が、自社ブランドを立ち上げるにあたって、国内の元請け企業と競合しないよう初めから海外で展開し、ある程度海外で名前が売れてから、日本に逆輸入して成功しているパターンもあります。
このように、海外進出を目的とするか手段とするかは、企業の置かれている状況によって様々ですが、帝国データバンクの調査(2019年)によると、国内企業の24.7%がすでに何らかの形で海外進出を経験しており、世界のマーケットを目指すことは、もはや珍しいことではないと言えるでしょう。

国内ビジネスとは異なるリスクとその対策、どのようなものがあるか?

しかし、メリットばかりではありません。海外進出を果たしたものの、その後何らかのトラブルに直面して、思ったような結果が得られないという企業もあります。それでは具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。
欧米などの先進国に進出した場合と、アジアやアフリカなどの新興国に進出した場合では傾向が異なりますので、それぞれの進出先で懸念されるリスクについて対策を立てることが大切です。
海外進出で発生しやすいリスクは、主に次の3つに分けることができます。

<カントリーリスク>

図2-

その名の通り、進出した国や地域の政治・経済・社会などの情勢が変化することによって企業が受けるリスクを指します。例えば、現地の政治的基盤が安定していない場合、政権交代によって企業の扱いが突然変わることなどがあります。表面的に安定しているように見えても、テロや反政府暴動など、将来的な治安悪化やトラブルの火種をはらんでいる国などもありますので、注意が必要です。
経済的なリスクとしては、デフォルト(債務不履行)やバブル崩壊のような事態が挙げられます。また、電力・通信・水道・輸送といったインフラの未整備や競争法等の不備なども経済的な要因です。
社会にまつわるリスクは、文化、歴史的背景、宗教などによって引き起こされます。先述したテロや治安情勢の悪化のほか、何らかの国際的理由で対日関係が悪化した場合、その余波で現地の日系企業が攻撃の標的となったり、日本の商品が不買運動の対象となる恐れもあります。

こうした問題に対処するには、現地からいかにオンタイムの情報を得るかが大切となります。日本から簡単に調べられる表面的な情報だけではなく、できれば現地の人から生の声を聞けるよう日頃からコミュニケーションを取り、対策を立てておくと良いでしょう。また、状況は刻々と変化するため、日々情報をアップデートしていくことも大切です。

<商取引面でのリスク>

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商取引面でのリスクとして、現地ニーズの把握や情報収集、現地のマーケティング、ビジネスパートナーの確保、取引先の信用不安などが挙げられます。海外の取引先の実態は、日本国内の取引先と比べて情報が入ってきにくい面があります。場合によっては資金回収が困難になったり、技術を盗まれたりする可能性もあります。

取引先の信用不安のリスクに対しては、取引を始める前に財務的な信用情報を信用調査機関から入手できると良いでしょう。取引先企業の名前と住所、電話番号などが分かれば数万円程度で調べられますが、経験上、そこまで詳細な情報でないことが多いので、金額の大きな取引になりそうな場合は、現地の業界での評判を事前にリサーチできると良いでしょう。

<事業環境面でのリスク>
これは、為替変動リスクをはじめ、法制度の不明瞭さ、知的財産の侵害・模倣品被害などが挙げられます。

為替変動リスクについては、取引の円建て化や、為替リスクを見込んだ販売額の設定、原材料・部品の調達方法の変更、銀行での為替予約などの方法で対応できます。
法制度の不明瞭さに関しては、現地拠点のスタッフやビジネスパートナーに情勢の変化や法制度について定期的に情報収集をしてもらい、国内と海外拠点とのコミュニケーション体制を普段から整えておくことが大切です。

知的財産(特許、実用新案、意匠、商標)の侵害、模倣品被害については特に注意が必要です。

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技術力を強みとするような製造業などの場合、特に中国や東南アジア諸国などに進出した際は、自社技術が模倣されてしまうリスクを想定しなければなりません。また、冒認商標出願(正当な権利のない他者によって商標が出願・登録されること)に遭遇する日本企業も少なくありません。外国で自社の商標が他人によって先取りされ、その結果、海外進出の妨げとなるばかりか、自社が第三者の知的財産の権利を侵害したとして訴訟を起こされるパターンもあります。(この問題は非常に重要なので、別記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。参照:)

これらの対処法としては、海外出願が有効です。各都道府県には知財総合支援窓口が設置されており、海外出願手続や進出先の国の知財制度情報、模倣被害への対応方法などについても相談ができます。また、日本貿易振興機構(JETRO)による費用助成制度では、出願費用の半額を補助してくれます。毎年5月ごろ募集しているので、こうした制度を活用していくのもおすすめです。
第三者権利の侵害による訴訟リスクを防ぐためには、進出先の国内において自社技術と抵触する権利(特許、実用新案、意匠、商標)の有無を事前に調査することが欠かせません。抵触しそうな権利を発見した場合には、その権利の有効性を確認した上で、無効にできる資料を確保します。また可能であれば、使用許諾や実施許諾を得ることも検討します。第三者権利の調査に加え、自社が既に取得している権利がつぶされないかどうかの事前確認も重要です。
このほか、消費者トラブルによる訴訟にも備える必要があります。特に欧米各国への進出においては、訴訟リスクへの対処は欠かせません。製品の欠陥によって、消費者となる第三者がケガをするなどした場合の損害賠償責任(Product Liability=製造物責任)に対応するため、さまざまな保険会社がPL保険商品を出しています。こうした保険にも加入しておくと、いざトラブルが発生した場合に安心でしょう。


海外進出でのリスクマネジメントのポイント

それでは、 海外進出時のリスクマネジメントにおいて、社内でどのような体制作りが必要となるのか。基本的には、日本でも海外でもリスクマネジメントの方法自体は同じです。リスクを特定し、対策プランを立てて、実行し、課題があれば改善していく…というように、PDCAサイクルを回していきます。PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、1年かけてPDCAサイクルを1周させるのが一般的です。
日本と海外でのリスクマネジメント方法として異なるのは、想定されるリスクの種類優先度が違うことです。

<想定されるリスクに関する情報収集>
正しい情報収集が、正しいリスクマネジメントにつながります。欧米に進出する企業と、中国や東南アジア諸国へ進出する企業とでは、想定しておくべきリスクの内容も変わってきます。
まずは、社内で情報収集の体制を構築し、市場調査はもちろん、競合企業の状況や顧客ニーズ、商慣習などに関して情報を集めていきましょう。情報収集が進んできたら、その情報が正しいことを確認するため、現地調査を行います。実際に進出国に赴いて確認することが難しい場合は、現地のエージェントやパートナー企業などから生の声を聞くなどして、調査内容と相違がないかチェックしましょう。

<優先度の高いリスクから対策を検討>
すべてのリスクに対応できるのが理想的ですが、すべてとうのはなかなか難しい場合もあるでしょう。そんなときは、優先的に対応すべきリスクから順に、対策を検討していきます。
優先順位を考える際に軸となるのは、自社にとって「発生可能性があるか」「影響が大きいか」の2点です。この両方が高いと想定されるリスクが最優先です。例えば、政治や経済の変化、法規制の変更などは、どのような企業にとっても優先度が高くなるでしょう。優先すべきリスクについては、想定シナリオを検討し、国内と海外拠点とでどのように対応するかを事前に決めておくと、問題が起きた際にもスムーズに対応できます。

<現地スタッフ・パートナー企業とのコミュニケーション>
海外進出における、もっとも重要なリスクマネジメントは、海外拠点のスタッフ、エージェント、パートナー企業との信頼関係の構築です。
現地との間で経営戦略やビジョンをすり合わせ、お互いが同じ視点で事業運営していくためにも、普段から積極的にコミュニケーションをとり、何かトラブルが発生した際にもスピーディーに連絡できる社内体制を作りましょう。
また、進出先の国の言語や文化を深く理解することも大切です。言語に関しては、ニュアンスの違いから誤解が生まれるケースも少なくありません。特に、業務内容や商談内容の確認を行う場合には、相手に正しく伝えることが必須です。進出先の言語に強い通訳や翻訳先を、早い段階で探しておくことをおすすめします。

まとめ

成長著しい海外市場は、これからの日本企業にとって大変魅力的です。海外ビジネスが軌道に乗れば販路拡大が大いに期待できる反面、国内ビジネスでは直面しなかった海外ならではのリスクが伴います。
海外での成功には、進出先の国の情報収集と先回りしたリスクマネジメントの徹底が欠かせません。リスクをゼロにすることはできませんが、事前に入念な調査をし、リスクマネジメントに対する社内での認識を共有するとともに、現地パートナーとのコミュニケーションを定期的にとることによって、できる限りリスクを抑えてビジネスに取り組むことができます。

8clickでは、ユーザー企業様の海外進出を支援するさまざまなサービスを展開しております。海外でのビジネスをご検討される際にはぜひお問い合わせください。

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