見出し画像

週刊「作家として食っていく」エピソード5〜テレピンの刺激臭〜

いつからこのnoteが週刊だと錯覚していた?

最近は大学の合評用に絵を一枚描いている。それについて少し。

油絵具というのはバチクソ乾かないでお馴染みの絵具。
顔料に混ぜる乾性油の酸化を待たなきゃいけないから、水分が飛べば支持体に定着する水彩絵具やアクリル絵具と違って、どうしても定着に時間がかかってしまう。
───なんだけど、僕は油絵から「待つ」工程を省きたかったので、グロッシーバニスを買ってきた。

制作のメシア。

絵の完成後に塗るニスとしての用途が主だけど、これで油絵具を溶けば描画もできるという優れもの。油絵具の乾性油が硬化するのを待たずに、グロッシーバニスの成分が固まることで、まだ絵具が酸化しきらない内から画面に定着して表面も乾燥する。
(完全乾燥ではないことに留意)
こいつで油絵具をシャバく溶いて、水彩画を描くように画面に塗っていくと独特なテクスチャーが出てかっこいいのだ。

『廃墟と猫』
『安酒』

一枚目の上の方なんかを見てもらえると分かりやすいけど、テカテカしていて筆跡が盛り上がるあたり、誕生日ケーキに描く絵が近いかもしれない。
数ある色の中でもアホなんかって位乾きが遅いとされる黒系の絵具でもすぐに固まるので、かなり使い勝手がいい。
ただし塗ってるそばから固まっていくので作風によっては人を選ぶ。僕はお気に入り。
僕の作風は、タッチを重ねて雑にカラフルな絵を描く感じなので、むしろバニスでないと難しいくらいだ。
今描いているP50号の絵はグロッシーバニスの性能を引き出す実験も兼ねている。完成したら中々珍しい絵肌になるのではないか。

左下あたりが最も進みが早い。
左下のアップ。

このバニスで溶いた絵の具が服につくと本当に取れない。成分的には合成樹脂とテレピンみたいな感じらしく、多分合成樹脂が水や洗剤に強すぎるんだと思う。
筆についたバニスも、洗剤では落ちない。合成樹脂は洗剤に溶けないからだ。
なんとか汚れを落とそうと色々考えていた矢先、夢の中にヒゲの似合う紳士が現れた。

逆に考えるんだ。
「落ちなくてもいいさ」と。

サムライ&バッタジーンズ

逆に考えれば、油絵を服にできるのである。
ジーンズなんかだとあまり洗わないし、相性がいいのではないか。
需要あるかしら。
知人がミシンを貸してくれるので、今度試してみよう。
試してしまいたいことが、今の私には多すぎる。
そして私は蝶になり、夢の中へ飛んで行くわ。
最後に最近描いた絵を載せとくね。

0人乗りカー
逆漫才師
ひげたこロケット

劇終

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?