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インドで働いたら考え方がアップデートされて、生きやすくなったハナシ

※2019年5月~2021年10月インド在住の記録

インドに行ったら人生変わったって、嘘みたいでほんとの話。
これは、旅行ではなく
行くだけでは分からない、住んで、働いたから知ることのできるインドのこと。


別記事でも振り返りをしたのですが、
ここではもう少し詳細にインドでの経験を書き下ろしていこうと思います。

海外転職、インド転職に興味のある方、
海外転職に縛られず、これからの自分を変えていきたい人にも伝えたい、
そんなインドでの体験記まとめです。

等身大の意見が反映できていると嬉しいです。

目次
・インドで得られる9つの経験
・「グローバル人材」って結局なに?


1.自分と集中して向き合える環境がある

集中にはもってつけ?
娯楽が全然無いので、ある意味監禁生活のような環境。
ちなみに私の家にはテレビもなかったので、空いた時間の使い方は無限大だった。

学生時代にタイ留学していた際も、大学の周りに何もなくて、
寮にもベッドと机と、テレビ(現地もしくは、BBCニュース)、
シャワーしかない部屋だった。
超集中環境で、英語の勉強が捗った(するしかなかった)のをよく覚えている。
自分だけでは甘えの出てしまうときも、環境が整っていればパワーを最大化できる気がする。

本気で勉強したり、自分と向き合うのには最高の環境。
やはり環境は人を変える力がある。

今の自分を大きく変えるために、変えるべきことは
「環境」「関わる人」「仕事」というけれど、
インドには集中できる「環境」が整っていた、と思う。

結論:
悪く言えば、何もなく退屈。よく言えば自分を律することのできる最高の環境、インド。

2.諦める理由探しを辞めて、できる方法を見つける姿勢

インドにいたおかげで、中途半端な内容でも進んだり、手を出す癖がついた。
もっと言うと、どうにかするにはどうすればいいか?というマインドが身についた気がする。できない理由ではなく、できる理由を探せる姿勢かな。

私が日頃よく思うのは、何もしなければ何も起きない。何かすると何かが起こる。
ということ。
当たり前のことだけど、エントリーしないマラソンは完走できないし、買わない宝くじは当たらない。
それに気づかない人が多すぎる気がする。
何もせずに降ってくるものには、注意したほうがいい。

結論:
失敗を失敗と見なさない、走りながら考えられる国、インド。止まって考えて、結局完走できない国?日本。

3.幸せの沸点が低くなる。当たり前、小さなことに感謝できる



想定より遅延したり、物事の進みが遅かったり、想定の料理がサーブされなかったり。
予定の修理屋が来たと思ったら、今日はチェックだけだと言われて別日に他の人がまた修理にきたりする。
日常、仕事、四六時中期待の裏切りが起きすぎる国、インド。

いや、むしろ日本が異常なのかもしれないと思う。
だからこそ、オンタイムに来てくれたり、言われた時間より早く物事が進むと感動が止まらない。そんな環境に身を置くと、小さなことを幸せに感じる。

空気汚染が酷い北インドの冬は、目の前が真っ白なこともあるほど。
インド市民ランナーの私は日々の練習を外でするのですが、
常にN95のマスク(PM2.5対策)は欠かせない。

少しばかり青空が見えた日には、心から湧き出る幸せを感じることができる。
日本に一時帰国したときの感動と言ったらもう、言葉にならない。
「空が青い・・・!」(北インドで就業中の日本人99%が同じ言葉を言う)

日本が便利すぎるため環境のギャップが大きいのかもしれない。
これがまさに発展途上国に住んで、働くことで感じる「便利さ」が得られるまでのプロセスにいる、ということなのかもしれない。

結論:
気付かなかった美しさに気づける、忘れていた感謝の目が蘇る国、インド。

4.自然の中で生かされている感覚

知らない間に、無いことを楽しみ、頭で考えて工夫する癖がつく。
面倒だなと感じる反面、なぜか無性に人間っぽさを感じる。

歩いて行ける距離にコンビニがあるわけでもなく、夜中に思い立ってパジャマで散歩に行くなんてできない。(地域による)
生活の便利道具なんてあまりなくて、何かを代用して使うなんてよくあること。

トーストをフライパンで焼きながら、朝食を準備する。
小さな隙間がたくさんある部屋は二日に一回拭き掃除しないと、塵が積もって身体に悪い。
夏場の急なエアコンの故障なんて、死活問題だがインドに暮らしていると誰しもが一回は経験する気がする。

「自然の中で、生かされている感覚」もっといえば、
「地球に住まわせてもらっている感覚」

上手く表現できないけれど、そんな感じ。
自然環境の中で、平和に、何も心配せずに危機意識を持たずに生活できるっていうのは、
むしろ異常な状態なのかもしれない。

太陽が昇れば、朝が来る。
雨が降れば足元が洪水して外出が難しい、犬に嚙まれたら狂犬病になるから気を付けてランニングする。
鳥のさえずりが降り注ぐ元で、散歩しながら今日も生きてるな。
と感じる。

でもきっとそれは元々当たり前のことで、徐々に人間の手が加わって
人が便利な世の中になっていて、その造られた世界を「当たり前」として過ごして、
まるで自分たちが中心の世界なような錯覚に陥ってる。
話が飛びすぎたけど、インドに住んでいるとその感覚が逆転する。

自然の中で生かしてもらっていて、
でも同時にその自然環境を人の手で改造している、侵略している経過を間近に見ることになる。
いいのか、悪いのか。なんとも言えない感覚だ。

自然の中で生かしてもらっている、こちらが不自然な生き物でこちらが部外者な気持ちにもなる。

結論:
不便さが人を、人間らしくさせる。ヒトが中心ではなく、自然が中心の世界で生かされる場所、インド。


5.ダメ元でもトライする姿勢、図々しさの精神に磨きがかかる

とりあえず、できるか聞く。
「これメニューには載ってないけどできる?」レストランでのワンシーンだが、日常にそういう精神があふれている。そこいると、自然にその姿勢が身について、知らない間に日常でも、仕事でも「これはできない?」と聞いている自分がいることに気づく。

日本に長く住んでいると、メニューに載っているもの、あるモノ以外は無いことがほとんど。聞くことすらしないし、聞くことが少し恥ずかしかったりする。

「無いものはない」と、最初からあきらめる癖がついてしまっているのは、環境のせいかもしれない。慣れというのは怖いものだ。

結論:
枠以外の可能性に目を向けられるようになる場所、インド。

6.トラブル前提で動く、余裕をもつこと、動じないこと

家の鍵が壊れて2時間余り格闘した


トラブルは海外ではつきものというけれど・・・
日常茶飯事にも程がある。

仕事も生活も、トラブルとの格闘だ。
最初の数か月はひとつひとつに苛々苛々苛々。
こんなに気が短かったかな?と思うくらいに四六時中。

「この前お願いしてた仕事、明日締め入りだけど、進捗どう?」
「あ、その仕事はまだ詳細情報貰ってなかったからやってないよ!ニコッ」
「え・・・!」(それ早く言ってよ~!泣)

序の口ですが、よくあります、よくあります。(笑)

そもそも生まれ育った環境、文化が違う人たちが
同じ感覚で一緒に働くって無理な話。
私自身も当初は日本で働く感覚で、依頼したり、同意したり、会議に参加したりしてた。
でもこれらの行動って簡単に見えて、全然違う。

日本にいたときと同じ感覚で仕事できるわけがないのに、
何故か来てみるまで、気づかなかった。

来てみて、感じて、焦って、苛立ちを感じて、少し落ち着いて、やっとわかった。

完璧に物事を計画して進めたがる文化圏(日本)で育った私だけど、インドは全然違う。

「とりあえずやってみるか!」

失敗するなんて念頭にないのか、失敗する前提なのか、50%で進めながら走るのが普通なのか。明確にはインド人の中でも人それぞれだと思うけど。

「ジュガード」という言葉がある。

意味:「革新的な問題解決の方法」「独創性と機転から生まれる即席の解決法」。
これは、インドに古くから根付く精神のあり方を言い表すもので、日常の些細な工夫を表す言葉としてインドの人々の日常に溶け込んでいる。

格好良く言っているけど、とりあえず壊れても走らせてみるか!的な感じに、私はとらえている。
でも、この精神はさっきの「とりあえずやってみるか!」とセットになっていて、「だめでもなんとかするか!」の精神な気がする。この二つがセットで根付いているから、フットワークが軽くて、計画よりも行動が先に来ている気がする。

これは面白い発見だった。
どうしよう?なにしよう?どうやろう?(タイムオーバー)の
日本人傾向に相反する精神。だから、理解しがたいし、一緒に進むことに最初は衝突する気がする。

結論:
物事の進め方はインド式の方がクリエイティブなのかもしれない

7.世代を超えて、本当の意味でヒトとの交流ができる


在留邦人数、1万人未満の国インド。日本人コミュニティが他国と比較しても少ない。

日本人でインド就業されている方、特に駐在員はある程度の役職につかれている方が多い。もちろん仕事で接点を持つ方も、現地社長レベルの方が多い。
駐在員の方々曰く、製造業以外は海外駐在初めての人を配置することはない。そのため、自ずとインドの駐在員は過去に数か国駐在経験のある、ある程度の役職であるケースが多い。

自分と同じような世代ではなく、国内外でとんでもない経験や修羅場を潜り抜けてきた人たちと公私ともに簡単に交流できる環境は、とても貴重。自分としては、学びの宝庫と言えた。

もう少し突っ込むと、説教じみた自慢話ばかりする人よりも、それを超えた域にいる人が多いので人として尊敬できる方がわんさかいるイメージが近い。
(説教じみた詰まらない人達を避けて過ごしていたからかもしれない(笑))
ハードシップ手当てが世界でも最高峰のインドだからこそ、送られてくる駐在員もそのレベルなんだろという結論に行きつく。もちろん例外もあるが、関りを持てる多くの方がその傾向にある。

更に面白いのは、在留邦人数が少ないことと、厳しい環境に身を置いていることが相まって
謎の仲間意識が生まれる。同じ厳しい環境で切磋琢磨している、そんな感覚ですね。
ある程度立場は違えど、同じ目線でお話しできるチャンスが多いのも貴重。

会社や、競合他社に関わらず同じ日本人ということで繋がれる感覚が不思議で心地よい。

私の趣味がランニングで、ランニングする層がたまたまそういう人たちなのかもしれない。

結論:
日本で働いていたら恐らく会えなかった層の人たちと出会い、刺激を受けられ、不思議な距離感で関係を築ける場所、インド。

8.英語で躊躇なく割り込む話し方ができるようになる

とにかく弾丸トーク
ほっとくと入るスキがなく、どんどん話題が移っていく。
あの、えっと、その。なんてペースでいたら明日になってしまうような。
話したいんだけどな~、では割り込めない。

そうこうしているうちに、割り込みたい話題は過ぎている。

だからこそ、思ったことがあったら、間合いを見ずに割り込む割り込む。
当初は失礼かもしれないと思いながら、遠慮していたが
一度割り込むと、そうでもない。誰も気にしてない。
話しながら、聞きながら、進んでいく。
しまいにはこれはこれで面白いと思い始める。

時にはお互いに言いたいことを言いまくって終わることもあるが、
大事な部分は深く話すから、大きな問題にはならない。

こんな現場で働いていたら、
数倍速のリスニング力がつくのは言うまでもない。
もちろんインド英語だが、世界に散らばるインド人人口を考えたら
インド英語を聞き取れれば強い部分もある。

結論:
図々しく、陽気に、あっけらかんと。それでも明日は来る、それがインド

9.枠にとらわれないミライ設計を始める

これまでを振り返ると、決まったいくつかのレールの上を
何の疑いもなく選んできた気がする。
それ以外の選択肢はまるで存在しないかのように、当たり前のように過ごしてきた。

タイに留学した時も、それは薄々感じていた。
私は、大学三年生で留学したけど周りの留学生は大学生だけでなく、
卒業後の人もいたし、来月子供が生まれるから一時帰国するよ!とか言ってるドイツ人もいたし。
タイミングが限られているから今しかできない!と言って生き急いでるのは自分だけなのか?と錯覚するくらい考え方が違ってた。

企業から雇用されることが当たり前という考えも、
インドだと違う選択肢が溢れていることに驚いた。
自分でビジネスする人も、日常的に社会問題と隣り合わせで生きて、息をするように伴走する姿勢も、日本とは大きく違った。

起業するという考え方も、日本にいたときは凄く大きなことをやってのけるイメージだった。小さくても、失敗しても(そもそも失敗と受け止めてない)、上手くいかなくても、まずはやりたいことがあれば、やるべきことがあれば、とりあえずやる!そんな感じ。

そんな世界に入り込んで、働いて、生きていると、そんなもんかなという気分になる。
やりたいことがあれば、起業すればいいし。雇用されるのが、自分に合わなければ、働きやすい方法を模索すればいい。
これまでが、あまりにも視野が狭かった。いや、それすら気づかなかった。

結論:
ルートが限られているように感じていたが、その考えが変わる。いろんな生き方、働き方。考えに触れていくことで可能性を見出せる国、インド。


インドで働いたら考え方がアップデートされて、
今後の人生を前向きに、本気で生きられるマインドセットができた。

日本に帰国した後もインドの経験は活きている。
間違いなく今の自分を作ってくれた場所。
奥が深く、飽きのこないあの国はまた私のことを呼ぶかもしれない。

グローバル人材の定義って・・・


これは私がインドで働き始めた当初、持っていた「問い」でした。
今、インド生活を終えて自分が思うことは、
あまりにも鎖国が長く、異文化を受け入れてこなかった国、日本。
足並みをそろえすぎて怪我をする、そんな国で育った私たち。

そもそも違うことを受け入れることができない私たちが
海外で働くとどうなるか?
強くでて威圧的になるか、巻き込まれて自信を失うか・・・

いや、彼らは想定を上回って、寛大です。
一度飛び込んでみたらわかります、我々以上に彼らの器のほうが大きく、柔軟です。
そこで、「受け入れるということ」を学び、長いスパンで習得すればいい。

そうすれば、多様性だとか見た目ばかりに気を取られずに
相手の本質や心をみて話すことが出来るはず。
私だってまだ初心者、スタートライン。

お互いを理解しようと努力する。
そして同じ目標に向かう、フィールドに合わせたやり方で。

■あとがき インド(海外)転職を考えている人へ


今の自分の状況に足踏みしたり、迷っていて、本気で自分を変えたいと思っている方。インドに行くって、相当ハードル高いと思います。

自分のマインドをいい方向に変えていくのって、インドに行く以外の方法もあります。
今の自分を大きく成長させたり、変化させるための手段として、

「環境」「関わる人」「仕事」

がよく挙げられますよね。

何かを変えて、自分をいい方向にシフトさせる。
大きな変化を生む時には勇気がいるけれど、今自分のできる最大限の変化を巻き起こせば、少なくとも、何もしないイマよりもずっと発見があるはず。

ただ、インドに行けば、海外転職すれば
誰もが同じ経験をできるとは思わないでほしい。
自分自身がどういった姿勢で向き合っていくかによって積める経験は全く違います。
これはあくまで私が感じたことのまとめで、私が吸収しきったことのまとめになります。

どんな経験ができるかは、それぞれです!
自分だけのインドを感じて、自分の人生にフル活用してもらいたい。そんな気持ちです。


今後以下のnoteも追加で書いていきます。

・海外で現地採用として働くこと※別のnote
・インドの日系人材紹介会社で働くこと※別のnote

【用語説明】
※現地採用・・・現地の法人が雇用元となる。日本拠点の企業に所属はしていないので、実質日本に帰る場所はない。
※駐在員・・・日本本社雇用での出向扱いになる。日本に帰る場所がある雇用形態。

※あくまでも私の解釈です(笑)


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