塗料の歴史 1(塗料概要、原始時代)

■塗料とは

塗料はどこに使われているのでしょうか?

一度、辺りを見渡して下さい。机、家電、車、建造物など、実に様々な物に塗装されている事に気づくと思います。

その塗料ですが、なぜ塗装されているのでしょうか?

一般的には下記理由で塗装されています。


「保護」⇒素材の傷つき防止、防錆など外的環境からのダメージ保護

「美観」⇒彩色、意匠によりデザイン性を高め視覚的付加価値を高める

「機能」⇒遮熱性、光触媒、防カビ、防虫など物理的、化学的、生物的機能を付与


大きく分けて上記の3つが主な塗料の役割りです。


また、塗料は何から構成されているでしょうか?

塗料は以下の4つから構成されています。


「顔料」⇒着色顔料(美観)、防錆顔料(保護)、体質顔料(機能)などの種類がある

「樹脂」⇒バインダーと呼ばれ塗料の役割の「保護」や「機能」に影響する

「添加剤」⇒界面活性剤など表面張力を下げて塗膜を表面を滑らかにするなど、様々な種類がある。

「溶媒」⇒水性塗料であれば水、溶剤塗料なら有機溶剤で塗料の粘度を調節する


体質顔料は馴染みがないと思いますが炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどを指し、塗膜の肉付けを良くしたり、塗料の「機能」の役割を果たす物もあります。

この3つの役割と4つの構成素材を覚えておくと後の歴史についても理解が深まると思います。

それでは、塗料の歴史に触れていきたいと思います。

■原始時代の塗料

塗料の歴史は実に旧人類のネアンデルタール人(紀元前15万〜6万年頃)にまで遡ります。

長年ネアンデルタール人には彩色するという概念はないとされていましたが、身体に彩色を施したり、彩色した貝などを宝飾品として身に付けいたとされていたという研究結果が報告されています。

「ネアンデルタール人は「芸術家」だった? 世界最古の洞窟壁画」(CNNより)

https://www.cnn.co.jp/fringe/35115158.html


また、現生人類(ホモ・サピエンス)もアルタミラ洞窟の壁画(スペイン;紀元前16500年〜12000年)やラスコー洞窟の壁画(フランス;紀元前15000年)が有名です。


この時代のバインダーには獣脂、血、樹液が使用され、顔料としては黄土(水和酸化鉄;FeO(OH)·nH2O)、赤土(酸化鉄;Fe2O3)、木炭(カーボンブラック;C)が使用されていました。


この様に原始時代の塗料の役割は「美観」のみで着色が主な目的でした。

どういった意図で身体に着色したり、着色した宝飾品を身に付けたり、壁画を描いたのかは計り知れませんが、人類と塗料の歴史は「美観」を求めた所からスタートしたと言えるでしょう。

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