角野隼斗_特級ファイナル演奏風景___︎平舘_平_

"東大生ピアニスト" になってから1年

※この記事は2019年8月時点のもので、今は若干考え方も変わってきています。今度どこかのタイミングで気持ちの変化なども書き留めようと思います。(2020/2/18)

2018年8月23日、僕はピティナピアノコンペティションという日本最大規模のコンクールで、グランプリを受賞しました。自分にとってはもはや予想を数段階超えた結果でした。

グランプリを取ったことで、知らなかった世界が一気に広がりました。今まででは考えもつかなかったような演奏会のオファーや仕事を頂けるようになり、同時に今まで知らなかったクラシックの面白さ、奥深さにさらに触れられるようになりました。しかしその反面、上には上がいることを実感し、自分が「東大生」であることを除けばただの世界中腐る程いるピアニストの中の1人に過ぎないことにも気付かされました。

東大生という肩書きには何かと話題性がありますが、演奏をする上で学歴それ自体など微塵も関係ありません。本当に価値を持たなければ数年後にはきっと演奏家としては忘れ去られてしまいます。

僕は焦りました。それまでは多分研究者かエンジニアとして生きていくんだろうなくらいに思っていたのが、急にグランプリを取ってしまったことで、中途半端に自分に演奏家としての自覚が芽生えてしまいました。いつまでも「東大生ピアニスト」なんてイロモノのような肩書きに頼っている訳にはいかない。「自分にしかできないことは何か」と考え、目標を訊かれた時は「人工知能と音楽を組み合わせて今までにないものを作りたい」と漠然とした返答をしていましたが、具体的に自分にどんなことができるのか、できたとしてそれが音楽家としてどのような意義があるのかはよく分からずにモヤモヤしていました。

何となく自分にしかできないことがあるんじゃないかなと思い、YouTubeで自分のアレンジ技術を活かしてピアノのカバー動画も頻繁に上げるようになりました。発信し続けるというのは大変ですが、活動の甲斐あり今ではYouTubeの登録者は7万人を超え、ツイッターのフォロワーも1万人を突破しました。

クラシックは、一般には敷居が高いものと見られることが多いと思います。それゆえにポップスなどの音楽に比べて市場は遥かに小さく、クラシックのCDは売れないだとか、コンサートの集客が難しいだとか、よく聞く話です。

クラシックに限らずあらゆるコミュニティは、成熟していくにつれ徐々にレベルが上がっていきます。レベルが上がると、一部の中級者や上級者は、それが意図的でなくとも、初心者が入り込みにくい環境を作り上げます。そうして新規参入者がいなくなってくると、徐々にコミュニティは衰退します。コミュニティのレベルを維持するためには、最先端のレベルを維持する教育システムの整備はもちろん重要です。しかしもっと長いスパンでコミュニティを維持するために必要なのは... 参入障壁を減らして裾野を広げることです。

僕は今年の8月にvirkato氏作曲の「ピアノ協奏曲第1番 "蠍火"」という曲のピアノソロ編曲版をYouTubeに公開したのですが、今まででダントツで早いペースで10万再生を突破し、今も過去最高の勢いで伸び続けています。

この曲はいわゆる"クラシック曲"ではなく、ゲーム音楽です。知名度もそこまで高いわけではありませんし、クラシックも音ゲーも知らない人からしたらクラシック曲だと思うでしょう。それでもこれだけ多くの人に観ていただけて、感動してもらえるのです。

僕はこのYouTubeでの活動に意味があると確信しました。
クラシックの世界には、同じように誰しもが感動できるはずの名曲が沢山あります。そしてそれは恐らく、"敷居が高い"という何となくの理由で敬遠されているだけなのです。ジャンルに捉われる必要なんてなくて、魅せ方を変えるだけで、多くの人にクラシックのような音楽の素晴らしさを知ってもらえるポテンシャルを秘めています。

色んな活動をしているうちに、「自分にしかできないこと」に固執する必要なんてあまりないことがわかりました。それよりも「自分は何をやりたいか」、そして「自分は何をやるのが世の中にとって意味があるか」を考えるようになりました。

モーツァルトもショパンもリストもラフマニノフもプロコフィエフも、みんな作曲家であるとともに、演奏家でした。彼らの作品に敬意を評するとともに、彼らのような生き方に僕は憧れています。自分で作編曲して自分で演奏できるアーティストになりたいのです。クラシックの世界はもっと自由で、そして生きた音楽であり続けると思うのです。今はまだ全然勉強中の身でそんなことを言えるほど立派な人間ではありませんが、なりたいと思いそれに向かって頑張ることならできます。

今年の年末、全国5都市でツアーやります。

12月2日(月)札幌@六花亭ふきのとうホール
12月4日(水)福岡@カワイ福岡【完売】
12月6日(金)大阪@鶴見区民センター 小ホール【完売】
12月12日(木)東京@すみだトリフォニー小ホール【完売】
12月17日(火)名古屋@電気文化会館
(全て19時開演21時終演)

画像1

コンセプトは、

"Inspiration from Rachmaninov"

去年特級ファイナルのサントリーホールでも演奏したラフマニノフ、彼の作品に僕は何度感情を激しく揺れ動かされたことか。一番大好きな、思い入れのある作曲家と言っても過言ではありません。そんなラフマニノフに影響を受けた作品や、ラフマニノフへのリスペクトを込めた編曲作品・オリジナル曲、そしてラフマニノフの作品を中心としたクラシック作品を組み合わせたプログラムをお送りします。

__________________________

「風の谷のナウシカ」より / 久石 譲
半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 / J.S.バッハ
ポロネーズ 第7番 Op.61 変イ長調「幻想」 / ショパン
幻想的小品集 Op.3 より 第2曲 前奏曲 嬰ハ短調 「鐘」/ ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第1番「蠍火」/ Virkato

交響曲第2番 Op.27 第3楽章 Adagio(ピアノソロ編曲版)/ ラフマニノフ
unravel(東京喰種 OPテーマ)/ TK from 凛として時雨
ピアノソナタ第2番 Op.36 変ロ短調(1931年版)/ ラフマニノフ

__________________________

クラシックが好きな人、ピアノを学んで間もない人、クラシックはよくわからないけど音楽を聴くことは好きな人、大人から子供まで全ての人が楽しめるコンサートにします。合計2000席。決して規模が大きいわけではありませんが、まずは自分のやりたいことへの第一歩です。

チケットの予約はこちらから↓

追記:追加公演を含め、全公演完売となりました。ありがとうございます。

大層なことを言ってしまいましたが、僕はただ自由に好きな音楽を好きなだけやりたいのです。


会場でお待ちしています。


角野 隼斗(かてぃん)

_________________________________________________________________________________

コンサート特設サイト


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートはコンサート活動の資金に充てさせて頂きます。

スキありがとうございます!
546
ピアニスト。作編曲などもしております。1995年生まれ、東大情報理工修士2年在学中 YouTube [https://www.youtube.com/user/chopin8810 ] HP [http://hayatosum.com ]
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。