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日本の図書館を探る①~『これからの図書館(谷一文子)』をトビラに~

1.地域づくりと図書館

いつものように本屋さんをふらふらしていたとき、ふと1冊の本が目に留まった。

『これからの図書館~まちとひとが豊かになるしかけ~(谷一文子)』

元々臨床心理士でありながら、現在は株式会社図書館流通センター(以下TRC)の代表取締役会長である谷一文子さんが、自身の経験を交えながらこれからの図書館の在り方について論じている一冊だ。

ちょうど素敵な司書の方とお仕事をしたタイミングで、”まちづくり”が自分のトレンドワードだった私にはドンピシャな本だった。

この本を読み、私が”勝手に”深掘ったものをゆるっとシェアしようと思う。

2.日本での図書館格差

【①全国の公立図書館設置率(2017)】
〇全市区町村:76.2%
〇市区:99.0%
〇町村:56.2%
【②貸出数・奉仕人口のジニ係数とその差(2017)】
〇全市区町村:貸出数 0.689 - 奉仕人口 0.656 = 0.033
〇市区:貸出数 0.608 - 奉仕人口 0.564 = 0.044
〇町村:貸出数 0.513 - 奉仕人口 0.362 = 0.151
【③‌専任司書数・奉仕人口のジニ係数とその差(2017)】
〇全市区町村:専任司書数 0.752 - 奉仕人口 0.656 = 0.096
〇市区:専任司書数 0.701 - 奉仕人口 0.564 = 0.137
〇町村:専任司書数 0.657 - 奉仕人口 0.362 = 0.295
※参考:公共図書館の地域間格差 - 名古屋大学学術機関リポジトリ
(内田良他 著)
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=25066&item_no=1&attribute_id=17&file_no=1

①から分かることは、日本における公立図書館のハードとしての広がりが地域によってばらついているということだ。
背景には、公立図書館の設置における各自治体への強制力はなく、規模の小さい自治体ほど公立図書館を設置する財政的・場所的余裕がないと考えられる。

②を見ると、情報(またはその媒体)の活用度合いが、自治体規模が小さいほど低い傾向にあるということだ。また、ジニ係数の大きさから、奉仕人口(公立図書館の利用対象)の中でも、情報活用能力に差が生じており、その差は市区よりも町村の方が大きい傾向にあることが分かる。
これには、①の状況も関連しているはずで、
身近にアクセスできる公立図書館がない→情報を活用する機会が少ない→情報活用能力が身に付きづらい
という方程式が成り立つ可能性がある。

さらに③を見ると、情報活用の要であるレファレンスを行う専任司書の配置に関しても、市区より町村の方が進んでいないということも分かる。

現に、私が今住んでいる町の図書館は、お世辞にも「行きたくなるような図書館」であるとは言い難い。蔵書数が少ない、選書が古いことに加え、例えばお話会やブックトークといった、資料活用を促すような機会もあまり見受けられない。

しかし図書館があるだけまだ良い方で、過疎地域などはすぐに足を運べる距離に図書館がないところもあるだろう。

移動式図書館などが広がってきているとはいえ、まだまだ公立図書館の地域格差があるというのが日本の現状なのだろう。




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モヤモヤな日常を着飾らず言葉にしたい22歳。

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