『ウインナ売り』稽古日誌①

こんばんは。食む派のはぎわらです。
この度、食む派の新作公演『ウインナ売り』を10月21日(金)〜23日(日)の日程で、三鷹はSCOOLにて行うことになりまして、
先日その稽古がついにスタートしました。

私は筆が早いほうなので、稽古開始前には完本していることがほとんどなのですが(今回も一応そうはできたのですが)今回に関しては、本当に悩んで悩んで悩みすぎて、紆余曲折の2乗、てなくらい右折左折蛇行をたくさんして、今稽古を重ねていく中で、やっと辿り着くべき場所の輪郭が見えてきたような感じがします。
辿り着く場所を今から明確にしすぎることは、作品にとって豊かではないし、というか作品が辿り着く場所って誰にもコントール、予測ができないものなので、(というか、演劇ってそうであってほしいと思っていて)輪郭がちょっとハッキリしてくるぐらいに留めたい。

そんなところで、今回は本当に書き上がるまで本当〜〜に苦しかったです。
取れそうな選択肢が死ぬほどあって、そこから垂れてくるなんの糸を掴んで手繰り寄せたらいいかというのが、本当に難しくて苦しかった。
冒頭〜三分の一くらいまでを、10パターンくらいは書いたと思います。
で、今稽古を何回かして、演出を含めて、よし、と不安ながらも(この不安が本当に大事)思える作品になりつつある気がしています。
いつも何か、見えない何かと、目の前にある確かなものにたくさん助けられている…。

脚本の話ばかりになってしまったけど、稽古の話をします。
今回参加してくれるのは、高橋花生さん(右マパターン)と、佐藤昼寝さん(中野坂上デーモンズ/昼寝企画)のお二人です。
今回も、食む派にとって完全に初めましての方々です。
二人とも、観劇した舞台をきっかけに出演をお願いしました。
この二人が並んだ画を考えたとき、とてもいいな、と思ったことを覚えています。
しかも、たまたま関わりが深かったという!二人は5年ぶりの共演らしいです。
そんな機会が食む派の公演なのは嬉しいですね。

興味深くて難しくてやり甲斐があるなと思ったことは、当たり前だけど、同じ『食む派の作品』であっても参加する人が違えば伝え方やアプローチの仕方も違うと言うこと。
『パへ』の時には伝わった言葉も、今回は伝わりにくかったり、逆に以前伝えることが難儀だったことも、今回はうまくいったりとか。
自分の経験値も多少上がってる部分も以前と比べてまあまあありつつも、そういう、どんな方向からアプローチしたらこの人には伝わるだろう?を考えて、それがハマった時の気持ちよさと嬉しさたるや、という感じです。
もちろん、適応が迅速な俳優達のおかげなので、ありがたいなあと思います。

以前の稽古日誌でどこまで伝えるか、伝えないか、について書いたと思うんですが、今回はかなり余すことなく、考えてることは全部伝える方向にしています。これも稽古場ごとのやり方の違いですね。その違いが本当に豊かなことだなと思います。
私が伝えた言葉を一生懸命聴いてくれる二人に感謝です。

今回の作品は、ウインナーの試食販売をしている女のもとに、女の弟にそっくりな男がやってきて…というようなあらすじなんですが、『パヘ』と描いていることは少し似ているものの、対を成すようなものになっていると思います。
呪いや願い、ということをキーワードに戯曲も演出も組み立てています。

ありがたいことに、この作品は若手演出家コンクール2022の二次審査対象公演でもあります。
そんなこともあって、そして、作品に悩む比重がいつもよりもっとあるぶん、一瞬妥協しそうになるところも、踏ん張る。諦めない。ということを常に頭に置いています。(当たり前と言われればそうなんですが)
この作品が良くなるには、とにかく私が手を放さないこと、そして稽古を重ねて俳優に作品を渡したら、ちゃんと手を放す。というのがとても大事になると思っていて、気を抜かないようにほんとにずっと神経を張っているので、疲れる疲れる。
でも、公演の最後まで頑張って、今後振り返った時も胸を張って誇れるようなものになるように。


今日初めて立ち稽古に入って、湧き出てくるアイデアにドキドキワクワクしました。
読みで演出をつけたところに、立ちでも更に新しい発見ができて、そういう瞬間がいっぱいあり楽しいです。
可能性のあるクリエーションができていることが嬉しい。
成功するのか、失敗するのかはもちろん分かりませんが、稽古が停滞せず(少なくとも演出の私はそう思っているのですが)エキサイティングなのはとてもいいことだと思います。

本番が終わるまで、作品に隠れたあらゆる可能性を逃さないようにしようと思います。やっぱり作品から目を離さないことがとても大事。気をつけよう。

そんなところで、また今後も稽古日誌をちょこちょこ書いていこうと思います。

ぜひぜひ、たくさんの方にご来場いただけますように。
皆さまのご来場をお待ちしております。
予約▶︎https://www.quartet-online.net/ticket/hamu_wiener


はぎわら水雨子



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