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競馬

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#競馬コラム

【競馬コラム】二度と見たくない感動のドラマ

こんな形で競馬の奇跡を見たいとは思わないけれど、それにしても不思議な力を感じずにはいられなかった。 土曜から母父にジョーカプチーノを持つジョーローリットが単勝42.7倍の低評価を覆す激走を見せたり、日曜にはディアデラマドレの仔ログラールが勝ったり.. 藤岡康太と縁のある血統の馬が奮闘する度に、感動と寂しさの両方が押し寄せてきて何とも言えない気持ちにさせられた。 そしてそのクライマックスが皐月賞でも訪れる。 これまでも調教パートナーを務めていた友道康夫厩舎のジャスティンミラ

【競馬コラム】坂井瑠星と岩田望来の火花散る争い

ドウデュースの快走に沸いた先週の阪神競馬場だったが、坂井瑠星と岩田望来の火花散る対決も負けず劣らず見応えがあった。 まずは土曜。関西のボス川田将雅が東京のクイーンCに騎乗することもあって、朝から坂井瑠星の騎乗馬に人気が集まっていた。ほほうこれは固め打ちもイケるなと思っていた矢先、いきなり出鼻をくじいてきたのが岩田望来だった。4番人気のナウズザタイムで勝利。以後、4Rカレンハサウェイに9Rデビットバローズと計3勝を挙げたのだが、いずれも2着に退けたのが坂井瑠星の乗る1番人気の

【競馬コラム】マイネルラウレアに託したい夢

種牡馬ゴールドシップの産駒がデビューして約4年が過ぎた。オークス馬ユーバーレーベンを筆頭に、ウインキートスやウインマイティー、ブラックホールが重賞勝ち馬となった他にもコンスタントに活躍馬を輩出。決して繁殖牝馬の血統レベルに恵まれているとは言えない状況での健闘ぶりは、現役時代に彼に魅せられた身としても十分に胸を張れるものだ。 しかし、どうせならもっともっとデカい夢を見たい。キレッキレの末脚でクラシック戦線を席巻するような孝行息子の登場を。後継種牡馬として堂々とスタッドインでき

【競馬コラム】ミスター淀短距離S

3日間開催最終日の月曜は川田将雅の独り舞台だった。9クラに騎乗し4勝2着4回。連対を外したのはメインの淀短距離S(4着)のみで、「何でオレが買った時だけ来ないねん」と嘆く馬券マンが多かったことは容易に想像がつく。余談ながら「来ない」の関西弁は大阪・兵庫・京都その他で微妙に違うので注意が必要。まあ僕くらいになると「きいひん」も「けえへん」も「こおへん」も全部使えますけど。 そんなパーフェクトユウガに立ちはだかったのが、「ミスター淀短距離S」こと幸英明さんである。単勝9番人気の

【競馬コラム】成人の日と平成のレジェンドたち

僕が20歳を迎えた年の成人の日はサイレントディールが勝ったシンザン記念の日でした。成人式には行こうとも思わず、いつもどおり競馬場で楽しい時間を過ごし、いつもどおり夕方からはバイトに行ったことを思い出します。ちょうど今から20年前。何やら今年は本厄とかいう巡り合せだそうで。 月日の流れはいつだって早い。20年前に競馬界を無双していた武豊も50代半ばを迎え、リーディングトップの座からは随分と前から陥落した。それでも外国人や若手の台頭に懸命に抗いながら、今もなお要所で存在感を示し

【競馬コラム】坂井瑠星、2023クラシック有力候補との「不自然なまでの」出会い

阪神ジュベナイルFで厳しい現実を突きつけられ、心折れたまま迎えた今週の競馬。土曜のひいらぎ賞ではPOG指名馬マラキナイアが単勝1番人気に推されながら見せ場なく馬群に沈み、ああ競馬ってのは本当に厳しい娯楽だよなあとしみじみ痛感させられるハシスポ氏であった。 せめてドルチェモア坂井瑠星が朝日杯フューチュリティSを勝ってくれれば、少しは心の傷も癒せるんだけどなあと思いながらも日曜午後は出かける予定も入れてしまい、そこまで熱も入らぬままレースの時間を迎えたわけだが、ゴール前はさすが

【競馬コラム】プリモディーネの頃から変わらぬ握りこぶし

福永祐一という騎手が馬上で喜びを表す際はいつも控えめだ。ゴール直後から上体を起こし、ムチを振り上げてガッツポーズ..なんて仕草は見た記憶がない。いつも前傾姿勢のまま、顔の近くでグッと握りこぶしを作る。それが彼のスタイルだ。 リメイクとのコンビでG3カペラSを勝利。いつもの年なら阪神ジュベナイルFで将来豊かな2歳馬の手綱を任されているところだが、周知の通り来春限りで現役を引退することが決まった影響もあってか「ウラ開催」の中山へ。とはいえ、2歳時から主戦を務めてきた相棒と重賞勝

【競馬コラム】ラヴェルの敗因

長く競馬を見ていると、絶望に打ちひしがれ屈辱を味わう経験は避けて通れないもんだけど、まあそれにしても久々に心折られたね。 ラヴェル、何もできないまま終了。いわゆる「後方まま」である。 負けるにしても、大外枠とか展開に泣かされたりして「いい脚は使ってるんやけどなあ、今回は運がなかった」くらいの終わり方を想像していただけに、ショックは大きい。 レース直後はそれこそアタマ真っ白で何も考えられなかったが、時間が経ち徐々に冷静さを取り戻してきた今だからこそ、あれこれ敗因が思い浮か

【競馬コラム】またしても転機は突然に

初めてダートを使ってからわずか4ヶ月で頂点に。何なんですかこれ、先週と同じパターンじゃないですか。本当、どこで転機が訪れるかわからんもんですな。 ただ、脚元の事情で芝をなかなか使えずにいたヴェラアズールと違って、ジュンライトボルトの場合は芝でOP昇級後しばらくモタモタしていたところでのコンバート。陣営としては「いつかはダートを」という思惑もあったそうだが、ひとつタイミングを間違っていればその才能が埋もれてしまいかねないところだった。 初のダート戦となった7月のジュライSは

【競馬コラム】無名の条件馬が叶えたジャパニーズ・ドリーム

正直、どこの誰かわからなかった馬が京都大賞典でいきなり重賞初勝利を成し遂げると、返す刀でジャパンCも制覇。ヴェラアズールの2022年は、ジャパニーズ・ドリームを叶える1年となった。 改めて、この馬が年明けの時点でどうしていたのかを調べてみると、1月9日の濃尾特別(2勝クラス・ダート1800m)に出走し7番人気で7着。こんなもん空気ですわ。まさかここから古馬の王道路線を極めることになるなんて誰が思うことか。 ずーっとダートを使っていたのは決して陣営の見る目がなかったわけではな

【競馬コラム】社台レースホース、ようやっとる

スターズオンアース・アスクビクターモアの活躍で、今年の3歳クラシックを3勝し宿敵ノーザンファームに「勝ち越し」を果たした社台ファーム。日本競馬の誇る二大巨頭として本来は双璧を成すはずが、近年はその成績も大きく水を開けられもはや「ライバル」という表現も不似合いな状況になっていただけに、この風向きの変化には敏感にならざるを得ない。 詳しいことまでは知らないが、育成段階での取り組みを大きく変えたのが結果に結びつきつつあるとのこと。それがどうやら偶然ではなさそうに思えるのが、現2歳

【競馬コラム】母とは違う色でジェラルディーナ戴冠

G1を勝った名牝の仔って、どちらかといえば期待外れに終わりがちじゃないですか。代々で大成功を収めているのなんて、それこそエアグルーヴかシーザリオか。それくらいのイメージ。 12年の牝馬三冠をはじめ7つのG1を制した稀代の名牝ジェンティルドンナが、新しくその領域へと仲間入りを果たした。初仔ジェラルディーナがエリザベス女王杯を制覇。輝かしい現役時代の勲章に加え、繁殖牝馬としても最高の第一歩を踏み出すこととなった。 これはたぶんグレード制導入後ってことかな? いずれにせよまだ10

【競馬コラム】知らない馬が重賞をサクッと勝つことが増えた

ハンデ戦らしい、横一線の争いを抜け出したのは見慣れない灰色の勝負服だった。アルゼンチン共和国杯を制したのは、単勝6番人気のノヴェリスト産駒ブレークアップ。前走で六社Sを勝ちOP入りを果たした直後の重賞挑戦で、見事に初タイトルを手にすることとなった。 ..誰やキミはw ホンマに申し訳ない。不勉強なこちらが100%悪い。けど、全く知らん。 これまでの戦績を見返してみるけど、全く思い出せるポイントがない。昨年の京都新聞杯に出てたらしいけど記憶にございませんし何なら京都新聞杯を誰

【競馬コラム】豪脚ラヴェルと坂井瑠星、2023年クラシックを駆け抜けろ

期待と不安が交錯しながら迎えたアルテミスS。しかし、最後の直線に向いた瞬間の手応えが、勝利を確信させてくれた。余裕たっぷりの坂井瑠星。そして、ゴーサインが出されてからの豪脚。2023年牝馬クラシックの有力候補ラヴェルの誕生である。 課題のスタートこそ今回も失敗したが、折り合い面の問題が全くなかったのが大きい。鞍上も少し出遅れた程度では全く慌てることなくレースを進められた。このへんはG1ジョッキーの心のゆとりか。 直線での豪脚は見ていて本当に気持ちよかった。馬群に包まれて追い