短編小説 『MINT』
ざらついていた舌がメローイエローで溶ける。揺らめく濃紺は音を立てずに点々と月明かりを反射していた。静かな宵闇に「ぷは」とクラスメイトの間抜けな声だけが小さく弾けた。
「アンタって、スイカに塩をかけるタイプ?」
手すりに座って、地面から離した足をプラプラしている彼女の質問に、「まさか。正気の沙汰じゃ無いよあんなの」と答えると、彼女は「私も。でも今なら何となくその気持ちが分かるかも」と、コカコーラの赤い缶に口をつけながら言った。
「どうして塩をかけるとスイカは甘くなるの?しょ