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ふいに、お酒がとかすもの

お酒が好きだ。飲んで、ふわふわ3ミリ気持ちが浮く感覚が好きだ。

酔っているときは、世界がいつもよりやわらかく見える。

娘が、食卓でちょっとぐらい食べこぼしたって、声がとがらない。

夫に話しにくいなと心にとめている話題を、口にできたりする。

それがなぜなのか知っている。

お酒が、酔いが、私のピリピリした感情のアンテナや、固い心のガードを少しだけ溶かすからだ。

今年の誕生日、夫とふたりで地元のワイナリーのレストランにでかけた。ニュージーランドで迎える9回目の誕生日。シャンパンで乾杯。産後、すっかりお酒に弱くなった私は、グラスを空けてよい感じに酔っぱらう。

せっかくの誕生日だもの、メインに合わせて赤も飲みたい。店員さんに、「グラスのシラーください」と英語で注文した。

通じない。

「えっと、シラー?ください」

やっぱり通じない。

整った顔立ちの店員さんが、にこやかな表情を崩さずに聞き返してくれるのだけれど、私の口から出る「シラー」の単語が伝わらない。困ったなあと、ワインリストを持ってきてもらった。お目当てのワインの名前を指さすと、店員さんがようやく理解できた!と大きくうなずく。

「Syrahだね。おいしいよね」

店員さんの口から出る単語は、私の響きとはまったく違っていた。アクセントが頭についているのだ。私のは、抑揚のない響き。

「ごめんなさいね、もう何回か私が聞けばわかったかもしれない」

さりげなく、聞き取れなかったことを店員さんがフォローしてくれた。いいのいいの、言い慣れてなくてごめんねと、笑って返す。

すべては私のポンコツ英語が悪いのだが、通じない瞬間はいつもちょっと怖い。相手が意味を理解しようと眉を寄せた瞬間、ヒュっと身が固くなるのがわかる。厄介な自意識の高さが原因だ。「伝わる言葉を話せない」そんな自分に嫌気がさす。

酔っ払っているときは、この感覚がちょっと違う。

伝わらないのが怖くない。こんな話をしても、相手に理解されないかもなんて不安にならない。伝わらなければ、伝わるまで違う言葉で何回も話そうって思える。恥ずかしいとか、こうありたいとかいう自分を片隅に置いて、目の前の人との会話を楽しもうって、素直に思える。(シラフで同じ思考になれるのが理想で、そのためには英語力を磨かねば……とは承知のうえで)

シャンパンでふわふわと酔っ払って、ニコニコ頼んだ赤のシラーは、じんわりと深くおいしかった。

酔っ払って文章を書いたら、いつもは言葉にできない気持ちがすらすら出てくるかしら……と何気なくつぶやいた。

そしたらば、お友だちのネズミちゃん、ことマリナ油森さんが光の速さで企画してくれた。素敵だ。

日時: 一週間後のいま  9/28(土)夜 〜 9/29(日)明け方
ハッシュタグ: #呑みながら書きました
タイトル: 「 #呑みながら書きました ○○○○○」
ルーる:
その1 好きなお酒を呑みながら書くこと
その2 ほろよいでも泥酔でもいいから酔っ払っって書くこと
その3 書きあがったnoteは見直さず寝かさず、即公開すること
「麦酒」の代わりに「麦茶」でも構いません。雰囲気で!酔って書いていただければ、それで十分!!!


外に対して身構えている壁が少しだけ溶けて、やわらかくなった心の部分からどんな言葉が出てくるのだろう。

普段は言わない想いが、書けるかな。

このタグで、みんなのnoteをたどるのがいまから楽しみ。翌朝、赤面する気持ちや、ひどい誤字に笑いあう時間もふくめて。

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