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お読書、読書~個人的な読書感想文~

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すんげー爺さん~「馬琴の嫁」(群ようこ著/講談社刊)~

久々「馬琴の嫁」(群ようこ著/講談社刊)を読む。
題名にあるように、滝沢(曲亭)馬琴の嫁が主人公であるけれど、読めば読むほど、馬琴の細かさ。占いで全てを決める日常、マメさにゲンナリとしてしまった。

何とか占いで出たからと息子と彼女の見合いの日を決定。これこれ占いでいいと出たからと、彼女の名前を変えてゆく。
(はぁ、、、、)
呆れると共に、怒り。
(何なんだ、この爺さんは!自分の意思がないのか!)

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ファンである喜び~「新・コボちゃん(54)」(植田まさし著/芳文社刊)~

買ってきた「新・コボちゃん」(54)を読む。
この最新刊。54巻は非常に貴重だ。「コボちゃん」時代からの巻(かん)の中でも、重要である。
ご病気による休載以前・以後。復活以前・以後の作品が収められているからだ。復活初日には、植田さんからの一言も掲載されている。
「流石」
復活以後の作品にも、ただ感服するしかない。

4コマ漫画は、日常的なものでなけばならない。
たかの宗美も確かに好きだけども、余り

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これぞアダルト・センテンス(大人の文章)~「旅人-ある物理学者の回想」(湯川秀樹著/角川書店刊)~

(えっ!?)
所有している本の、帯に目をやりビックリする。
「1989年 角川文庫フェア」
とんでもない程、大昔。昭和と平成の狭間の時代。いわゆる「バブル」という奴ね。
(もしや、絶版になったかしらん?)
思いアマゾンで検索をかける。と、今も同社でしっかり販売されている。
が、多少体裁が違う。今や「ソフィア文庫」と銘がある。
わたしの持っているのは、宇野亜喜良(うの・あきら)さんの挿絵版だが、今は

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「君へ和歌」から「君江和佳」?~「派遣戦士・山田のり子」~(たかの宗美著/芳文社刊)

通称「山のり」。
数年前だか、人気にあやかり「アラビアのり」。オレンジ色の憎い奴、夕刊フジ。もとい。オレンジ色の帽子(キャップ)が目印の、三角形型をした糊の制作会社が、手に手を携え(?)共同制作。
ラベルに彼女の全身をつけた。売り上げ向上を測ったのであろう。

もはや戦士。山田のり子の活躍ぶり。
出身地謎、年齢不詳。しかし有する資格は100越えの、派遣社員。超スーパーエリート。超厳しい日々は、今更

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混沌としているわたし達~「スキャンダル」(遠藤周作著/新潮社刊) 

ひょっとしたら、何回読んでも分からない。
けど、折に触れ読みたくなる。名作として味わう。静寂な時間の中に、濃厚な時の流れを共に感じていたい作品=「スキャンダル」。わたしの中での位置づけ。「狐狸庵山人」としてではなく、作家「遠藤周作」を絡ませてみた時の、わたしの中での位置づけた。
「書き下ろし」「純文学」帯にもある。

「悪を書きたい」取り込む前の思いもおありだったし、後期の代表作とする人もいる。発

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作者もキャラの一部です(?)~「うわさの姫子」(藤原栄子著/小学館刊)

懐かしい漫画本を、何冊か持っている。
「うさわの姫子」
(おおっ!)反応すれば、多分、わたしと同世代。「さっちん110番」(山田路子)と共にあった、憧れのラブコメ。共にわたしも大好きだ。
ただ同じラブコメでも、家族を軸にした「さっちん~」に比べ、「うわさ~」は、もっと話がこじれ、もとい。フクザツ化していて、テンポが良くて、面白い。

「家族」と言っても、「さっちん」こと水島幸子と、「姫子」こと梅宮

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元祖・日本のジェンター読本(?)~「土佐日記」(紀貫之著/角川書店刊)

「土佐日記」=紀貴之。
「のりたかゆき」ではなく、「きのつらゆき」。
非常に短い日記文。
「その後の女流文学に影響を与えた」と学校では習うであろう。
「女のわたしが、、、」書き出しであるらしい。

非常に薄い。めちゃくちゃ薄い。冊子みたいである。
もし、購入しようと思ったら一寸、意地悪して店員さんに尋ねてご覧なさい。
「この本屋で、一番薄い文庫本って何ですか?」
間違いなかろう。角川ソフィア文庫の

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こういう所がイマイチねぇ、、、~「すぐ死ぬんだから」(内館牧子著/講談社刊)

かなり話題になった本である。
図書館で借りた。予約してから、1ケ月、2ケ月ばかり待ったであろうか。それだけに喜びもひとしおだ。
(いひひのひ)下品な笑いを心の中で一杯にしつつ、ページをめくる。

ざっとのあらすじ。
個人で酒屋を営む主人公の人生は、苦労も多かったが、総合的には満たされていた。結婚する前に、夫の両親は既に他界していたので、舅・姑とのいざこざがなかったのが第一だ。
子供は2人、一男一女

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浮かび上がって来る声・声・声~「子ども百態」(いわさきちひろ著/岩崎書店刊)

とある人から、クリスマスプレゼントとして貰った。丁度、ちひろに凝り初め、様々な本を読み始めていた時分だったから(こりゃいいや)と、リクエストして置いた。

元気のいい子。どちらかといえば、育ちのいい、坊ちゃん・嬢っちゃんしている子供。めくるページの感覚だ。

ちひろ=水彩絵。ほんわりとした優しさのある、夢の世界に生きるような子供たち。「窓際のトットちゃん」を初めとした、黒柳トット徹子さんの本の挿絵

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気が楽になれる(?)かなぁ~遠藤周作「あなたの中の秘密のあなた」~

ryuchellが、離婚した。事実婚生活を、これから営むそだ。「夫らしさに縛られる自分」「常に夫らしく振舞う自分」に疑問。が理由らしい。奥さんも納得している。

分からないでもないけども、「~らしく振舞う」のは、大切なのではなかろうか?少なくても、社会生活や職場では、自然と求められるし、自分も振舞う。応え度合いによって、評価されたりもする。

1から100に至るまでパンパンに彼は、無意識的に行動し

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ただただ恐怖、恐怖の日々~「強父論」(阿川佐和子著/文藝春秋社刊)

既に文庫版が出ている。文庫版が横行している。
初版の時、実は書店でパラパラめくった。立ち読みをした。ビートたけしの写真が帯にあったが、文庫版にもあるのだろうか?
少し前、図書館で再会。久々に行った図書館で再会したので、(おおっ!)
懐かしくなり手に取った。借りもした。
表紙写真には、少し照れたような若き父親・「瞬間湯沸かし器」こと故・阿川弘之さんと、甘える仕草を見せる佐和子嬢。4歳ぐらいですかね?

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この作品も生きている~「フィルムは生きている」(手塚治虫著/小学館刊)~

「フィルム ハズ ザ ライフ」(英文表記)
何てモダンなんだろう。モダンなセンスを持った、作者であろう。

「フィルムは生きている」
難しくない、短編だ。
昭和33頃に、漫画雑誌の別冊付録として描かれた。
良くあるライバル物語。貧しい少年・武蔵と、裕福な所のボンボン・小次郎が、漫画映画をめぐって対立する。ひょんな事で知り合い、「一緒にやろう」。初めは良くても、段々良くない。意見が合わずに仲間割れ、

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唸る!「う~ん」~「マァチャンの日記帖」(手塚治虫著/毎日新聞社刊)

「マァチャンの日記帖」
(う~ん)
寝てみたい、な~んて三船敏郎が呟くCMがあったけど、
(素晴らしい!)
(何て凄いんだ、わたしって奴は!)
連載当時、17歳。今は北野高校となっている学校の生徒。二十歳にも満たずにいた手塚の異端な才能に驚くと共に、愛蔵版。
少々高いが価値がある。普通であったら、殆ど無視の型版本を購入していた自分にも、加え、付加価値を見るのである。

「サザエさん」
昭和21年の

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浮き上がって来る声・声・声-こども百態(いわさきちひろ著/岩崎書店刊)

とある人から、クリスマスプレゼントとして貰ったもの一冊でもある。

丁度、ちひろに凝り初め、様々な本を読み始めていた時分だったから(こりゃいいや)と、リクエストして置いた。

元気のいい子。
どちらかといえば、育ちのいい、坊ちゃん・嬢っちゃんしている子供。
めくるページの感覚だ。

ちひろ=水彩絵。
ほんわりとした優しさのある、夢の世界に生きるような子供たち。
「窓際のトットちゃん」を初めとした、

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