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霧中絶命のイクスカル

 クソッ、クソクソクソッ!
 何でこんなことになった!
 みんな死んだ! 殺された! あいつらに!
 霧の中からいきなり現れて、俺たち練習生を皆殺しにしやがった!
 生き残ったのは今練習機に乗ってる俺と、片腕を食われたけど止血したアリサが後部座席にいて気絶してて、後…………。誰が、誰がいるんだッ!?
 クソッ! なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ!
 この基地は安全なんじゃなかったのか!
 そうしている間にも、乗り込んだ練習機の起動シークエンスを進行させる。
 安全確認項目を全てスキップする。そんなことしてる間に食われちまう。
 ガンッ、ガンッ! とコックピットの外壁を硬質な何かがぶつかる音がする。
 あいつらだ。
 早く、早く起動しろ!
 そう願っているとようやく、起動認証用のパスコード入力画面が表示される。
 界堂トウマ。俺の名前と、専用のパスキーを差込口に挿入して捻る。
 エンジンが低いうなり声を上げ、振動がコックピットまで伝わる。
 各種センサーが、モニターが起動する。
 すると、眼前のモニターに血走った眼が映った。
「ぅうわああああああああああ!!」
 目の前の恐怖を排除するために、俺はイクスカルのマニュピレーターで目の前をなぎ払う!
 たちまち、目の前のカメラに映っていたやつは吹っ飛んでカメラの視界から霧の中に消えた。
「ハァッ、ハァッ……」
 自分を落ち着かせ、イクスカルを起こす操作を行おうとしたその時だった。
「ウルルルルルルルルル!」
 雄叫びが聞こえたと思った直後に真横からガツンと衝撃を受ける。
 体当たりを受けている!
「こんのおおお!」
 マニュピレーターで、見えない角度から突っ込んで来た敵を掴むと、そのまま手のひらに収納されているブレードを突き出す!
「グオオオオオオ!」
 ヤツが悲鳴を上げている。
「うるせえぇ!」
 悲鳴を上げるヤツにブレードを何度も何度も差し込み、悲鳴が途絶えるまで続ける!
【続く】

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