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《記録》 2019/11/24 にちようびのアトリエ・ひる

6歳ふたりと9歳3人があそびに来てくれた。

はじめて出会う子もいたので、最初は自己紹介から。
ちょっと表情が硬かったので、変な質問をしあってみんなで笑った。
好きな食べもの、好きな色、ランドセルの色など。
こどもたちからも質問が出て、意外と積極的。
「誕生日はいつですか?」と聞いた子がいて、
隣り合ったふたりが同じ誕生日とわかり、「わ!」と顔が華やいだ。
照れ合ってた目が、一瞬交じり合う。
場がほどけた。

「ねぇまだ?」「描いていい?」と、こどもたちから急かされる。
ごめんごめん…と謝った。
みんなの手がすらすらと動きはじめる。
ひとりも止まらず、迷うことがない。
当たり前のように、描いていた。
おしゃべりよりも描くことの方がみんながずっと自然で、わたしは改めて驚いた。
ここがあそびの場で、説明はいらないことを
こどもたちはだれよりも早くわかっていた。

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パパとあそんだ海、太陽になった月、青空の星々、
緑色のマツコデラックス、色ちがいの猫、じゃんけんぽん…
いろんなテーマの絵が生まれる。
もちろん、名前のつけられないかたち、かたちじゃない色もある。
紙はいろいろな素材や大きさを用意していた。
紙のかたちから描く絵を想像する子。
紙の素材と絵の具の相性を楽しむ子。
描きたい絵に合わせて紙を探す子。
描いた絵はビニールテントや窓に貼って飾っていった。

ある子が「この絵を窓の外に飾りたい」と言う。
ふたりで、ガムテープを貼り付けて、絵を窓の外に飾ってみた。
ある子、「ちょっと見てくる」と階段の下へ降りて確認。
見上げて、にやり。
次に描く絵が浮かんだ様子。
階段を駆けのぼってきてすばやくテーブルに向かう。

どんどん描く子、一心不乱に描く子。
「みんないっぱい描いてるけど、まだ2枚しか描けてない」と言う子。
たくさん描く子もいるし、すこしだけ描く子もいる。
いっぱい描かなくていい。そのままゆっくり描けばいい。
かけた声のそばから、もう次の手が動いている。
からだがひとつのこどもたちは速い。

その子はあかむらさきの絵の具を一面に塗って、そこに別の紙を重ねた。
色がうつるかな?色が変わるかな?
紙のしわしわ。滲む色。染み込む色。紙と紙のあいだの空気。
描くことのいくつもの層を一瞬で感じ取って、
絵を剥がしたとき。
うん、満足。そんな横顔が見えた。
のびのびと元気な心が、そこにある。

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このあたりで、絵の具を載せていたテーブルがひっくり返った。
傾いたテーブルの上、ひっくり返ったのもなんのその。そのまま描き続けている子がいる…。床が絵の具だらけになったので、一旦休憩。

セッティングを変えて、テーブルを片付け、透明のビニールに描くことにした。歩き回るスペースができたので、みんなおおはしゃぎ。
手だけでなく、全身で動きだしたから、
あっち、こっち、塞がれてた道が一気に開通、お祭りのよう。
こうなれば、当たり前に追いかけっこがはじまる。
ちょっと興奮させてしまった。

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わたしがこどもたちを見ている以上に、こどもたちがわたしを見ている。
その視線は緊張するものではなく、もっとずっとやわらかなまなざしの中に混ざって、わたしはこの場所にいることができた。

描くことより、つくることより、大事ななにか。
楽しんだり、関わり合ったりしながら、それぞれの存在を放っておくこと。絵を描くのはひとりだから、描くのに夢中で、他のひとが何を描いてるかなんて気にしない。でも、となりには描いているひとがいる。それくらいの感じでいい。
飾った絵だって、見ていないかもしれない。
でも、すこしずつ変わってゆくその場をそれぞれが感じている。

わたしは、この場所にどう「いる」ことができるだろう。
ゆっくり考えていきたい。


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