創業の時には、貢献と期待に応じた株価設定を!
大学スタートアップの仲間から、出資時にいろいろ期待もあり、創業時の出資をお願いした方が、その後ほとんど貢献がないにもかかわらず、出資者として残っていることに憤りではないが、違和感を感じている話を伺った。
出資と株式配分を考える
まず、出資と割り当てる株式について考える必要がある。初めて起業する人は、最初の資本構成に関してあまり知識がないため、創業時の出資金に対する株式の割り当てを全員同じにすると思う。ただし、ここはよく考えてもらいたい。起業家であるあなたとその会社に100%コミットする仲間、または、その企業にとってとても大事なリソースを提供する人たちと比較して、そうでないメンバーと同じ出資に対する株式の割り当ては後日、メンバー間の不和の問題に発展しないであろうか?
もう一点は株主間協定などで、株式を強制的に買い取る仕組みも考える必要がある。創業時はある意味の高揚感もあり、問題にならないかもしれない。しかし、時間が経つにつれて、そのコミットメントが下がってきたり、もしくは想定より貢献がないことも発生するであろう。その際、柔軟に出資比率を変更できるようにしておく事は、起業家にとって極めて重要ではなかろうか。
アントレファイナンスと事例
そのためにもアントレプレナーファイナンスの考え方が重要である。詳細は上記記事を確認してもらいたいが、分散投資ができない起業家(言い換えると資金と自身の全てを投資する自企業への最大の投資家とも言える)とそうでない出資者の違いを確認することは、各出資者と自分の、自企業との関係を考える上でも重要であろう。
私は共同創業者として創業の手続きをしていた時、色々なことを考えたり、決めたり、または実際の操業手続きも大変なため、なかなか立ち止まって考えることができないことを体験した。創業時に多忙ではあるが、出資に関わる問題は起業に関わる人たちが気持ちよく事業に力を注ぐために重要てある。よって、資本金の払い込み前の段階で、起業家はよく考えることをお勧めしたい。
私が関わる学生スタートアップでは、そこに出資する教員の出資に対する株価を大幅に高くし、出資金に対する学生の持分比率を高めた。それにより、学生のやる気を喚起し、学生を支援する立場を明確にした。加えて、事業開始時点、実際には出資金支払い前の発起人会において、再度、出資者全員に対して創業時の出資は、その企業にコミットする(フリーライドはダメ)ことを念押しした。
もちろん、いろいろなやり方があるかと思うし、それぞれの事業の進め方、またはその事業に関わる人たちとの関係にもよると思うが、本件が少しでも参考になれば嬉しい。