小学生の時の『将来の夢』作文、517社で働いても実現せず
小学4年生の時に、国語の授業で『将来の夢』という作文を書いて、発表したことがあった。
私は早生まれ。
しかも3月下旬生まれなので、4月生まれの子とは発育に丸1年の差がある。この成長の差は、大きなハンデだった。
運動神経はカスだと言われ、家庭科や工作は下手くそ。
美術と国語・算数・理科・社会は、頑張って"中"の成績を維持していた。
そんなわけで、生徒や先生から典型的な『出来ない子』レッテルを貼られていた。
そんな私が、クラスの皆の前で「将来の華々しい夢などは語ってはいけない」と思った。
なんというか、そういう無言の圧があるのね。
『出来ない子は、かくあるべし』みたいな空気が、あの閉鎖社会(小学校)を覆っていた。
幼稚園の頃からSFアニメが大好きだった私は、モニターを見ながら宇宙船を操作をするとか、キーボードをカチャカチャ打ってプログラミングするとか、壊れたマシンを溶接するとか配線し直すとか、そういうものに心底憧れを抱いていた。
だから本当は『将来は、コンピューターやロボットを作ったり、動かす仕事がしたい』と、書きたかった。
非公開の作文なら、ありのままの思いを書いたであろう。
しかし、この作文は発表が前提のものだから、慎重にならねばならなかった。
「お前なんかには無理だよ〜」とクラスメートに嗤われるリスクを回避したいのと、私の現実主義な性格もあいまって、作文には『将来は、スーパーマーケットのレジの人になります』と書いた。
作文の中身は「あれなら、私でも出来るだろうと思ったからです」のような、適当なことを書いたと思う。
うん。
これなら、周囲からのバッシングは少ないはず。
でも結局、発表したら
「地味〜!」
「夢がない」
「ダッセーーー!」
などと、批判されたり、嘲笑されたりしたのだが、本当の夢を語ってバカにされるよりはマシだった。
心にもない適当なことを書いたので、ショックも受けなかった。
大人になった私は、天性の仕事運の悪さのため、517社で働く記録を作り上げてしまったが、本業のほうは、ITエンジニアとしてAIやRPA(業務自動化)、ビッグデータ分析など、最先端の分野で十数年働く事が出来た。
発表しなかった本命の夢は、叶えたのである。
ところが、発表した『将来の夢』の方はというと、スーパーのレジ打ちだけは、未だにやったことがない。
なぜかというと、スーパーのレジ打ちは、意外と難しいのである!!!
家族にスーパーのレジ打ちの達人がいるのだが、聞くところによると、下記のような"高度なスキル"が求められるという。
1.スピード
商品のスキャンは素早く!
2.正確性
商品のスキャン漏れ、二重計上は厳禁!
3.カゴや袋に、商品をきれいに並べて入れるセンスと技
食品と雑貨は分ける、重いものは下、似た形のものを揃えて積む、温かいものと冷凍ものは離す、肉や漬物は薄手のビニール袋に入れる、お惣菜やパンは上のほうに、卵は要注意などなど、たくさんルールやコツがある。
私はイベントや物産展のレジはやったことがあるが、商品数が限られるので、意外と気を使わなくて楽だった。スーパーマーケットのように、さまざまな商品をきれいに整頓して入れていくような複雑なことは、こなせる自信がない。
4.お客様とのコミュニケーション
「袋はおつけしますか?」「お箸はおつけしますか?」
「ポイントカードはございますか?」
など確認事項が多い。その他、お客様から値段の確認とか、商品の入荷情報とか棚の場所とか、色々な質問をされるそうだ。
5.立ちっぱなし
基本、就業中は立ちっぱなし。
※『ベルク』や『ドン・キホーテ』では、ようやく座れるようになったらしい。
6.自動精算機のトラブル対応
自動精算機の使い方について、質問される。
7.クレーマー対応
普通のクレーマーや、ごく稀に、出禁リストに掲載されるレベルのモンスタークレーマーと対峙することがある。
※モンスター出禁客の話は、こちら ↓
旧式のレジであれば、さらに
8. 釣り銭を間違えないように
新式のレジは、客が自動精算機を操作してお金を投入すると、正確な釣り銭が出てくるようになっているが、旧式は、レジ係が釣り銭を間違えずに手渡さなくてはいけない。
9.千円札なのに万円札を渡したと言い張る詐欺師対応
自動精算機の主目的は、こういう迷惑客対策ではないかと思うのだけれど、会計で千円札を出したのに「今、オレ、一万円渡したよな。釣り銭9000円足りねえぞ」と言い張る詐欺客に気をつけなくてはいけない。
10.レジ袋に詰める
レジ袋に商品を入れるところまでやる店の場合、レジ袋を1枚取り、袋の口を開け、高速で商品をきれいに袋詰めする。
更に混雑する休日は、下記の2つが困難になる。
⭐︎水分補給
忙しいため、水分補給のタイミングを逃しやすい。
⭐︎トイレに行けない
混雑日は4時間トイレに行けないこともザラにある。
また、長く働いていると、ファンのお客さんがつくらしく、その方達との雑談に付き合うこともあるとのこと。
このように、スーパーのレジ打ちの素質として、コミュニケーション能力、マルチに対応出来る柔軟性、作業スピードが速くて正確、その上、責任感・忍耐力が求められる。
小学生のときに、簡単そうに見えたスーパーのレジの仕事は、誰でも出来る仕事ではなく、むしろ高度な仕事なのであった!
スーパーマーケットのレジやコンビニの仕事は、人によって向き、不向きがあるので、自分の性分に合っているか?
求人にエントリーする前に、慎重な見極めが必要だ。
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