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88歳の決断! 最後のドライブ

知人のモーさん、85歳。いつも集まる仲間がいる。

ある日、88歳のAさんが運転免許証を返納するお祝いランチの誘いが来た。
Aさんがプランを立てたという。
楽しみに待ち合わせの場所に行くと、軽自動車に仲間が乗って待っていた。
えっ、車で行くんだ!少し驚いたが、3人は笑顔で手招きをした。
運転は88歳のAさん、そして仲間はモーさんと同じ年の85歳。凄い高齢者軍団だった。
車はゆっくりと走って、30分程で予約していた店に到着。
一同、いつもと違う立派なレストランに胸が高鳴る。
Aさんは慣れた様子で4人の注文をする。
出てきたランチはお造りに天麩羅、小鉢に汁物にお新香そしてご飯という豪華な和食セット。これはいつものとは違う。
味もいいし、高いな?と思う。
皆でパクパク食べた。
何時ものように昔話に花が咲く楽しい時間が過ぎる。
さてお会計は?となって、Aさんが支払いをすると言い出した。
お互いに年金暮らし、懐は分かっている。それは駄目だよ!モーさんが言った。せめても千円だけでも出させてくれ!と他の仲間が言い出して、皆は千円札を出した。それで手打ち式。
Aさんは奥さんと何度か来てる店だった。
今度、返納したらどうやって来るの?とモーさんが聞くと、二人で自転車でくるさとAさんは答えた。
88歳で自転車か・・・言葉に詰まる。
ここまで来るのには相当時間がかかるはずだ。


夕食でモーさんが今日の事を家族に報告すると、家族は驚いたが、笑いだした。丁度テレビでは静岡のバス事故のニュースが流れていた。
今度は乗らないでねお父さん、と娘が言う。もう乗れないよ、免許証を返納するんだからとモーさん。
何とも凄い高齢者パワー。そして高齢社会を再認識した出来事だった。


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