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∴THELEMA∴ : 洞窟

とある広大な世界があった。その世界には多くの「ゴイ」が居た。その世界には「ゴイ」を「統治する者」が居た。
その世界には「統治する者」を使い、世界を動かす「大きな影」があった。「統治する者」の意思は「大きな影」の意思そのものだった。
「ゴイ」の目には「統治する者」しか見えず、「大きな影」の存在など知る由もなかった。

NOVUS ORDO SECLORUM

ある日、「大きな影」は多くの「ゴイ」を都合の良いように手懐けようと考えた。
そこで「大きな影」は「統治する者」を使い「ゴイ」に「魔法の窓」を与えた。
「魔法の窓」はこの広大な世界の景色を「ゴイ」に観せる為に、という名目で与えられた。
「ゴイ」は瞬く間に「魔法の窓」の虜になった。

「魔法の窓」から見える景色は多くの「ゴイ」にとって疑いようの無いものであり、まるで神のように信仰された。
多くの「ゴイ」から信仰された「魔法の窓」の力は絶大で、世界の流れを変えることも出来た。
多くの「ゴイ」が「魔法の窓」を信仰する中、信仰心の無い「ゴイ」には「変わり者、曲者」のレッテルが貼られるようになった。
「大きな影」にとって都合の良い「ゴイ」が生まれ始めた証拠である。

時は流れ、「統治する者」は「魔法の窓」を通して「ゴイ」に壊れた景色を観せた。
その日から「ゴイ」はその壊れた景色しか見ることが出来なくなってしまった。
「大きな影」はその壊れた景色を「ゴイ」に自ら修復させる為に様々な指示を出した。
長年の信仰心のせいか「ゴイ」は何でも言うことを聞いた。

信仰心の強い「ゴイ」達はもはや現実よりも「魔法の窓」の中で生きているようだった。

「魔法の窓」を信仰しない「ゴイ」達にとってそれはまさに洞窟の比喩でしか無かったのだ。


Disappointment

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