短歌 「生きている」


――――――――――――――――――――――――――――――――――

青の自分 黄色の自分 赤の自分 パカパカパカパ 声を出したい

まるで遺書のような言葉で君を呼ぶ仕方がなかった弱い人間

友の名と心にしまったバイバイを二十歳(はたち)の部屋でそっと取り出す

何度でも気づくわちょっと短くて光呼びこむカーテンの裾

妹の卵焼きを食う男の名 知りたくもあり知りたくもなし

冬の日に見ておれなかった太腿が光まぶしく跳ね返す夏

できるのねあなたに私を守ることツナ缶半分とっておくこと

一匹のコバエが止まる空っぽのコップを見ても僕は動けない

偽りの世を生きている 陽炎を見つめるなんて嘘をつくなよ

――――――――――――――――――――――――――――――――――


読んでくださってありがとうございます。
「スキ」と思ってもらえた歌はあったでしょうか。


読んでくださってありがとうございます。 サポートをいただいたら、自分を元気にするために使おうと思います。