DeSKO 8/22 初心者コース第2回報告

〔1〕《宿題1》の振り返り

何かを説明する際に「前提条件」が必要となるケースは多いと思われます。

今回、ディベート指導者研修会の初心者コース担当として、4回に分けて説明するのですが、第1回の際に説明に困ったのがこの「『事実』と『意見』との違い」についての共通認識が持てていないことです。『事実』も『意見』、言葉として知らない人はいないでしょう。しかしながら、それぞれの《定義》を知らなければ、違いが説明できません。…『事実』と『意見』の《定義》なんて、小・中・高校と勉強して、いつ習ったと思い出せますか?

前回(第1回)では、ディベートとはどのような枠組みの議論なのかを把握してもらい、更にディベートを「率直」にイメージできるよう、8分強のモデル対戦をビデオ観戦してもらい、判定練習①を行いました。

それを踏まえて、更にディベートへの理解を深めるために、
「故障の原因は接続ミスでした。」
「この色はあの色よりも赤っぽい。」
等の例文7つから、それぞれが『事実』と『意見』のどちら分類されるのかを《宿題1》として提示し、振り返りました。

参加者の皆さん、意外と間違うのです!
それだけ『事実』と『意見』とは、多くの人日本人に定着していない概念だと思われます。
ちなみに、学習指導要領では、中学1年で扱うことになっている、らしいです。私も覚えていません(笑)。
ですが、この内容を紹介している木下是雄著『理科系の作文技術』p.101によると、アメリカでは小学校4~5年生の教科書に、何度も登場しているそうです。
これを御覧の皆さんも、一度は『事実』と『意見』の定義をご確認ください。

〔2〕メモのコツ

ディベートが出来るようになる、知識的前提が「『事実』と『意見』の定義のチェックと理解」なら、スキル的前提が「メモが取れること」です!
今回、私が用意した2分の原稿を読むのをメモしてもらい、その『メモを用いて、私が何を言ったのかを再現してもらう』というトレーニングをしました。

ゴールが「メモを見て内容を再現する」ことなら、それが出来るように聞き、必要な内容をメモするので、メモの質が高まります。
ちなみに参加者の中で、勇気ある大学生が、再現のチャレンジに成功しました\(^o^)/

もちろん、大学生がよく頑張ったのですが、チェレンジ成功には読み手(=原稿)にも工夫が施されているのです。ただのグダグダな文章では、流石に難易度が高いはずなのですが、再現しやすいように下記の2つの工夫が施された原稿なのです。
①ナンバリング
②ラベリング

「なんだ、難易度を下げているのか」という話ではありません。ディベートは、ディベーター側がジャッジに、どういったメリットやデメリットが起こるのかのプロセス等をきちんと伝えなくては、勝てません。ですから、ジャッジが議論の内容を振り返り、ちゃんと評価してもらうために、上記①、②を施した文章を作成することが大事であり、聞き手もその内容を振り返ることが出来ることが大切なのです。つまりこのトレーニングは、双方が【コミュニケーションの責任を果たすというスキル】的前提を伸ばすためのトレーニングなのです!

〔3〕(紹介のみ)「他者紹介」と「ワーク:メリット・デメリットの検討」

 上記のメモのコツが出来れば、「(他人に)インタビューをし、その内容を要約して全体に紹介する」という「他者紹介」のワークが出来ます。
 更にはいよいよ、あるディベートの論題に対して、個々人の賛否の意見+自分とは逆の意見の根拠(推測)を集めて、想定される議論の見通しを立てるワークを紹介しました。

〔4〕●→○

 以上のこと、更には第1回の内容を踏まえてディベートについて振り返ると、実は巧妙に、ディベートの枠組みに沿って作られている番組があります。
 「テレビショッピング」です!
 必ず、問題のあるシチュエーションから始まり、「その問題はこの商品で解決!素晴らしいので是非お買いください」となります。
 ●が、商品によって◯に変わる、という作りなのです!
 ディベートも、ある問題が、政策によるプランによって良い状況に好転することを説明するのが肯定側、逆に、良い状況だったものが、政策によるプランのせいで悪化することを説明するのが否定側、となります。
 その変化の程度で、議論の大きさを見積もるのです(^^)

《宿題2》判定練習②「部活動廃止」

以上のような観点の把握とメモのスキルがあれば、ディベートから得られる情報が格段に増え、望ましい判断ができるようになります。
あとは、ディベートに触れる経験を増やすことが大事です。
第3回に向けての宿題は、★こちらのディベート★を視聴し、勝ち負けの判断をしてもらうこととしました。
今、この文章ご覧の皆様も、是非ご覧になってください。面白くて、上手なディベートです!

第3回はいよいよ、実際のディベートを踏まえて、ディベートをより深く理解するために必要な観点を取り上げます。

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