書くために生きること。生きるために書くこと。

こんにちは。夏目紗綾です。

ライター始めてから一ヶ月まだ経っていませんが、お仕事は順調にいただけるようになってきました。長期の案件をいただくと、やっぱりちょっとほっとしてしまうので、安定を望む私はまだ健在です。ちょっと長くなるのですが、私がライターを始めた理由を書きたいなと思いました。

今は半分引きこもっている私ですが、ストレートで大学に進学して、一年留年してしまったものの無事卒業して一昨年大学院に進学しました。

昨年までの私を見た人はだれもが「堅実な人生を送っている人だな」と思うことでしょう。

苦学生をしていたので、バイトも大学に進学してからはずっと続けてきました。家庭教師、塾講師、食堂清掃、コンビニバイト、ホテル清掃……いろんな仕事をしました。ライン作業も経験して、肉体労働系は割と制覇しつつある感じではないでしょうか。

そしてエンジニアとしてエリートコースに乗っかっていたはずの私だったのですが、昨年「うつ」と診断されました。

現在も病院とカウンセリングに通っていますが、教授が気付いてくれなかったら私は今生きていたかわかりません。母は根性でなんとかなる、という典型的なタイプの根性至高主義なので、教授が説得してくれるまで通院を許可してはくれませんでした。私はそんな母に育てられたので、「うつなんて甘えだ」と自分を追い詰め続ける日々に摩耗していきました。今は経済的な事情で母と同居していますが、今も母には「甘えている」「怠けている」と思われていると思うと自分が情けなくて生きるのがつらくて仕方がない夜もあります。

順風満帆な人生を送っているように見えた私がなぜうつになったのか。大きな原因は、進路と「なりたい私」の乖離が進みすぎた結果ではないかと、自分では思っています。

私は作家になりたかったのです。

「小説では食べていけないよ」という母のアドバイスを幼少期からもらって今の進路に落ち着きました。私は小学2年生の頃からずっと作家になりたかった。この夢が揺らいだことはありません。

私は、バイトでくたくたになった夜、風呂に入ってそのまま眠ってしまって朝を迎えました。そんなことは何度もありました。そのうちに、「昼にフルタイムで働きながら、時に残業に追われながら、私は作家になれるのかな……?」という疑問に囚われるようになりました。IT系の仕事は残業は当たり前、納期が迫れば休出もあるし、終電に帰る、朝まで会社、なんていうこともざらの世界です。

たかだかバイトで予定を狂わされるような体力の私が、そんな過酷な仕事を毎日しながら小説を書き続けられるのか?

私の頭を悩ませ続けた疑問でした。

研究は楽しく、数学も教授に恵まれたおかげで好きになりました。プログラミングもサーバー管理もやってみると結構楽しいです。でも、小説と天秤にかければ、私は当たり前のように小説を選びたい。状況はどんどん私を小説から遠ざけていくようになりました。

書けないなら生きている意味がないと思いました。

書けないなら死のうと思い、何度も8階のベランダから遊歩道を見下ろしました。その度に、真夜中ふらふら帰るサラリーマンやコンビニ帰りの子供連れの姿を見ては、「あのひとたちにひどいトラウマを植え付けてしまうかもしれない」と思いとどまりました。人がちっとも通っていなかったら、私はそのまま飛び降りたと思います。

私は人生にどん詰まったわけではありません。そのまま流されるようにレールに乗れば、かなりいい条件の会社を受けることが出来たと思います。研究を活かした企業に就職して、大学院卒の給料をもらって生きていったと思います。

でも、それでは生きている意味がないと思っていました。私にとっては死ぬよりつらい生き方でした。小説を書く体力もなく寝て起きて仕事をする生活になんの意味もない。私がベランダに向かう時はいつも小説が一行も書けなくなった時でした。本当に落ち込みすぎるとなにも出てこなくなるんです。趣味すらできない私には生きる意味がないと思いました。書けないなら死んだほうがマシでした。今でもそう思っています。

私は生活のために書くのではなく、書くために生きているんだと痛感した一年でした。

たとえ私に文才がなくても、人を振り向かせられるような天才ではなくても、私は私のために書かないと死んでしまうんだと思いました。

そんなある日です。カウンセリングの帰りに閃きました。

「書かないと死ぬなら、書ければ私の人生なんでもいいんだ」

それは私にとって大発見でした。閃いてすぐ、ライターとして仕事を始める準備をはじめました。最初は小説とは全く違うアプローチの文章を書くことに戸惑い、何度も筆が止まりました。でも、コンビニの仕事よりも楽しくて、息をしている感じがしました。私、生きているな、と思いました。

安定しない生活は怖いです。でも、文章を書かずに生きているなんて、そっちのほうが私には恐ろしい。私はずっと書いていたい。人生を切り売りすることも怖くありません。書けなくなることのほうが私にはずっと怖い。

だから私はライターをはじめました。

なんでもいいから書いて書いて書き続けて、そして小説も書いて、ずっと書いて、書き散らして生きていきたいからです。

私にとって書くことは生きることです。

2018年はそんな自分に正直に、なりたい自分に近づく努力を続けていきたいと思います。ばりばりひたすら、書いていきます。

新年の抱負のつもりが、長くなってしまいました。

これからも、どうぞ宜しくお願い致します。

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