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ズルをしてでもバスに乗り込め!

ある夏の日に、千葉県にある東京夢ノ国に家族で足を運んだ。早朝だというのに、何千台も収容できる駐車場に車が吸い込まれていく。多くの人が幸福感を得ようとそこへ向かう。わたしたちもそれにならって、事前に購入していたパークチケットを手に、入場門前の人だかりへ向かった。そこで列の最後尾に並ぼうとした瞬間に、走りこんできた若い男女に前に入られた。わたし達は僅かに不快を感じながらも、それを無視し彼らの後ろに並んだ。子ども達は期待に胸を躍らせ待っているが、多くの入園者がいるので結果として、数十分待つことになった。

ごく当たり前の光景だと皆さんは思うだろう。わたしもそう思う。より早く入りたいのなら、他の人よりも早く入口に並び順番を待つのだ。これ以外、正式な方法はないだろう。いや待てよ、確かパーク内のオフィシャルホテルに宿泊すれば一般の入園者よりもわずかに、しかも並ばずに入れるはずだ。ハッピー15エントリーというものだ。これなら並ばずに15分早く入園できる。(現在はコロナ過のため行われていない)

ではそれ以外にはないのだろうか?

おそらく、それ以外はルールに乗っ取った方法はないだろう。当たり前だ、法制化のなかズルをしないかぎり無理なはずだ。皆さんは何か望みを叶えるためにズルをしたことがあるだろうか。例えば、じゃんけんで好きな物を選べるときに、わからないように後出しをして勝ったとか、何かの購入するときに個数制限があり友人にお願いして二人分貰ったなど、ほんの小さなズルはしたことはないだろうか。

わたしは子育てをしていることもあり、子どもには損をしてもズルをしないように教え育てている。皆さんも自分のことは置いておいても、子どもにズルをするような子になってほしくないと思うだろう。しかし、社会を覗いて見れば正攻法なのかズルなのか曖昧なことを多く目にし体感する。

まずは、次の有名人のエピソードを読んで、皆さんなりにそれを判断して欲しい。その有名人は日本でもお馴染みのS・スピルバーグだ。彼の代表作といえば、「E・T」「ジュラシックパーク」「インディージョーンズ」など数えきれない。

【S・スピルバーグ監督のキャリアスタート】

スピルバーグのキャリアのスタートは、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのツアーバスに乗ってあちこちを回った後、バスから飛び降りてこっそりトイレに行って、建物の陰に隠れた。ツアーバスが行ってしまうのを見計らって、その日1日をそこで過ごした。あちこちをさまよい偶然出会ったのが、ユニバーサルで働いていたチャック・シルヴァースだった。2人はしばらく話して、シルヴァースは監督になりたいというスピルバーグの熱意に押され、3日間のフリーパスを与えた。それから3日間、スピルバーグはスタジオに通いつめ、4日目に、スーツ姿で父親のブリーフケースを持って現れた。スピルバーグは入り口まで行って手を振りながら”やあ、スコッティ!”と声をかけた。すると警備員が手を振り返した。それから3カ月間、スピルバーグは入り口に行ってそんなふうに手を振り、そのまま中に入った。

引用:「サードドア 精神的資産のふやし方 アレックス・バナヤン」

こうしてチャック・シルヴァースの力を借りてスピルバーグは、映画スタジオにもぐり込んで映画のノウハウを学んだ。ある日には、ブリーフケースにもう1着のスーツを入れて事務室に泊まり、翌日に新しいスーツに着替えてスタジオ内で活動を続けた。そしてチャック・シルヴァースに、これはというショートフィルムができたら戻ってきなさいと促され、その後「アンブリン」という26分の短編を完成させ、その映画がユニバーサルの制作副部長のシド・シャインバーグに評価され、ハリウッド史上最年少で大手スタジオの映画監督となった

一見、素敵なサクセスストーリーのように思える。いや、見事な成功秘話に間違いはない。しかし、最初に戻って欲しい。彼はツアーを抜け出して物陰に隠れ、本来許されない行為をしている。日本でもテレビプロデューサーになりすまし、テレビ局内に一般人を見学させ、お金を貰っていた人物が詐欺と不法侵入で逮捕されたことがあった。後にこの事件により、局内では有名人でも顔パスが利かなくなり、入館証が必要となった。

彼の行ったことは、間違いなく現社会では犯罪行為にあたる。おそらく当時でも厳重注意、酷ければ不法侵入罪で逮捕になるだろう。では、スピルバーグはこの出来事がなければ映画監督になれていたのだろうか。それについてはそんな過去がないため明確な答えはでない。しかし、彼が大手スタジオの最年少の映画監督になることは難しかったはずだ。また、もし彼が映画監督になれていなければ、私たちは彼も持つ才能から生み出される作品を受け取れなかった可能性があったのだ。

このように彼のキャリアスタートのきっかけはズルをしたわけです。本来であれば映画学校に入り、映画のノウハウを学び、映画スタジオに就職する又は、在学時にでも映画を作りオーディションを受け、採用され監督のキャリアをスタートさせる方法を取らざるえなかっただろう。それをショートカットし、映画関係者と関係を築き、多くの若い映画監督の順番待ちの最前列に割り込んだのだ。

では誰もがズルをすれば成功するのだろうか?

その答えは明確にある。間違いなくNOだ。ズルというのは何かの場面で特異的に優先・成功することにある。継続的に成功を収めたり優先的に振舞ったりする効力はない。いわば戦での奇襲攻撃にあたる。例えば敵陣営が就寝中で油断をしているときに奇襲したとしよう。間違いなく、奇襲は成功することだろう。しかし、戦力差がある場合、戦の勝敗をわけるほどの効果は得られないだろう。10人で1000人に奇襲をかけてもほとんどの場合効果はないようにチャンスは得られても成功はしない

つまり結果を生み出すためにはズルをしても、多くの場合実力がなくては話にならない。先ほどのスピルバーグはズルをしてチャンスを掴んだ。その方法は決して称賛されるべき行為ではないでしょう。しかし、スピルバーグが最年少で大手スタジオ監督になったことは、話が別で彼の実力だ。彼が映画に情熱を捧げ、積み上げた努力の結果「アンブリン」を完成させた。そしてその映画が評価されたわけです。前提として、彼が現場の最先端を行く人たちから多くのものを盗み、その才能を開花させたのはいうまでもない。

では、正しいズルの方法とは

先ほどのスピルバーグの話で、彼は何故チャンスを掴めたのだろうか。それは、彼がハリウッドの映画スタジオの関係者チャック・シルヴァースに出会い気に入られたことにあるとわたしは考える。ズルにフォーカスすると、ズルをするためにはズルを許諾してくれる提供側の存在がある。いわば内側の人間といってよいだろう。この内側の人間にズルを許諾してもらう必要がある。

つまり、個人の裁量でできる範囲のズルの許諾だ。チャック・シルヴァースは3日間のフリーパスを与える裁量を持ち合わせていたということだ。一般清掃員や警備員にそのような権限は持ち合わせてはいないだろう。このことにより、スピルバーグは少なくとも3日間スタジオ内を見学できる機会を得た。その機会を生かし、さらなるズルをスピルバーグはしたのだが、そのことは置いておきます。

このように多くの場合、個人の裁量によってズルは行われる。これをズルと表現すべきかは議論の余地がありますが、今回はズルと定義しよう。つまり、皆さんがチャンスを手にできず八方塞がりなのであれば、このようなズルの方法もあるというわけだ。芸能人の二世タレントが成功するかしないかは別として、チャンスが多いのはこの個人の裁量による恩恵が大きいのではないだろうか。別に批判するつもりもないが、許容されるズルによるチャンスの増加の証明にはなるのではないだろうか。

アメリカのトップミュージシャンであるマドンナも、多くの男性プロデューサーと枕を共にして成功したと自身で発言していた。そのあまりにも合理的な方法は眉を顰めたくなりますが、個人の裁量によりチャンスを手にしたことは間違いないだろう。

良く素直な人は成功しやすいといわれる理由はここにある。これは全てとはいわないが、無意識的に自分以外の他者から個人による裁量の恩恵を受けているのではないかとわたしは考えている。

人に嫌われるよりも好かれる方がよい。市場や買い物先で、あなたは売り場の店員または、亭主におまけをしてもらったことなどないだろうか。これなども、職務権限を持つ個人の裁量による恩恵といえるだろう。つまり社会性動物である私たちは、媚を売り愛想を振りまき生きることを望むべきではないが、自分以外の他者に好感的に思われることで生活を豊かにする効果があるのだ。よって人に嫌われるより好かれる方が得らしい。

しかし、ズルをしてチャンスを掴む話のはずが、最終的には素直な人が得をする話に変化した。わたし自身そのように構成していないので不思議な現象だ。チャンスには、きちんと順番を待つ方法もあると思います。しかし、時代の流れが速いとき、チャンスのタイミングが重要でもある。それでは最後にチャンスをバスに見立ててみよう。

チャンスが「バスに乗ること」だとしよう。そのバスに乗るためにはバス停で順番を待たなくてはいけない。誰もがそのバスに乗ろうと行列をつくっている。仕方なくあなたは列の最後尾に並んだ。しかし、前方の3番目にあなたの友人が並んでいる。ここであなたのとる方法は二つだ。

一つは列の最後尾でバスに乗れるまで順番を待つ。そしてもう一つは

「やぁ○○!ごめん、遅くなった。順番を一緒にとっておいてくれてありがとう」と言って、友人の後ろに並ぶことだ。

どちらを選んでもあなたの自由だ。しかし、もしあなたがそのバスに是が非でも乗らなくてはいけないのなら後者をおすすめする。また、前者を選んだあなたにも次の言葉を

一台逃しても必ず次のバスが来る。でも、準備をしておかないと、飛び乗ることはできない」(元マイクロソフトオンラインサービス・プレジデント チー・ルー)

*注意:バスに乗るためにはチケット(実力)が必要だ。チケット(実力)がなければ乗車できない。あしからず。

                             おわり

彼は中国上海郊外にある、電気も水道も通っていない村で育った。あまりにも貧しい村で、人々は栄養失調で体に障害を持っていた。数百人の子どもに対し、学校の先生は1人だけ。チー・ルーが27歳のとき、これまでで最高の月収を得た。それは7ドルだった。それから20年の間に、彼は猛烈なスピードでマイクロソフトオンラインサービス・プレジデントまで登りつめた人物。

参考文献:サードドア 精神的資産のふやし方 アレックス・バナヤン著

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no.36 2020.10.16





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