田んぼを渡る風を見つめる時間。
鬼木の棚田へ行ってきた。段々になった田んぼに、まだ背の低い稲がそよぐ。ただ美しかった。
こんにちは、こんばんは。くりたまきです。
田んぼを渡る山の風が、稲を揺らす。きらきらと水面のように光が走る。刻一刻と風と雲によって表情を変える棚田を見つめていると、自分の中のなにかが研ぎ澄まされていくようだった。
鳥の声と、雑草を草刈機で刈る音、そして風の音。
写真を撮りながら、うれしくなった。
夕方からは、自動車学校へ。
帰りの20時過ぎ、送迎バスに乗り、窓の外を眺めていた。日が暮れかけて、薄暗い時間帯。空は天空から山の稜線にかけて濃紺のグラデーションが彩る。
夕暮れも、なんだか澄んでいる。
空の色が静かで、すくない街灯の光が田んぼに映る。闇に染まりかけた山も真っ黒ではなくて、ほんのすこし緑が混じっていた。
今日ご挨拶をした人が、はにかみながら、こんな風に言った。
「東京から来たとね? あらまあ、こんなところに」
こんなところ、なんかじゃない。
こんなにすてきなところ、だ。
ずっと住んでいる人には、見慣れてしまっているかもしれないけれど、わたしにはこの町がきらきらして見える。
田んぼに渡る風を見つめる時間。そんなひとときが、この上なく豊かだと思うし、わたしは好きだから。
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