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犬が歩くと、しあわせに当たる。たぶん人も。

この一冊が、わたしのあたらしいお守りになりました。

こんにちは、こんばんは。
くりたまきです。

今日はゆるかわいい漫画、『さちうすい犬のしっぽふりり日記』のことを、おすすめします。

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作者はチダケイコさん。あの『カピバラさん』を生み出したお方!

この漫画はウェブで無料配信していて、見ていた。かわいくて、でもどこか哲学的で、癒されてしまう。そして単行本が発売されたと知ってゲット。

今も無料で見れるので、こちら試しによかったら↓

この漫画の中で、なにが起きているか。それはちょっと説明が難しい。主役の野良犬が飼い主を得る訳でもないし、強い犬と戦う訳でもない。ものすごく遠目に見ると、たぶん……なにも起こっていない。

この本に描かれているのは、ささやかで、ふだんは目に見えない粒子のような、小さなしあわせ。
わたしのなにもなかったかのような一日に潜んでいた輝きまで、そっと引き出してくれるような。

家に帰ってきて、疲れてしまったとき。もうお風呂にも入りたくないし、メイクだって落としたくない。雪崩れるようにベッドに落ちて、もぞもぞと毛布の中に閉じこもりたくなる。

失敗したこと、未熟なじぶんへの悔しさ、麻痺していくなにか。

そんなときに枕元に置いておいたこの本を開くと、どのページを適当に開いたって、心が和らぐ。

もちろん、休日にとっておきのお茶を淹れて、ゆっくり通して読むのもどうしようもなく最高だ。ほんわかしたあと、さいごに「おちびのころ」のページで切なさが限界突破する。

さらにそのあと、残りのページで、ぷっと吹き出してしまうのだけれど。

野良犬で、さちがうすそうに毛が薄くて、特技もなくて。
そんな「さちうすい犬」だけど、自らを卑下することもなく、日々を過ごす。アメリカンドッグの皮だけを拾ってしあわせそうに食べる。びんぼう草をうつくしいと見つめる。

しあわせは、たくさんある。
ピュアな心で、そのひとつ一つを見つめられたら。

「さちうすい犬」のほかにも、「ボス猫」や飼い犬の「プードル」、「毛のうすいおじさん」など、それぞれの生き方をする生きものたち。みんなが愛しく感じる。そう思えるじぶんに、ちょっとほっとしたりもする。

それにしても、もともとコピーライターをしていたからか、単行本としての仕上がりがとても好きだなあと思った。

カバーの紙の、ちょっとキャンバスっぽい加工が、絵の雰囲気に合う。中の紙もマットで、チダケイコさんらしい絵の線と色のよさを引き出している。ずっと手元に置いておくものだから、紙の本としての素晴らしさがうれしい。


しあわせって、なんだろう。

きっと、手の届かないものではなくて、すぐ近くにあるもの。

この「さちうすい犬」が歩くと、しあわせに当たる。

それはとても、ひたすら尊い生き方だ。

わたしの人生もそうなるように、世界をまっすぐ見つめていたい。

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