うわさの速度はどのくらい?
波佐見町は、ちいさな町だ。そして駅もなく山に囲まれ、血縁関係が濃い。そのためか、うわさが広まるのが早いらしい。
こんにちは、こんばんは。くりたまきです。
わたしはよそ者だし、うわさの輪に入っていないから知らないけれど、きっとうわさされてるんだろうなあ。いい感じのうわさだといいな。
うわさ好きというよりは、知り合いが多いだけなんだと思う。ぽろっと家族にご近所のこと話したりするでしょう?あの範囲がすごく広いんです、たぶん。
今日は夜ごはんのおかずを買いに「桶谷鮮魚店」さんへ。
関東で経験も積んできた桶谷さんのところで買うお魚はおいしい。波佐見の外を知ってることもあって、買いものに行くと「最近どうよ?」的に声をかけてくれる。
「波佐見の人はうわさ好きって言いますよねえ」とわたしが言うと、竹を割って割って跡形もなくしたような軽い返事が返ってくる。
「そうだよ、波佐見のうわさは光回線より速いんだよ。知らなかった?」
笑っちゃった。
桶谷さんのお母さんも店先にいて、お話してくれた。
「わたしもねえ、よそ者だからね……」としみじみ。うんうん、とうなずいていると、すかさず息子である桶谷さんが「そんなこと言ってるけど、その人佐世保の出身だからね。すぐそこだよ」と刺す。お母さんがけらけら笑う。
わたしは持論を話した。
波佐見町は、韓流ドラマの世界なのだ、と。
わたし的に韓流ドラマのよさって、情の濃さであり、血縁関係や人間関係の濃さだと思う。古い考えかもしれないけど。少ない登場人物たちが、その中でカップルになったりするし、じつは親子だと判明したりするし、とにかく濃い。
波佐見も濃い。みんな親戚。だから結果としてうわさも広まる。わたしはそんなドラマの世界にいるのだ!
と言うと、「そうそう、そうやって折り合いをつけたり受け入れたりしていくのが大事よね」と桶谷のお母さん。
そうなんだろうか。よそ者の先輩の言葉を受け取って、ついでに買ったお刺身と切り身も受け取って、帰った。
わたしは波佐見町が好きだ。みんなやさしい。田舎の新鮮さも、おもしろいと思う。うわさが広まろうが、どうでもいい。いいんだけど、うわさがどんなふうにどんな速度で広まるのか、それはちょっと知りたいな、と好奇心がちらついている。
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