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室見長月ろくろを回す ~『ARIFURE-tail』ライナーノーツ~

どうも、ご無沙汰しています室見長月です。だいぶ楽曲制作も安定してきましたので、ここらでひとつライナーノーツを書こうかと思いまして筆を執りました。ずっと作業してると耳も疲れちゃうしね。
ちなみにもう次の曲のアイディアはだいぶ鳴っています。ただ、何個か書きたい記事も浮かんできたので、いつから作業しようか悩みどころです。もっとも慌てて多作する必要もないんですがね。

さて、5年ぶりのボカロ曲は『ARIFURE-tail』でした。ボーカルはVOCALOID5 kenを起用。V5を起用したのは声に匿名性がほしかったからです。あと男性キーで綺麗に歌ってくれる音声だなと思ったので。

最初に思い浮かんだのはサビのメロディで、去年の10月ごろにポロッと自分の中から出てきました。本当に単純なリフの繰り返しで、昔なら他の曲と似てることを恐れて使わなかったと思うんですが、これを思いついたときこれでいいなって納得したんですよね。

歌詞が聴き取れるメロディ、歌うためのメロディというのは当然限界があるし、めちゃくちゃなリフがポップスに適用できるかといえばできないわけで。だから気にしないことにしました。多分年食ったのもあるんでしょうね。程よい諦観というか。昔は本当に呆れるぐらい必死でしたから。

その流れでAメロ、Bメロを作りましたが、発表時と違ってかなり暗いメロディであまりしっくり来ないものでした。かといって代替えも思いつかなかったのでそこからしばらく放置していました。

それから年をまたぎ、本格的に楽曲制作をインストやリミックスからリハビリしていく中で、この曲をどうしようか考えていましたが4月に入って再び動き出します。風呂に入っていたときにサビの最後のリフからメロディを展開することを思いついたんですね。これは今までしたことがなかった。

Cメロの転調はアレンジを組んでいる途中で作りました。作っている当初は無理くり持っていった感じがありましたが、今聴くとそうでもないですね。いや理論をちゃんとやっている人からしてみたら何だこりゃって感じなのかもしれない。

アレンジは当時自分がハマっていたソカというリズムを適用しています。ソカそのものはトリニダード・トバゴ発祥の軽快で明るく、変な言いかたをすればアホなテンション感の音楽なんですが、最初のスネアが二拍裏にずれるあの感じが当時好きで、リミックスを再開したあたりから意識的に取り入れていました。

イントロのノイジーな白玉が2つ続くのはthe HIATUSのRegretsからインスピレーションを得ました。静謐さをサウンド面においては表現したいと考えながら組み上げていきましたね。

作詞について。タイトルはサビのメロディが浮かんだ時点で決まっていました。『ARIFURE-tail』というのは読みの通り”ありふれている”の言葉遊びで、語尾をtail(尻尾・すそ)とした意味は単に思いつきです。ひらがなだとタイトル感がないというのもありましたが、そんなに難しいことは考えていません。

歌詞を書くのも5年ぶりでしたが、この曲に関してはあまり苦労しなかったのを覚えています。1番は耳に柔らかい響きが残るような副詞を選んでいきました。スピッツのような言葉遣いをしてみたかったところが強いです。2番は逆に堅めな表現を選んでコントラストを得るように意図しています。

1番サビだけはそのとき言いたかったメッセージを詰めて、その他はそれっぽいことを言うだけ言って、聴き手に委ねるようにしました。Cメロの”窓辺に映る神様”はスピッツの流れ星という曲からの引用です。

昔と今の違いとしては引用を恐れなくなったというのがあります。田淵智也氏の影響が強いですね。ホントにホントにライオンだ。あと、モロに恋愛の曲です! みたいな書きかたをしないようにしています。言葉の奥行きがあったほうが聴き手の想像の域も広がると思ったのと、僕がそういう風に書くテンションではないので。

この曲に関してはこんな感じです。気になったことがあればコメント欄やツイッター・マシュマロ等でお聞かせください。予想より長くなってしまったので、他の曲は別記事にします。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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