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どうか長生きしてください

1月11日、土曜日の夜。Instagramを見ていた。ふと最近過去に描いた大好きな絵の模写によく いいね!がつくなぁと思い、気になっていいねをくれた方のアカウントを見に行って驚いた。

大好きな、あの、モディリアーニのポールギヨームの肖像画が日本に来ている!!!!!

正式には「新しき水先案内人ポールギヨームの肖像」というタイトルの絵で、普段この絵はフランスのオランジュリー美術館に収蔵されている。

その絵がフランスを離れて今横浜美術館に来ているなんて!

海外でしか見られないと思っていた世界一好きな絵が日本に来ていることを知った、この状況なにかに例えようと思ったんだけど、悲しきかな私の語彙力。それ以外例えようがない!!

知った途端苦しくなった胸を押さえながら、展示の詳細を調べた。好きな人を思う恋のような気持ちに似ていると思った。

喜んだのもつかの間、なんとその展示は1月13日までだった。明後日までやん!!巡回展の予定もない。しかも9月からやっていたなんて!

なぜ今まで気づかなかったんだろう!絵を描くことを生業にしているため、展示の情報は時々チェックしていたのに。
展示名自体は目にしていたのに、オランジュリー美術館の展示だなんて全く気づいていなかった!!!

でもなんだか運命だと思った。

初めてその絵を見たのは7,8年前のオランジュリー美術館だった。
ポストカードを何枚も買って帰った。
手帳に挟み、壁にも貼り、うっとりしたりした。

うっかり見落としていたけれど、会期終了直前に展示を知れたなんてラッキー以外の何ものでもない。

迷い悩んだ挙句、1月13日の予定をキャンセルさせていただき(本当にごめんなさい)、朝から新幹線で横浜へ向かった。

最終日なだけあって美術館前にも館内にもチケット購入待ちの長蛇の列。

無事チケットを購入し、こんなたくさんの人が一度に押し寄せて、しっかり見られるんだろうかと不安を抱きながらチケットを受付のお姉さんに渡し展示スペースへと入った。

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モディリアーニのポールギヨーム氏の肖像画は最後のブースに飾られていた。

思った以上に人は絵の前で立ち止まっていなかった。
(人が立ち止まり動かない空間はルノワールくらいだったように思う)

よっしゃー!と思って彼の絵の前で何度も長居した。
離れて見ても目が合った。
前世でもこの絵が好きやったんかもなぁという思いが過ぎり、自分でもちょっと引いた。
離れて見ていると絵とわたしの間をたくさんの人が通り過ぎたけれど、頭と頭の隙間で目が合う瞬間の雰囲気もなんだか良くて、なんてすごい絵なんだろうと思った。

タッチがどうとか構図がどうとか、そういうことじゃなかった。そんなのよくわからないよ。好き。大好き!それだけ!

好きだという気持ちって相手が人でも物でも関係ないな。でも絵は話せないし拒否権がないから、相手のことを気にせず手放しで好きだと言えて嬉しい。大好き。

モディリアーニの説明文を読んでいて驚いた。
モディリアーニがこのポールギヨームの肖像画を描いたのは、わたしと同じ歳のときだったらしい。

震えた。わたしは今まで何も残してこなかったのに、モディリアーニはこの歳でこんなかっこいい絵を描いていたのか。なんてこった。

モディリアーニは1884年に生まれ、1920年に亡くなった。そう、今年で没後100年になる。

モディリアーニは36歳でこの世を去った。
わたしもそう遠くない未来、きっと36歳になる。

長生きには興味がないけど、少しでも長生きして、36歳までに成せなくても、いつか何かを成したいと思う。

画家でもミュージシャンでも作家でもそう、生きてても死んでても作品はずっと残る。いろんな形で。
愛する絵や音楽、バンド、人。すべてに思っています。どうか、長生きしてください。
きっとそういうものって形じゃない。どんな形であっても残るものは残る。それを分かっている上で、大切な人たちには長生きしてほしい。
同じ時代を生きていることをこの上なく幸せに思う。

ポールギヨーム氏の肖像画から最後に離れるとき、また会いに来るね、と心の中で言った。

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大阪在住イラストレーター。日々のこと。damaka.mk@gmail.com