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New体育論-Management Perspective-

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小学校で体育を指導しながら、スポーツ産業のマネジメントを学んだ私が、スポーツが発展するためにあるべき体育の姿を様々な切り口から解説するシリーズ。これまでにはなかった「新しい体育の…
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2020年10月の記事一覧

組体操に潜む「感動」という罠

本稿は、先日Twitterで組体操に関する問題提起をされた方からのリクエストをいただき、組体操に関する一考察を書いたものである。 まず、その問題提起となったツイートがこちら とある中学校の体育祭での一場面だろうか。「10段ピラミッド」という”超大技”にチャレンジし、非常に危険な崩れ方をする映像である。発信者はこれを「虐待」と表現し、一歩間違えれば「殺人」とも言われかねないと警鐘を鳴らしている。私もこれには完全に賛同であり、結論から述べれば「運動会・体育祭に組体操をはじめと

体育とは、マーケティングである。

「体育はスポーツとは違う」「体育が目指すところは何だ」 「体育は子供をスポーツ嫌いにしている」 などといわれるようになって久しい。 なぜこういわれるようになったかといえば、それは「体育」に求められているものが時代とともに変わったからだ。 学校が扱う「体育」は、時代とともに学習指導要領の改訂とともに「修正」されてきた。しかし、その変化のスピードは社会のそれに比べると非常に遅く、「修正」程度では到底追い付けない。にもかかわらず、体育はその姿を大きく変えることもなく現代も存在して

小学校における「マラソン」の課題とその対策案

最近Twitter上で、日本の小学校では当たり前にみられる「マラソン大会」をフィンランドの小学校の校長が視察し、苦言を呈する映像が話題となった(元の動画はYoutubeでも視聴可能)。 他にも「朝マラソン」や「業間マラソン」など、この時期になると各学校でマラソンが始まり、それに合わせるように、一定数必ずいる「マラソン嫌いな子」への同情と学校への批判の声が聞こえるようになる。 本稿は、そのようなマラソン嫌いを生んでしまう現在の学校マラソンの課題を指摘し、その対策となる2つの