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ブレット・トレイン

デヴィット・リーチ監督、ブラット・ピット主演の「ブレット・トレイン」を観た。伊坂幸太郎の「マリア・ビートル」が原作だ。原作が出た時にすぐさま読んだ覚えがある。伊坂幸太郎作品の常で、さらっと楽しく読んだ。ただ、何年も経っているので、細かい内容は覚えていない。彼の原作は数多く映像化されていて結構見ているが、ハリウッド版のトレーラーを見ていて楽しそうだった。内容詳細を忘れてしまっているので、却って新鮮で丁度良い具合なのかもしれない。

感想はと言うと、ハチャメチャな展開伊坂幸太郎の世界かなと思う。主人公をはじめ、キャストの大半が外国人ということも大きな違和感はなかったし、舞台設定が日本であるにも関わらず、外国人の想像する日本の風景と割り切っていることすら伝わってくる。つまり、日本をリアルに再現しようと頑張ったが、出来がイマイチというではなく、最初からそう狙っているようだ。

最初から最後まで新幹線という一つのシチュエーションの中で展開されるアクション中心のストーリー展開だが、時折現れる回想場面で変化を持たせ、時には遊び心のカットも入って、飽きさせずにラストまで引っ張る。ハリウッド製ならではの大掛かりなスペクタクルも楽しめる。元々荒唐無稽なところのある伊坂幸太郎の作品を増幅したハリウッドバージョンと言うところだろうか。かなりピッタリとはまっているような気もする。

真田広之についても触れておきたい。若い時には甘いマスクのアクション俳優と捉えていたが、「怪盗ルビー」、「麻雀放浪記」やテレビドラマ「高校教師」で認識を新たにした。アクションを離れたナイーブな役の巧さに演技の幅の広さを感じたものだ。最近はアクション回帰で海外での活躍も目覚ましいが、アクションにとどまらない幅広い役回りを期待したい。

日本人なら挿入歌にもきっと反応するだろう。日本語で流れるカルメン・マキの「時には母のない子のように」、坂本九の「上を向いて歩こう(Sukiyaki)」もそうだが、個人的には英語で流れた「Five hundred miles」に鳥肌だった。よく聴くとネイティブではなく、山本潤子さんの歌声だ。数ある中、彼女のバージョンが選ばれたことに、この映画の拘りが感じられた。

総じて、この映画独特の世界観にハマれるかどうかがポイントだと思う。変な日本を舞台にした荒唐無稽なアクションと見るのではなく、「そういう仕掛けで来るか!」とその世界を楽しんで欲しい。

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